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平成29年(2017年)2月7日更新

情報公開・個人情報保護審議会 第20回議事録

第20回東京都情報公開・個人情報保護審議会

成16年2月4日(水曜日)
京都第一本庁舎42階 特別会議室B

  • 堀部会長
    お待たせいたしました。ただいまから、第20回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開催させていただきます。
    まず事務局から報告があるということですので、入谷課長、お願いいたします。
  • 入谷情報公開課長
    東京都消費者団体連絡センターから要望書が提出されておりまして、机の上に配付をしてございますので、お目通しをいただければと存じます。
    以上です。
  • 堀部会長
    それでは審議に入らせていただきます。
    今日の審議の議題は、第1に実施機関の範囲ということで、東京都公安委員会、警視庁について、第2に審議会におけるこれまでの検討内容について、この二つを予定しております。
    まず、審議事項の第1の「実施機関の範囲について」ですが、本日は現行個人情報保護条例で実施機関になっていない、警視庁からご意見を伺うことにしております。時間は、説明、質疑等を合わせまして1時間程度を予定しております。既に警視庁からおいでいただいていますので、それでは、簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。
  • 石坂理事官
    警視庁総務部の理事官の石坂と申します。よろしくお願いいたします。
  • 古谷所長
    警視庁の情報公開センター所長の古谷でございます。よろしくお願いいたします。
  • 制度係長
    情報公開センターの制度係長でございます。よろしくお願いします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは早速ですが、警視庁が実施機関に入ることにつきましてどのようにお考えか、また、入った場合に生ずる問題点をどのように考えておられるかなどにつきまして話を伺わせていただきたいと思います。
    資料も用意していただいていますので、これに沿いましてお願いいたします。どうぞ座ったままお話しください。
  • 石坂理事官
    本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。また、審議会には、情報公開制度の関係で警視庁の報告を受けていただきましてまことにありがとうございます。この場をおかりしてお礼申し上げます。それでは座って説明させていただきます。
    資料の方として、都の事務局で用意していただいた中で、当庁から提出した資料は資料2に該当します。資料の2について1枚物、「『実施機関の範囲』について」というのが1、2、3と項目立てております。これは今日お話ししたい内容の骨子ということになります。
    次のページの「『実施機関の範囲』について 関係資料」となっていますが、これは法律、条例又は法律の解釈等抜粋して記載したものです。私の説明で資料ということにつきましては、この関係資料をご覧いただきたいと思います。
    それと、現在実施しています行政機関の保有する電算処理に係る個人情報保護法、それと昨年5月に改正されました行政機関の保有する個人情報保護法と、これにつきまして、私の説明の中では、前者を「電算処理・行政機関法」、後者を「行政機関法」このような略称で呼ばさせていただきたいと思います。
    それでは、1枚物のレジュメと資料に沿って説明させていただきます。
    まず、警察組織の概要について簡単に説明します。資料1ページをご覧ください。ご案内のとおり、国の警察機関と都道府県の警察機関、これから構成されておりまして、国の機関としては、内閣総理大臣の所轄のもとに置かれた国家公安委員会、その管理の下で所掌事務等を行う警察庁があります。また一方、都道府県については、そこには東京都と道府県と書いてありますが、知事の所轄の下に置かれた都道府県公安委員会と、またその管理の下で所掌事務等を行う警視庁、道府県警察本部から成っておりまして、その管轄区域において警察法2条で定められています責務を遂行する都道府県警察、それらを指導・調整する警察庁、こういう位置付けになります。法律によって、警察庁長官の指揮監督や都道府県相互間の協力義務などが定められておりまして、資料2ページ、3ページに警察法が抜粋してあります。
    2ページには、警察庁長官の指揮監督ということにつきましては16条の第2項、ここで所掌事務について、都道府県警察を指揮監督する。また、資料の3ページをご覧ください。そこでは、71条、73条で大規模な災害等に際して、内閣総理大臣から緊急事態の布告が発せられたとき73条でその布告区域の警察本部長、警視総監も含めますが、これに対して警察庁長官は必要な命令をし、または指揮をすると、こう定められております。また、今国会に提出されています警察法改正の中では、「警察庁はテロ捜査の権限を強化し、都道府県警察を直接指揮できる体制を整える」、このような報道もされております。都民の日常生活の安全確保は、東京の利害にかかわるということとともに、国の安全に係るという事象もあります。そのようなことから、警察事務は、国家的性格と地方的性格、この両方を併せ持つとされておりまして、その国家的要請に応じるというために警察法で様々なことが規定されています。
    2ページに戻りますけれども、37条で「都道府県警察に要する経費で政令で定めるものは、国庫が支弁する。」これには犯罪の鑑識、統計、車両だとか警衛・警備だとか様々な経費があります。
    3ページに移りまして、49条で「警視総監の任免」これは国が関与しますと。56条で、「都道府県警察の警視正以上の階級にある警察官は、一般職の国家公務員とする」と、このように定めがあります。
    次に、都道府県警察相互の関係について申し上げます。犯罪の多くが広域化、組織化、国際化或いは多様化、巧妙化というのが進展していますが、警察事務も東京都の区域内だけで完結するものではなく、警視庁単独でももちろん処理できるものでもありません。そういうことから警察法では、38条の第6項、ここで「公安委員会相互の緊密な連絡を保つ。」、59条で「都道府県警察の相互協力義務を負う。」。60条で「警察庁又は他の都道府県警察に対する援助要求ができる。」、61条で「管轄区域外での権限行使ができる。」、こういったことを定めております。まさに東京の安全を確保していくためには、警察庁や他の道府県警察と相互に密接な連絡を取り、時には共同で処理し或いは他県において活動すると、こういうことが不可欠となっております。
    それでは項目の2に移ります。警視庁の個人情報保護制度に係る現状。これについては、当庁の個人情報の保護、これは資料でいきますと次の4ページになりますが、地方公務員法34条、ここで守秘義務規定に加え、内部規則で「警察職員は、職務上個人に関する情報の取扱いが多いことを自覚し、職務上知り得た個人に関する情報を漏らしてはならない。」こういった定めがありまして、その重要性ということを深く認識しております。このような個人情報の重要性ということに鑑みまして、平成2年7月以来、警察庁及び全国道府県警察とともに、「電算処理・行政機関法」にならった国家公安委員会規則、これに基づいて保護制度を運用しています。
    資料は6ページになります。関連するところだけ挙げましたが、この中で4条「保有の基本」というところで、「個人情報ファイルを保有するに当たっては、法令に定める事務を遂行するために必要な場合に限り、かつ、可能な限りその目的を特定して行わなければならない。」と規定しています。また5条では「記録事項の限定」、6条で「安全の確保」、7条で「正確性の確保」、8条で「利用及び提供の制限」等、こういった諸制度が定められています。しかし、対象情報が電算処理に限定されていること、いわゆるアクセス権が保障されていないことなど、制度として限定的になっているということも確かであります。
    こういった状況のもとで、昨年、関連の個人情報保護関連5法が制定されまして、新しい「行政機関法」では、対象情報の拡大やらアクセス権の保障、現行の「電算処理・行政機関法」の見直しがされておりますが、「公共の安全と秩序の維持」に支障を生じさせないという仕組みについては、平成2年の制定以来、一貫して変わりはありません。新しい法律にも、これらのことが継承されていると承知しています。
    資料の4ページ、この(3)と(4)をご覧ください。個人情報の保護に関する法律、ここの第3節第11条で地方公共団体に対して個人情報の適正な取扱いが確保されるよう必要な措置を講ずるということを求められておりますが、その前提として、「個人情報の性質、情報を保有する目的」こういったことを勘案するということも定められております。この「性質と目的」これに関しまして、昨年5月の国会審議において国家公安委員長は、これは4番なんですが、真ん中辺のところにちょっと飛ばしてありますけれども、「個人情報の保護の場合でも、犯罪捜査という任務、犯罪情報には特殊性があることから、情報の取扱いにはある程度の全国的斉一性が求められること等をご理解いただきたい」旨答弁しております。
    警視庁としても、法律が示しているように、保有する捜査情報の性質や犯罪捜査など、情報を保有するそもそもの目的等を勘案して、法律の規定と整合を図りながら、慎重に検討して実践していかなければならないと承知しております。都民の皆様から負託されました「公共の安全と秩序の維持」には、いささかなりとも支障を生じさせてはならないということと、保護制度の充実ということを両立させていかなければならないと思っております。
    続いて、警察事務の性格と保護制度との関係について申し上げます。
    まず、「公共の安全と秩序の維持」という任務そのものと、犯罪捜査で扱う情報の有する性格、これに関してであります。警察の責務については、前に戻ります、2ページになりますけれども、そこの一番上の警察法の2条にありますが、「警察は、個人の生命・身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締、その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」このように定められております。具体的には、警察官自身による迷い子等の発見活動など、何ら強制力を伴わないもの。また、酩酊者(酔っぱらい)の保護など個人の生命の保護、このためであっても、具体的な法律上の根拠なしには行うことができないもの。また、被疑者の逮捕など、法律の厳格な執行によって強制力を行使して行うもの。こういった様々な事務が含まれております。
    犯罪の捜査に代表される「公共の安全と秩序の維持」、これについては、従来から警察の代表的な任務と考えられてきたものであって、今日にあっても警察の基本的な責務であることには変わりはありません。警察法の責務規定により、「独立した第1次捜査機関」であるとされています。他方この捜査は、公訴の提起、こういったことにもつながってきます。刑事訴訟法は、捜査のための具体的権限や警察官との関係、これについて定めておりますが、4ページをご覧ください。そこの(1)ですが、刑事訴訟法の目的で、「刑事事件につき、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現すること」とあるように、この捜査という事務は一般的な行政の事務とは異なって、大きな刑事法の体系や司法制度の中に位置付けられて、その中の事務の一部をなしているということが言えます。
    4ページの(7)ですが、これは総理大臣の諮問機関で地方分権改革推進会議が提言しました「事務・事業の在り方に関する意見」、この中ですが、上から4行目になります。「警察制度については、警察刷新会議の提言に基づく改革が実施されつつあること、地方分権の観点のほか、司法制度との関係等留意しなければならない点が多いこと等から、現時点で、今後の国と地方の役割分担の在り方について見直す状況にはない。」と、このようにされて、やはり刑事法体系、司法制度との関係を指摘しております。
    その4ページの(5)ですが、「個人情報保護基本法制に関する大綱」、ここでは「個人情報の取扱いに関し、公共の安全・秩序の維持、又は公衆衛生等の公益上の必要性から特別の配慮が求められる場合等が少なくない」旨述べられております。このような性格を有する「公共の安全と秩序の維持」に係る事務の扱う情報については、その性質を勘案して、他と区別した取扱いがされる必要があります。
    次に、警察事務の性格から要請されます「斉一性」ということについて触れておきます。警察の事務が全体として国家的性格と地方的性格を併せ持ち、それら双方に対応できるような機構や制度が法律上確立されていることは、先ほどお話ししました。大規模騒乱等で警視庁が警察庁長官から指揮命令を受けた場合、同じ地域で警察庁の職員や他の道府県警察の職員又は警視庁の職員、これが混じり合って同じ活動を行うことにもなると思いますし、東京の治安を確保するため、また他道府県との相互協力義務のために、他県の区域内において職権行使を行い、逆に、東京都内で他道府県警察による職務執行も行われています。警察の職務の内容や刑事法の執行手続等、こういったことは、当然、法律で定められておりまして、全国的な斉一性を有しているわけであり個人情報保護の仕組み、この制度においても、やはり警察庁、他道府県警察或いは事件を送致する検察庁等、こういったところとの斉一性が求められているところと思います。
    以上、警察がその責務を全うするためには、個人情報保護においても、「公共の安全と秩序の維持」これに係る事務の性格、取扱情報の性質など、こういうところから導かれてくる制度上の仕組み、警察事務自体の性格に起因する斉一性、こういったことが不可欠と考えます。こういうことから「行政機関法」「情報公開法」「東京都情報公開条例」等、こういった法令の規定、趣旨と整合性のとれた制度が必要と思われます。
    それでは、具体的にどのような事項について検討が必要かということですが、その前に、風俗営業等の許認可、交通の規制、運転免許の発給等の事務、こういった諸々のものがあるんですが、これについては、この条例全般にわたって知事部局の一般的な行政事務、これと同様に扱うことに特段支障はないものと考えられることを申し述べておきます。しかし「犯罪の予防、鎮圧及び捜査、その他公共の安全と秩序の維持」ここに係る事務については、これまで説明したとおり、様々な観点から検討が必要かと思います。
    資料の8ページの(7)をご覧ください。現行の都条例、東京都の情報公開条例ですけれども、ここでいう「公共の安全と秩序の維持」というのは、この条例7条4号「犯罪の予防・捜査等情報」、これが用いているのと全く同じ意味です。
    その下の(8)になりますけれども、条例の公式解釈である知事通達で「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行を主なものとする。」とされております。
    それでは、検討を要する主な事項の第1は、「収集の制限」に関する規定についてです。資料の7ページにお戻りください。そこの(6)で、4条「収集の制限」と記載しておりますけれども、「事務の目的を達成するために必要な範囲内で、適法かつ公正な手段によるべきもの」という収集にあたっての基本原則ですけれども、これは現在運用しています国家公安委員会規則の制度にもありまして、特に問題は認められません。「公共の安全と秩序の維持」に係る事務については、身体の拘束、刑の執行など直接個人の権利や自由の制限につながることから、一番上の(1)ですが、憲法31条が規定する「法定手続の保障」のもと、38条の3項で「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と定めております。
    また、その下の刑事訴訟法の317条です。「事実の認定は証拠による。」とされていることから真相究明に必要であれば、警察はあらゆる種類の証拠を、それも原則として本人以外から収集するということになります。具体的に何が収集の禁止とされる情報なのか明確でなかったり、その情報の「必要性」はともかく、収集の時点で「不可欠性」まで明白でないと例外的な収集が認められないと、こういうことになってしまいますと、事実上捜査活動が不可能ということにもなってしまいます。犯罪捜査は、まず犯人が誰だか分からない、故にその本人を特定しようとするものでありまして、容疑者が絞られても、証拠隠滅、逃走防止、こういったことに留意しながら、捜査内容を本人に秘匿することはもちろんのこと、更には、本人から供述が得られた場合でも、内容の真実性を確かめる、また裏付け、こういったことで、本人以外から情報収集するということが法の要請であります。現在の条例のまま警視庁が実施してしまうと、刑事訴訟法等では適正な手続で証拠能力が認められた情報が、都条例だと違反ということになってしまうことにもなりかねません。それでは刑事法の体系、司法制度自体、そのものを没却させることにもなるかと思われます。
    以上のように、「公共の安全と秩序の維持」に係る事務については、基本原則はともかく、「収集の制限」の適用除外となるように条例上で明確にされる必要があると考えております。
    第2は、「個人情報取扱事務の届出・公示」についてです。資料の8ページ、(9)をご覧ください。現行の「電算処理・行政機関法」において、「公共の安全と秩序の維持」に係る個人情報ファイルは、そこでは「本来的に公示になじまないものであり、事前通知を受けて調整する余地は極めて乏しい。」として、事前通知、公表から除外されています。このことは、改正された「行政機関法」にも継承されておりまして、同じように事前通知、公表から除外することが規定されています。これを条例によって届出・公示した場合には、捜査の手の内を明かすということにもなりまして、公訴の維持に支障が生じるというおそれもあります。また仮に、警視庁が「知事への届出内容」に該当する事項について、情報公開条例に基づいて開示請求を受け、「犯罪の予防・捜査等情報」に該当するということで非開示としなければならない場合でも、現行の個人情報保護条例では、同じ事項を届出・公示することとなるなど、両制度間で重大な矛盾が生じることになります。「行政機関法」「東京都情報公開条例」との整合性を図り、「公共の安全と秩序の維持」に係る事務については、届出・公示の適用除外とされる必要があるかと思います。
    第3は、各種請求の対象から除外される必要のある個人情報、その一つは、「訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報」です。資料の9ページをご覧ください。そこの(10)で、情報公開法の解説で「訴訟に関する書類及び押収物」、これは以下3点、1、2、3とありますが、これを理由として適用除外としております。一つ目は、捜査・公判に関する国の活動の適正確保は、司法機関である裁判所により図られるべきであること。二つ目が、訴訟に関する書類は、刑事訴訟法40条をはじめとして、その他の規定及び刑事確定訴訟記録法により、その取扱い、開示・不開示の要件、開示手続等が自己完結的に定められていること。三つ目として、これらの書類は、類型的に秘密性が高く、その大部分が個人に関する情報であるとともに、開示により「犯罪捜査、公訴の維持、その他公共の安全と秩序の維持」に支障を及ぼすおそれが大きい。などを理由として、法律の適用除外とされています。
    前に戻りますが、7ページの(5)です。行政機関法の整備法です。ここでも「訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報については、4章の各種請求の規定は適用しない。」としております。二つ目は、「刑の執行等に係る個人情報」についてです。さらに戻っていただいて、7ページの(4)です。行政機関法の45条ですが、現行の「電算処理・行政機関法」と同様に、「前章(開示、訂正・利用停止)の規定は、刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判、検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分、刑若しくは保護処分の執行」、省略しますけれども、こういった「保有個人情報については適用しない」と定めておりまして、その理由としては「刑の執行等に関する事項は、個人の前科、逮捕歴等を示すものであり、開示請求の対象とすると前科等をチェックするシステムとなる危険性」が大きい。こういったことから「本人の社会復帰や更生保護上問題となり、本人の不利益になるおそれがある。」とされています。これは9ページの13条に書いてあります。これらの情報については、法体系の整合性を保つという観点からも、条例において、法律と同様に各種請求の対象から除外される必要があると考えています。
    第4は非開示条項の規定についてです。「行政機関法」では、情報公開法との整合を図った非開示条項とされました。また、「東京都情報公開条例」の非開示条項も、結果として情報公開法と同様のものとなっております。現行条例においても、非開示とする情報について明確に規定した法律や、「東京都情報公開条例」の規定と整合を図ることが望ましく、特に「犯罪の予防・捜査等情報」については、情報公開条例と同様の規定、解釈で制度を運用することが必要であると考えております。
    以上、条例改正の審議に際しまして、警視庁の事情などお話ししましたけれども、「公共の安全と秩序の維持」、ここに係る事務に対してご理解をいただき、新しい制度を発足させることができるようになった場合には、円滑、適正かつ遺漏ない実施のため、相当の準備期間も必要になってくるものと考えております。
    現在、都民の方々、東京都をはじめとして関係機関の深甚なるご協力をいただきながら、警視庁職員が一丸となって、首都東京の治安回復、これに全力で取り組んでいるところです。多くの個人情報を取扱う警察としましては、いささかなりとも、都民の安心・安全に支障を生ずるような制度としてしまっては何とも申し訳が立たないものと肝に銘じております。審議会委員の皆様には、ご審議を通じ、また都の担当部局からは、個別具体的に、今後ともご指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
    以上で説明を終わります。
  • 堀部会長
    どうもありがとうございました。
    ただいま石坂理事官から説明をしていただきましたが、何か補足することはありますでしょうか、特にないですか。
  • 古谷所長
    はい。
  • 堀部会長
    それでは、ただ今ご説明いただきました点、あるいはその他も含めまして、ご質問をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  • 加藤委員
    お立場上おっしゃることは、なるほどと思って伺ったわけですけれども、運転免許とか、風俗営業とかといったものについては、これは対象にしてもよいのではないかと、いうことですよね。
  • 石坂理事官
    はい。
  • 加藤委員
    先ほど対象外と言った公共の安全や犯罪の予防ということになるのかもしれませんけど、交通安全とか、火の用心だとか、子どもの非行指導だとかといったようなことで、犯罪捜査とは違うけれども、かなり市民生活にコミットしている部分についてはどんなふうに考えておられますか、また、どういうものがあるのかということも存じ上げないので、その辺のお話もしていただければ幸いです。
  • 堀部会長
    お願いいたします。
  • 石坂理事官
    警察には様々な事務がありますが、どれが犯罪捜査に該当して、どれが行政に該当するということを明確に区別するわけにいかないんですけれども、今、情報公開条例を平成13年の10月から実施しておりまして、そこでいろいろな開示請求があります。そういう中で、非開示条項の「犯罪捜査等情報」というのを適用して非開示としている部分、これについては、今申し上げた支障のある話かと思うんですが、交通安全の部分だとか、または防犯のパトロールだとかということについては、それ以外の事務に入ると思います。
  • 能見委員
    先ほど実施機関の範囲についての資料の3で検討を要する事項ということで、4点ほど挙げられて、ご趣旨は、こういうものについての例外を設けてほしいということだったと思いますけれども、ご説明を伺っていると、収集は別として、それ以外のことについては、むしろ情報公開という、ほかの人が他人の情報を見るということについての危惧をおっしゃっていたような気がするんですが、個人情報ということで、自分が自分の情報についてどこまで、例えば警視庁などが持っている情報を開示させることができるのかという問題だとすると、自ずと例外というのが違ってくるのではないかという気がするんですね。
    例えば、3のところ各種請求、条例の第12条が挙げられていますが、これは要するに自分が自分の情報を請求することができる、開示を請求することができるというわけですけれども、こんなのは別に制限する必要は全くない。第2項で法定代理人が入ってくると、これはどうかというなところが気になりますけどね。いずれにせよ、先ほどのご説明は、押収物に記録されている個人情報も、自分の情報であれば全然問題ないのではないかと素朴に思うのですけれども、いかがなんでしょうか。
  • 石坂理事官
    そういう情報については、先ほど9ページのところでしたか、情報公開法のところで解説されていたのを引用しましたけれども、法律ではすみ分けているというか、それは別の完結した制度が対応していますよと、ですから、情報公開法では、適用除外とされているのだと思います。行政機関法でも情報公開条例でも同じであり、個人情報の条例でもそれと同じようにしていただきたいということです。自分の情報だから見ていいとか、そういうことではなくて、そのほかの制度が対応しているから、適用除外とされているということでお話ししたわけです。
  • 堀部会長
    いかがでしょうか。
  • 藤谷委員
    警察が犯罪の捜査のときに、犯歴情報がありますね。あれはここでいう個人情報、警視庁が取扱う個人情報として考えてよいのでしょうか。それとも、犯歴情報のシステムは、全国一律のシステムを警視庁がたまたまた利用しているだけだから、警視庁が独自に取得して、独自に保有しているということではないわけでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。
  • 石坂理事官
    犯歴は法務省が所管しているところです。
  • 藤谷委員
    それを警視庁がたまたま利用しているに過ぎないという関係なんでしょうか。というのは、私も整理ができていないんですが、過去の個人情報の漏洩事件を調べてみますと、非常に遺憾なんですけれども、全国レベルで警察官の方が犯歴情報を漏らしてしまうというのが繰り返されていて、波はあるんですけれども、ただ、完璧にとまるという状況では過去長い間ないですね。これについては、所管が法務省であれば、警視庁の問題でないと言ってしまえばよいのか。ただ、昨年策定された個人情報の基本法の中でも、その趣旨を条例の方に及ぼすとすると、個人情報の安全管理という義務があるわけですね。そうすると、警視庁が法務省のシステムであるけれども使う場合に、これは過去、犯歴情報を漏らした事件も何件か起こっているわけでありまして、こういった点については、個人情報の保護という意味では、考えなきゃいけない点だと思うのですけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  • 石坂理事官
    犯歴についても、そのほかの個人の情報についても、もし、行政機関法のような罰則が適用されて条例に盛り込まれれば、同じ横並びの個人情報という形で適用されると思います。
  • 堀部会長
    犯歴情報について今まで問題になっているのは、地方公務員法の34条の守秘義務違反ということで……。
  • 藤谷委員
    もちろん、そういうことです。ところが、新しい行政機関法だと、地方公務員法よりも罰則が重いわけです。そことの関係でどういうふうに解すればよいのかということもあると思います。
  • 堀部会長
    行政機関法の罰則は、かなり構成要件が厳格で、しかもファイルについてということになりますから……。
  • 藤谷委員
    ファイルでない場合でも、地方公務員法ですと1年以下の懲役又は3万円以下の罰金ですけど、行政機関法は、1年以下又は50万円以下ということですから重くなっています。そのことを考えますと、何か犯歴情報が繰り返し漏れることについて、セキュリティという面から対策は必要ではないかという意見を強く持っているんですが、それとの関連かと思うんですけれども、旧の行政機関法との関係で、旧の行政機関法の場合には、一つは電算処理に限定されていたということと、もう一つアクセス権はなかったとおっしゃったと思うのですけれども、どういう趣旨でおっしゃられたのか、ちょっとご説明いただけますかね。
  • 堀部会長
    旧ではなくて、現行です。
  • 藤谷委員
    そうですね、まだ施行されていません。そういった意味ではそうです。
  • 石坂理事官
    電算処理の行政機関法は、国の機関だけを縛るもの。しかし、各都道府警察も同じような情報を扱っている。国の法令は当然都道府県警察には及ばない話ですから、そこで法と同じような仕組みの国家公安委員会規則を定めてしっかり運用しましょうということが平成2年から始まった。しかし、今、法律が改正されて、その内容に色々なものがプラスアルファされたということを踏まえると、今現在、私たちが運用している国家公安委員会規則では、アクセス権が保障されていないとか、対象が電算処理、情報だけであるとか、制度として足りない部分があると自覚しているということです。
  • 藤谷委員
    足りないというのは、アクセス権についてのコントロールをもう少し入れた方がよいのではないかということでしょうか。
  • 堀部会長
    例外が必要だというご趣旨ですね。
  • 石坂理事官
    個人情報保護は重要であると認識してやっていますけれども、新しくできた法の制度と比べるとちょっと不足しているなということです。
  • 堀部会長
    国家公安委員会規則もここに資料として出していただいていますけれども、これは都道府県警察がこうするということなので、市民との関係には触れていなのですね。
  • 藤谷委員
    とりあえず、犯歴情報をもう一点だけにとどめさせていただきますけれども、犯歴情報が今警視庁の、いわゆる交番も含めて全警察官は犯歴情報のシステムにアクセスする権限を持っているんでしょうか。それとも、例えば、何か犯罪の捜査にかかわる特定の人だけに限定されているのか、そこはいかがなんでしょうか。
  • 石坂理事官
    警視庁職員全員がアクセスできるというわけではないです。
  • 藤谷委員
    そういう意味ではアクセスコントロールはなされている。
  • 石坂理事官
    はい。
  • 堀部会長
    能見委員どうぞ。
  • 能見委員
    先ほど簡単にご説明されたので、ちょっと私も十分趣旨を理解できなかったので、ご説明をいただきたいんですが、一番中心なのは、この検討を要する事項というところだと思いますので、例えば、情報の収集の制限についても、現在の4条第1項みたいなものは一般的な原則として全く問題ないんだと思いますけれども、さっきのご説明の中では、犯罪の捜査・予防のために情報を集める必要があると。そのときに、本人からではなくて、第三者から集めたりする必要があるので、現在の4条の3項ですか、ここに書いてある範囲では少し狭いと、そういうご趣旨だったんでしょうか。4条の3項の中でも(2)などでは、法令等に定めがあるときには、本人から情報を収集しなくても構わないと、第三者からも収集できるというようなことが書いてあるのですけれども、それでもなお狭いというご趣旨だったんでしょうか。
  • 古谷所長
    この現行条例の「法令等に定めがあるとき」、これに該当するのではないかということでしょうか。
  • 能見委員
    それでほとんどのものが解決できて、それ以外にどういうところを危惧されているのかというのを伺いたかったのです。
  • 古谷所長
    刑事訴訟法189条には、「犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする」という条文があるんですけれども、その犯人と証拠を捜査するときには、本人以外の方からいろいろ情報を集める必要がありますので、例外とする規定が必要じゃないかということでございます。この刑事訴訟法の規定そのものが、条例の「法令等に定めがあるとき」という例外規定に該当しているから、第三者から個人情報を収集することができるという解釈ができればいいんですけれども、それはちょっとこの条例の「法令等の定めるところ」は該当しないのではないかということだと思うんですけれども。
  • 堀部会長
    そこは法令と条例の上下関係では解釈できないということでしょうか。
  • 古谷所長
    現行条例の4条3項の2号ですか、「法令等に定めがあるとき」、これに刑事訴訟法の189条でありますとか、あるいは197条の「捜査に必要な取調べ」等が含まれるという解釈である、明確に含まれるということであれば問題はないのでしょうけれども。
  • 能見委員
    当然、入るものと思っていたんですけど、入らないということになれば、それは明確にする必要があるのかもしれませんけれども、ほとんどはこの4条で解決できそうな気がしたのです。ですから、(1)の収集の制限に関する問題、条例4条から外してほしいというのはあまり根拠がないのではないかという気がいたしました。
    それから別な件で最近経験したことですが、警察が情報を集めるときにはいろんな目的で集めるんだと思いますけれども、各家庭を回って家庭の構成員がどうであるとか、どこに勤めているんですかとか、これは警察官本人は善意で何かあったときにお役に立つようにということで集めているんですけれども、そういう情報を警察が集めるとなりますと、任意で集めているとは思いますけれども、公権的な権力行使のようにも思われます。法令、警察の職務の範囲のどこかに含まれるという形で職務の執行として集めているのであればよいと思うのですけれども、善意かもしれないけれども、法令の根拠がなく集めているのであるとすると問題ではないかと思います。
    そういう意味で情報の収集というところは、特に警察のように、公権的な力を持っているところが集める際にはやはり重要な条項なので、4条の原則は確認するとともに、本当に必要なのかどうかということを詰めて考えた方がよいのではないかという気がいたします。
  • 堀部会長
    今のはいかがですか。
  • 石坂理事官
    警察は警察法2条の責務、ここに根拠を置いて、諸活動を行っておりますが、その中には、先ほど申し上げましたように、個別の法律を適用する必要のある活動、たとえば酔っぱらいの保護についても、警職法の保護だとか、めい規法の保護だとかという区別がありますが、それから、この巡回連絡等のような活動は、2条そのものを根拠としております。
  • 能見委員
    生命、身体、財産の保護ですか。
  • 石坂理事官
    はい。
  • 堀部会長
    どうぞ。
  • 加藤委員
    私も実はそういう体験があるんですけど、めったに10年以上もおまわりさんが来なかったのに、数年前のことで、あるとき突然来たんですよ。「おたく、ご家族変わりありませんか」と言われて、「どういうふうになっています?」と聞いてみると、大昔の夫の勤め先なんかが書いてあったんですね。例えば、もしそれが今でも巡回連絡とかそういうことで、何かあったときには、ここには一人暮らしの人で体の悪い人がいるんだから、おまわりさんはすぐ助けに行ってくれるということで必要なら、根拠が明確になっていて、そういうものを交番が持っていらっしゃるということを私たちは知っていて、それについて自分の情報が誤ったものが載っている場合は困るわけですよね。ですから、それがあるならあるということは公開され、そして個人情報のコントロール権というのが保障されるべきではないかと思うのです。それは何のために集められる情報かということも、当然、目的やなんかも情報主体者である都民のみんなが知っていると、そういう透明性の高い台帳になってほしいなと思います。
  • 石坂理事官
    巡回連絡等については、一般の行政的な事務と全く同じような扱いになると思いますので、届出もされまして、訂正もされることになるかと思います。
  • 堀部会長
    村上委員どうぞ。
  • 村上委員
    先ほど来の話で、要するに一般の行政事務といいますか、許認可関係でありますとか交通行政は、通常の知事部局の行政と全く一緒で、これについては全く同一の取扱いで差し支えないということです。
    それとあと、先ほどの藤谷委員のお話で若干誤解があるんじゃないかと思ったんですが、要するに、犯罪捜査等の事務についても、この条例の対象になること自体は別に構わないということですよね。その一部の適用除外をしてほしいということであって、例えば、適正管理でありますとか、そういうのは、当然、捜査に関する事務についての適用があって構わないという理解でよろしいわけですか。
  • 石坂理事官
    はい、そのように考えております。
  • 村上委員
    開示請求との関係で言いますと、要するに現在、情報公開条例の方では、一部が完全に届出もしない、公示もしないという形になっていて、それで特に支障がないということですか。現行の情報公開条例で一定の区分けをして、一部は公開、一部は非公開という形で処理されていて、従前の情報公開条例の処理で、警視庁の事務の困っている点というのは特にないわけですか。
  • 石坂理事官
    特にありません。情報公開条例の非開示条項には「犯罪予防、操作等情報」と「行政運営情報」というものが規定されていますが、その使い分けで問題が生じたことはありません。
  • 堀部会長
    情報公開では届出とか登録制度はとっていませんけれども、すべての情報が対象になりますので、開示請求すれば、ものによると存否応答拒否というのもありますけれども、そうでなければ、非公開事由のどれに当たるから公開できないということになるわけですね。
  • 石坂理事官
    情報公開条例も訴訟に関する書類と押収物ですか、これは適用除外となっております。
  • 堀部会長
    ほかにいかがでしょうか。
  • 藤谷委員
    個人情報保護法の中で、自己情報コントロール権に基づくかどうかは別にしても、自己情報についての開示を求めて、間違っている場合には訂正をして、さらに新しい法制の場合には、使用停止を求める規定がありますけれども、それを全く排除してくれということではなくて、それの適用除外を情報公開の場合と同じようなレベルにしてくれというご趣旨と考えていいわけですね。
  • 石坂理事官
    そうです。
  • 藤谷委員
    分かりました。
  • 堀部会長
    二ノ宮部長どうぞ。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    先ほど情報公開条例との考え方でご説明あったのですけれども、あくまで情報公開条例の対象が公文書というか、その中には文書の中に個人情報が入っていますから、請求の場合には、文書の中に個人情報がある場合には非開示という形ですので、それが個人情報が入っているからといって、事前に情報公開条例の中では、個人情報の事務について何か届出をするとかそういうことになっておりませんが、ちょっとそこら辺、勘違いされない方がいいかなと思います。
  • 堀部会長
    ほかにいかがでしょうか。
    ほかにご質問ないようですが、一つだけ最後に伺いたいのですが、既に宮城県で個人情報保護条例の改正条例案が出ていまして、そこで公安委員会、県警本部長も実施機関に入ることになっています。宮城県はいろいろ検討して条例案ができているかと思うのですが、こういう条例案についてどう考えるか。コメントしないということであればやむを得ないのですけれども、これについてどう考えられるか、一つのモデルというか、先例になるかと思うんですけれども、何かご意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  • 石坂理事官
    ちょっとまだ具体的に用語の関係だとかということで詰めておりませんので申し上げられません。
  • 堀部会長
    ほかによろしいですか。
    今日は、警視庁から来ていただいて、ご意見を伺うということでいろいろ質疑応答をしていただきました。この後、委員の間で若干意見交換をしたいと思います。石坂理事官はじめ古谷所長、制度係長においでいただきましたことに対して謝意を表したいと思います。どうもありがとうございました。また、いろいろご質問を別途することもあるかと思いますので、その節はよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
    (警視庁説明員退席)
  • 堀部会長
    それでは、お手元に事務局の方で用意していただいた「犯罪捜査等に関する規定」という対照表がありますので、これについて入谷課長から説明をお願いいたします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、事務局の方で用意いたしました資料の3でございます。
    東京都の条例と行政機関法と二つを並べてみました。東京都の条例では今実施機関に入っていませんので事務の届出ですとか、公示・閲覧の部分については特に言及をしてございません。
    16条の「開示しないことができる個人情報」というところに現行条例でも若干の記載がございます。「実施機関は、開示請求に係る個人情報が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該個人情報を開示しないことができる」ということで、その中の3号で「捜査、取締り、調査、争訟等に関する個人情報であって、開示することにより、事務の適正な執行に支障が生ずるおそれがあるとき」というようなのが今の条例でも規定をしてございます。ここの捜査というのは、警察はほとんど意識をしておりませんで、健康局関係の麻薬の捜査とか、そういったものを念頭には置いておりました。
    それから、次の「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の方でございます。この法律が明示的に言及しているのが、大きく言ってこの3分野でございます。一番上が、国の方では、個人情報ファイルの事前通知と、その個人ファイル簿の作成及び公表という部分でございます。
    まず、10条の方ですが、こちらは個人情報ファイルを保有しようとするときは、あらかじめ、総務大臣に対して通知をしなければならないという規定でございます。その中で2項では、「前項の規定は、次に掲げる個人情報ファイルについては、適用しない」ということで、まず1号の方で「国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項を記録する個人情報ファイル」、それから、「犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイル」として、これらに関する個人情報ファイルについては、あらかじめ総務大臣に通知をすることを要しないという規定になってございます。
    それから、次の11条ですが、これは総務大臣に届けられた個人情報ファイルを世の中に対して明らかにするという部分の規定ですけれども、11条の1項といたしまして、「行政機関の長は、当該行政機関が保有している個人情報ファイルについて、帳簿を作成し、公表しなければならない」という義務がございますけれども、2項で、「前項の規定は、次に掲げる個人情報ファイルについては、適用しない」ということで、10条の1)から10)までに掲げる個人情報ファイルについては、その作成及び個人情報ファイル簿を公表しないということで、この捜査関係は1)と2)ですので、公表からも除外をされていると、こういうような仕組みになってございます。
    それから、次の14条ですが、こちらは、開示請求を受けた場合の非開示条項として規定をしているという部分でございます。これは「開示することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」というのは、非開示にするということでございます。
    ちょっとつくりがややこしいんですけれども、次の45条の方で、そもそも請求権自体を認めていない分野がございますので、それ以外の分野であっても、犯罪の捜査、鎮圧又は捜査から支障があるときは非開示にすると、こういう仕組みになってございます。
    それで、45条のところの適用除外ということですけれども、これは前章の規定、これは第4章の開示訂正及び利用停止の請求権についてでございます。「前章の規定は、刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判、検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分、刑若しくは保護処分の執行、更生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報(当該裁判、処分若しくは執行を受けた者、更生緊急保護の申出をした者又は恩赦の上申があった者に係るものに限る。)については、適用しない。」というような適用除外が規定してございますが、この全部ざっくりと適用除外にしているのは、先ほどの警視庁の説明ですと、各種請求権と言われている部分に該当すると、このようなのが国の方が明示的に明らかにしております犯罪捜査等に関する事務でございます。
    以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。現行条例と、来年の4月1日に施行されます行政機関法について比較したものの説明をしていただきました。もう一つ議題がありますけれども、もう少し第1議題についてご意見をお出しいただきたいと思います。どうぞ。
  • 能見委員
    都条例でいうと5条の届出と、それから行政機関の保有する個人情報保護法10条との関係ですけれども、この10条の第2項の第2号2)、これさえあれば警視庁の場合はよくて、1)の方は、必ずしも警視庁の場合は必要ないのではないかと思ったんですけれども。
  • 堀部会長
    東京都の場合に第10条第2項第1号に当たるものがあるのかどうか。適用除外をもう一度整理する中で見ていかないとならないのですけれども、先ほどの趣旨は、恐らく10条2項2号、法律と同じような規定という趣旨のことも言っていましたので、こういうことだろうと思いますね。
  • 村上委員
    ただ、国の安全という中には、治安の維持という問題全体が入ってくるのだろうと思うんですね。
  • 能見委員
    それはあまり広く何でも入るというのではなくて、恐らく治安の維持というのは、犯罪の予防という形で入ってくるんじゃないんですか。
  • 村上委員
    条例で除外規定を設けるとすれば、従前、情報公開条例でつくっているような規定でよいのではないかと思うのです。
  • 堀部会長
    不開示情報・非開示情報、どういう項目をあげるかということで後で整理したいと思いますけれども……。
  • 村上委員
    ただ、警視庁からも話があったとおりで、警察行政の場合、国レベルの問題と地方レベルの問題が全国的に斉一でなければならないという問題が恐らくあるのだろうと思うのです。そうでないと、地方が処理できてしまうという問題があって、基本的には、国の方で除外規定が設けられているものは除外しておかないと、全国的に混乱が生じるんじゃないかという問題はあるだろうと思います。
  • 能見委員
    私が申し上げたのは、1)というのは、警視庁の職務にあんまり関係ないのではないかということなんですね。
  • 村上委員
    ただ、例えば、外国要人が来日したときの警護とか全部警視庁が基本的にやっていますので、ストレートに外れるかというのは、ちょっと何とも言えない。
  • 能見委員
    ただ、警察法の職務の範囲で考えると、2)を押えておけば十分で、あとは、犯罪の予防とかで入るのではないでしょうか。
  • 橋本委員
    今おっしゃった警察法の趣旨というのはどういうことでしょうか。
  • 能見委員
    警察法の第2条でもって警察の職務があって。
  • 橋本委員
    それはありますけれども。
  • 能見委員
    この中で犯罪の予防、鎮圧、捜査、被疑者の逮捕等がいわば特別扱いをする必要のある部分で。
  • 橋本委員
    公共の安全と秩序の維持に当たることが責務で、どうなんでしょうかね、この警察法2条の文言から警視庁の職務がこれに関することは含まないという解釈論は出てこないんじゃないかというのが私の理解です。
  • 藤谷委員
    関連するんですけれども、10条の2項の2号と、14条5号とを比較すると、10条の事前通知から外れるのは犯罪の捜査以降ですけれども、14条の開示義務は、犯罪の予防、鎮圧が付加されている。ということは、10条の事前通知の適用外の中からは、犯罪の予防や鎮圧に係るものは除かれているということでしょうか。
  • 堀部会長
    それは分かりませんが、行政機関法の場合、国家公安委員会、警察庁ですので、直接の犯罪捜査というのは都道府県警察になっているからだと聞いたことがあります。10条は事前通知ですので、ファイルを大括りで、10条2項に該当するものは事前通知しなくともよいわけで、14条の方は、具体的な開示請求になって不開示情報になりますから警察庁が関係都道府県の犯罪に関する情報なども持っていることもあり得ます。そういうときの不開示情報として、より明確に詳細に規定している、こういうことだと理解しています。
  • 藤谷委員
    10条を都に当てはめると、10条の2項の2号は、犯罪の捜査のために作成し又は取得する個人情報ファイルについては、あらかじめ都の公安委員長、あるいは警視総監は、都知事に対して通知しなくてもよいということに読みかえるわけですか。
  • 堀部会長
    そうでしょうね。東京都の場合には登録ですね。都知事になるのか、どこに登録するのですか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    事務局が私どもになりますので、都知事あてになります。
  • 堀部会長
    事務局が知事部局になるわけですね。
  • 藤谷委員
    警視庁を実施機関に入れるということは、要するに、ここの総務大臣に相当するところが、都で言えば都知事になるということでいいわけですよね。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    はい。
  • 高橋会長代理
    法の10条と14条を比較すると、例えば、犯罪の予防、鎮圧というのは10条には入っていないから、予防、鎮圧についての個人情報を集めることについては、これは事前に届け出る。しかし、請求があっても開示はしなくてよいという趣旨ですかね。
  • 藤谷委員
    厳密に読むとそういうふうに読めるんですよね。
  • 堀部会長
    ファイルとして、しかも1,000件未満のものは事前通知しなくてよい。ファイルとして存在しているものは、この10条の2項の2号、これは租税に関するものも入ってきています。官報に公示されているものでいうと、運転免許証の管理システムなどが出ています。
  • 村上委員
    公示すらしなくてよいというのは、要するに、そのファイルの存否自体を明らかにしない趣旨だろうと思うのです。だから、存否自体は明らかにするけど、最終的に個人情報は開示しないということと観点が若干違うのかなと思います。
  • 加藤委員
    法律的に精密な話ではないのですけれども、素人が考えますと、警察がどういうファイルを持っているかを示してもらう必要があると思うのです。その中で情報公開法の対象になるものと、それから個人情報保護で対象になるものということになるのだろうと思うのです。そして、個人情報保護法で対象になるということは、やはり個人の尊厳にかかわるわけだから、間違っている情報だったら直してもらわなきゃならないし、できるだけそういうファイルは明確に、たくさんあるならあるだけ出してほしいと思うのです。犯罪捜査の場合だったら、ファイル自体の名称も出さないでよいのだということになるのでしょうか。それが適用除外の項目に該当するということになるのでしょうか。
  • 村上委員
    東京都の条例の場合はファイルではなくて事務なんですね、前にもお話があったとおり。
  • 堀部会長
    ファイルと事務の違いがあるので、そこも区別しなければならないですが……。
  • 加藤委員
    例えば、子どもの非行のリストがあるとしますと、きちんと保管していますということを公示してもらう必要はあると思うのです。それは3年経ったら削除されているのかとか、どんなふうに書かれているのかということを親としてはすごく気になるから、やはり親権者に開示してほしいと思っていますが、そういうことはどう保障されるのでしょうか。
  • 堀部会長
    開示請求権一般は、実施機関として同じように条例の適用を受けることになります。その中で適用除外をどのように定めるかですが、国の法律に類したものということになってきますと、一つは、不開示情報に当たれば開示しないということと、それから、存否応答拒否ということも起こり得ると思うのです。そういうものをどういうふうに規定するのかということになってくると思います。東京都の条例でいう6条の公示・閲覧というのは、OECDの原則の中のオープンネス・プリンシプルに当たりまして、どういう個人情報システムがあるのかということ自体が公になっている必要があるということで、行政機関の電子計算機個人情報保護法でもその考え方は取り入れています。ここにも同じようなオープンネスの例外の定めがあります。新しい行政機関法で言えば、10条2項にあるようなものになってくるということです。どういうシステムがあるかということ、あるいはファイル、事務で何をやっているかということが出ない場合もありますけれども、自己に関する情報について、開示請求する前提になります。全く存在が明らかにならないものについてまで開示請求をするというのはなかなか難しいと思うのです。
    その辺りが二段階になるわけですけれども、まず、開示請求権を認めるということで、その場合に対象がどこまで絞り切れるのか切れないのかということになって、絞った場合にさらに非開示情報のカテゴリーで開示されるものとされないものと出てくるということになります。
  • 加藤委員
    警察以外のと同じ段取りですね。
  • 堀部会長
    同じ考え方です。
  • 高橋会長代理
    議論しづらくなっている一つの原因は、警察がどういうファイルを持っているかということのイメージがつかめないということがあると思うのです。ですから、犯罪等に関するものは出せないというのは分かるけれども、出せるものとして、どういったファイル、あるいは事務があるのかということですね、多少書き出してもらうと分かりやすいかなという気がするのですけれども。
  • 加藤委員
    今、特に生活安全警察は、かなり消費者の問題の解決に尽力してくれている部分があったりするのですけれども、ある面ではまた逆に、予防的に保護するための情報収集という形で、どこまで個人情報がとられているのかということについての不安もあるわけです。だから、今、高橋先生がおっしゃったように、警視庁はどんなような個人情報事務を扱っていらっしゃるか知りたいと思いますね。
  • 橋本委員
    同じ趣旨なんですけれども、先ほど能見先生が4条のところで質問なさって、法令のところで押えきれているのかどうかというご質問して、押え切れていないものがあるというような、そういうご趣旨のことをおっしゃっていましたよね。だから、それは具体的にそういう扱いにくいといいますか、うまく法律と同じ切り口ではのっかってこないものがあるのかないのかは我々にも分からない。もし、どうしてもそれはあるというのであれば、何か考えることになるんでしょうけれども、何かもう少し具体的に問題なんだというイメージがつかめないかなと思います。
  • 木村委員
    確かにイメージがわきやすいので、出してもらうということは全く問題ないと思うのですけれども、さっきの法令に基づいてという件で、ものすごくざっくりした規定しかなくて、例えば、刑訴法だと犯罪があると思料するときは犯人及び証拠を捜査するものとするとしか規定していないので、大まかな一般的な規定で法令に根拠があると言ってしまうと、逆に何でもできるということになりかねないというおそれもあるかと思います。ですから、もう少し具体的な法令の根拠が実は必要で、逆に現に条例の4条に「法令の根拠」があるんですけれども、現在ある法令だけではカバーできないんじゃないかということを危惧されていたのではないかと思います。
    それとあと、4条のこれ自体を原則とするという能見先生の考え方は分かるんですけど、必要かつ欠くことができない場合と限られてしまうと、捜査情報に関してはきついのかなと思います。ですから、その2点で強く除外してほしいという趣旨をおっしゃったと私は理解しました。ですから、出してもらうということに関しては全く同感です。
  • 堀部会長
    具体的にどういう事務かということですね。
  • 村上委員
    意見なんですけれども、基本的にこの審議会というのは公開ですよね。そもそもどういう事務を扱っているか自体を開示できないという国の規定があるわけでありまして、外に出せない事務を出せと言われても、恐らく警視庁としては出せないのではないかと思います。
  • 堀部会長
    さっきいくつか具体的に挙げていましたが……。
  • 村上委員
    具体例みたいな話であれば分かると思うんですけれども、実際どういう事務があるのかという話になると……。
  • 堀部会長
    ここで登録を義務付けるものまで全部ということで皆さん言っているわけではなくて、どういうものが具体的にあるのかということだと思います。
  • 村上委員
    イメージ的にこういうのがあるということだと、たぶん出せると思うのですけれども、実際どういう事務をやっているのかという話になると、たぶん出せないところが結構あるのではないかと思います。
  • 藤谷委員
    あんまりこだわるつもりはないんですけれども、審議会そのものは原則公開ですけれども、そういう情報については、元々情報自体が非公開であれば、それは出してもらっても、ホームページも含めて資料も含めて対外的には公開しないということでは……。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    今の事務の関係では、先ほどの警視庁のご説明でも、行政的な仕事に関しては、例えば、風俗、交通安全の関係とかはたぶん出せると思うのです。先ほど委員が言われましたけれども、内容的に本来なかなか公にできないようなことについて審議いただくときは、そういう理由で非公開でやっていただいて、結論的なことは、どこまで出せるかという工夫は皆さんで諮っていただいて、オープンにできるものはできるだけオープンにしていただく。そのようなやり方をはできるかと思います。
    たぶん警視庁の方も、これから実施機関に入ったとして、個人情報の関係の取扱いが、今、実施機関としての警視庁としてどういうふうになっているか等も含めて、また来年4月に向けての作業がありますから、そこら辺を聞きませんと、今お答えできませんので、必要があれば、またご相談をさせていただきたいと思います。
  • 堀部会長
    どうぞ。
  • 藤谷委員
    細かい点ですが、10条の2項の1号と2号については、2号の中でも、「犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査」、ここまでいいと思うのですけど、「又は公訴の提起若しくは維持のために」は、これは検察庁の仕事なので、必然的にこれは除かれますよね。
  • 村上委員
    そういうことですね。
  • 藤谷委員
    あと今回事務局の方で比較資料ということで犯罪捜査等に関する規定として挙げていただいている10条、11条、14条、45条ですけれども、これはどちらかというと、開示ないし通知も含めてオープンにするのを例外規定をするかという観点の規定ではあるんですけど、ということは、これ以外の、いわゆる行政機関法だとか、その他の規定については、例えば、初めのころですけれども、収集の制限とかそういったところの、行政機関法の第4条ですけれども、利用目的の明示というところは、犯罪捜査の場合でも利用目的を明示しなければならないということになるのか。というのは、第4条とかですと、第16回の資料の資料2というところに、平成15年10月1日現在で事務局が整理していただいた比較の表がありますが、当然、実施機関になると、この規定は警視庁についても適用されるということになりますよね。
  • 入谷情報公開課長
    規定では、明示で犯罪捜査とかそういうような記述はなくて、例えば、利用目的を明示してしまうと、事務の執行に支障が生じると、そういうような規定をしております。
  • 藤谷委員
    例えば、法第4条で、例外規定があります。2号で利用目的を本人に明示することにより、本人又は第三者の生命・身体・財産その他の権利利益を害するおそれがあるときに該当するのかという気もするのですけど。
  • 入谷情報公開課長
    3号の方かと思いますけれども。利用目的を本人に明示することによって支障を及ぼすおそれがある。
  • 藤谷委員
    どうもここら辺のところでは、いわゆる捜査機関と犯罪捜査とか、そういうものをあまり念頭に置いたものではない。ちょっとイメージがしづらいのかなという気はするのです。ですから警視庁の仕事をフローで見た場合は、個人情報の収集から利用から保管からすべての面、先ほどちょっと私が問題にしたセキュリティの面も含めてすべて問題になってくるはずです。その意味ではそういった観点から整理していただいて、このままでよいのかのチェックも必要ではないかと思うのです。
  • 村上委員
    藤谷先生の言われたのは、国の法律の文言……。
  • 藤谷委員
    そうです。国の法律をそのまま、要するになぞるというわけではないんですけれども、今までずっと都の条例の改正で議論してきたときも、警視庁の業務ということでイメージしてきたわけではないので、そうすると、たぶん、もう一回ということですね。
  • 堀部会長
    今日、実施機関の範囲ということで警視庁からヒアリングし、警視庁の意見でも、実施機関になるという趣旨でした。しかし、いくつかの点で条件があるということで、特に検討を要する主な事項としては、収集の制限、個人情報取扱事務の届出・公表、それから各種請求、特に開示請求の適用除外等があげられました。それ以外の資料も含めてもう少し検討しなければならないと思うのですが、委員の中から警視庁が実施機関になる場合には、こういうことで支障が生じるではないかというご発言もありますので、もう一度全体にわたって整理をする必要があります。それはご指摘のとおりですので、そのようにしていきたいと思います。
    では、加藤委員どうぞ。
  • 加藤委員
    警視庁の話のみならず、今の適用除外のところで、法10条2項9号で、本人の数が政令で定める数に満たない個人情報のファイルとなっています。これが今日の消費者団体からの民間の事業者に対してのところで要望が出ているんですが、行政機関も同じように、どのようなデータベースにあっても、個人の情報は対象にしてほしいということから考えると、9号の項目も要らないと思います。
  • 堀部会長
    そういうご意見だということで後で整理をしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
  • 高橋会長代理
    細かいことですけれども、条例の16条と法の14条を比較した場合ですね、どっちが厳しいんですか、同じですかね。何となく条例の方が厳しい……。
  • 堀部会長
    条例は、東京都公安委員会、警視庁を実施機関として入れていませんでしたから、先ほど入谷課長からもありましたように、ごく一般の主税関係、麻薬……。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    麻薬、覚せい剤、税務関係の立ち入りとかです。
  • 堀部会長
    平成2年のときは、国家公安委員会規則が出たりして、警察はこういうもので対応するのだということで、実施機関になるという状況はありませんでした。実施機関になるべきだという意見もたしかあったのですが、今回のような対応ではありませんでした。そこを除いて、知事部局等で持っている情報で犯罪捜査も麻薬とか覚せい剤とかいくつかあるということだったので、現行の規定になっているのです。これもどうなのか。
  • 高橋会長代理
    国の方は5号で行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報と、長の判断を尊重する書き方になっていますね。犯罪捜査等に関しては、今度は入れるとすればそういうことが必要になってくるのか、それとも、今の条例みたいに、「支障を生ずるおそれがあるとき」と言っていいのか、そこら辺はどうなのかなという感じを持っているんですね。
  • 堀部会長
    どうぞ。
  • 木村委員
    単純なことなんですけれども、犯罪の予防みたいなものが入っていないというのはかなり大きい違いなのかもしれません。
  • 堀部会長
    都の方ですか。
  • 木村委員
    はい。
  • 藤谷委員
    副会長のご指摘のところは、都の現在の条例は、一般的に事務の適正な執行に支障が生ずるおそれがあるときと、同じような文言が何か所か出てきていて、そういう意味では、それはあまりにも網が広すぎるのではないかという議論も行われていると思うのです。それはそれでまた同じような形で後で通しての見直しが必要かなと思います。確かに行政機関法の方がそういうことについて相当な理由があるという客観的な適正性みたいなものを要求しているという意味では、より好ましいと思いますけれども。
  • 高橋会長代理
    私は逆に読んでいたんです。
  • 堀部会長
    そこはこういうことです。情報公開法との関係がありまして、情報公開法の不開示情報の5条の3号の国の安全、4号の犯罪捜査等のところは、すべて第1次的には行政機関の長が判断するのですが、それにもう一つ、相当の理由があるということで不開示にできるという、むしろ不開示の判断について、ある意味では二重に行政機関の長の判断を尊重している規定です。これは情報公開法の制定のときも議論をしたのですが、外国の立法例等でも同種の考え方をとっているところがあります。その考え方が行政機関個人情報保護法でも入ってきているのです。
  • 高橋会長代理
    裁判所が判断するときに、条例の場合は、裁判所でもおそれがあるとか判断しちゃうけれども、法の方は、裁判所が行政機関の判断を尊重してやりますという趣旨ですか。
  • 堀部会長
    そういう趣旨なのですよ。
  • 藤谷委員
    じゃ、行政機関の長の裁量の余地が入っているだけ、むしろ広くなっていると。
  • 堀部会長
    はい。
  • 藤谷委員
    そうですか、分かりました。
  • 堀部会長
    ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
  • 橋本委員
    条例16条本文は、これも開示しないことができるという裁量的な規定になっている。ここの読み方も、裁量的な不開示というのを読み込んだ規定になっている見方もできる一方で、高橋先生ご指摘の要件があったとしても、裁判になったときにどうなるかというときに、開示するしないのところに裁量が書いてあるという形になっている。法律の方は、請求権はとにかくあるという形で、裁判所にいったら要件さえクリアすれば認められるのだけれども、要件のところの判断に行政庁の裁量を認めるという、裁量の持っていく場所が違っているのです。ここら辺りも国の法律との並びでいうと、本当に裁判になったときどうなるのだろうというところが分かりにくくなっていて、このしないことができるという、裁量があるという意味がどうなのかという辺りも、一見細かい条文技術のような感じがしますが、少し問題で、不開示の理由をはっきり書いて、こっちに柱書きに裁量があるという構造になっているということは、ちょっと問題でないかと思います。
  • 堀部会長
    旧情報公開条例の規定がこの方式です。個人情報保護条例もそれにならっているのです。ところが、情報公開法は、開示義務として定めて、不開示情報を類型化し、そこの裁量はなくて、公益的裁量開示を7条にもってきています。その辺りも全体として、どういうように都の条例を構成していくのかということにもかかわってきますので、一度全体を整理してどういう規定ぶりにするかということを考えないといけないと思うのです。
    このしないことができるという規定が裁量行為なのか覇束行為なのかも一時議論があったこともあるのですが、ご専門の立場でいろいろご発言いただければと思います。
    実施機関の範囲について、ほかにご発言ありますでしょうか。
  • 加藤委員
    今日、警視庁の方がお話になりましたが、公安委員会は一体として考えておけばいいわけですか。
  • 堀部会長
    先ほどの図を見ていただければ分かりますように、公安委員会があって、その下に警視庁があるわけですね。実施機関とすると、公安委員会、それから警視総監という、そういう定め方になると思います。
  • 加藤委員
    並べて書く形になって。
  • 堀部会長
    情報公開条例がそうなっています。この条例において、実施機関とはこれこれで、公安委員会があって、それから後ろの方に警視総監及び消防総監、こういうように出てきます。こういう規定の仕方になると思います。
  • 加藤委員
    分かりました。
  • 堀部会長
    それでは、実施機関の範囲につきましては、具体的な事務でどういうものがあるのか、それが公開の場で出せないということになるのか、ある程度このくらいで理解してほしいというようなことで出てくのか、それは事務局と相談して進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
    それでは、もう一つ今日予定していますのは、これまで議論してきていることの整理です。いろいろなご意見がありまして、まだ調整が済んでいないところが多々あります。少しこれまでのものを整理していただきましたので、その説明をまずお願いしたいと思います。それでは、入谷課長お願いします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、資料4をお開きいただきたいと思います。審議会におけるこれまでの検討内容をまとめたものでございます。
    今日、実はこの中でやり残した部分を本日審議していただこうとも思っていたんですけれども、残りの時間もわずかになってしまいましたので、できればしていただくということで、ざっと説明だけをさせていただきます。
    まず一つ目の「条例の全体像、条例の目的等」という部分でございます。これにつきましては、いろいろな意見をいただきましたが、IT社会の進展を踏まえた保護策というのが必要であろうというような部分では、概ねのコンセンサスをいただけたかと思います。それで、「残された課題」としてはIT化の進展を条文上規定として盛り込むかどうか。それから、民間部門とのかかわりをまた目的規定の中で盛り込んでいくのかどうかといったようなことが二つ大きく課題として残されてございます。条例の目的につきましては、全部をやってから、また戻って検討しようという話になっていたというふうに理解してございます。
    二つ目の「収集の制限」でございます。これにつきましては、個人情報の収集制限自体は、東京都の場合は非常に厳しく規定をしてあるので、例えば、本人から直接収集することですとか、センシティブ情報の原則収集禁止といったような規定があるので、特段の改正の必要はないのではないかというような方向性をいただいてございます。それから、「残された課題」としては、一つ目は、法の方では利用目的の明示というような規定もございますけれども、そういった点はどうするか。それから二つ目としまして、本日の話題でもありましたけれども、実施機関が拡大されることから見て、規定に再検討を加える必要があるのかどうかというような課題が残ってございます。
    それから、三つ目の「適正管理」でございます。これは概ねの方向性、目的のところとダブリますけれども、IT社会の進展を踏まえた保護策というのが必要であろうというようなところでは概ね方向性をいただきましたが、具体的にそれを条文上どのように規定をしていくのか、あるいはまた条文上は規定をされなくても、今後庁内への指導として留意していくべき点としてはどのようなものがあるのかといった点で、ここのところの方向性がまだ全体の中でも特にはっきりとしていない部分かなと思っております。ここの分野につきましては、さらにご意見をいただいて方向性をいただければというふうに考えてございます。
    次の「委託に伴う措置、受託者の責務」というところでございます。非常に重要な部分でございまして、これにつきましては、改正の方向性としては、より厳格な個人情報の保護策を検討していくべきだろうというようなご意見をいただいてございます。それをまた条文上どのように規定をしていったらいいのかというようなところは、残された課題と理解をしてございます。
    それから、「利用停止請求権」です。これにつきましては、まず利用停止請求権の導入につきましては、導入をすべきだろうというところで意見の一致を見たというふうに理解をしております。それから、利用停止請求権を行使させるに当たって、開示請求を前置とするかどうかについては、議論がまだ途中になっているというふうに理解をしてございます。それから、利用停止請求権の請求期間についてですが、これは現在の訂正請求権についても、東京都の場合は請求期間の制限を設けていないので、請求期間の制限は、利用停止請求権についても要らないのではないかというような方向で意見が一致したというふうに理解してございます。
    では、次のページを開けていただきまして、「非開示条項」ということでございます。これにつきましては、ちょっとここで、「主な意見」の欄には細かく書いてございますけれども、時間もございませんので割愛をいたしまして、大きな方向性としては、情報公開条例の非開示事由との整合性を考慮すると。情報公開条例が情報公開法と整合性をとっております。国の個人情報保護法が情報公開法と整合性をとっておりますので、情報公開条例と合わせると国の個人情報保護法、それから東京都の情報公開条例とほぼ大体同じような方向で一致をしてくるので、整合性を考慮するという点では、先生方から特段の反対意見もなかったように考えてございます。この部分、これから答申等でどのように書いていくかというのはちょっと課題でございます。
    それから、次の「個人情報取扱事務の届出、公表・公示」でございます。ここの部分につきましては、比較的意見が概ね収れんをしたように考えてございます。「改正の方向性」としては、一つ目では、現行どおり、個人情報取扱事務を届出の単位とするということでいいのではないかというようになったと思っております。それから、届出の内容に、現在は委託関係の項目が入ってございませんけれども、なかなか、個人情報の流出事故にもつながる部分ですので、届出の項目として委託関係を追加すると。それから、今まで事務の届出は「東京都公報」をもってやっておりましたけれども、実効性にも乏しいので、インターネットを活用した公表方法を検討するといった辺りで先生方のご意見の収れんを見たというふうに考えてございます。
    それから、「職員等に対する罰則」ということですが、これは前回いたしました。これもまだ方向性がはっきり分からない部分もございますけれども、法律で規定されている程度の罰則は条例でも規定をすべきであろうと、しかしながら、それ以上のものが必要かどうかといった点については、まだ議論が収れんをしていないというふうに理解をしてございます。ただ、それ以上必要だというような積極的な意見もなかったというふうに考えてございます。
    それから次のページでございますが、「利用提供の制限」でございます。ここは前回オンラインによる利用提供をめぐっていくつか意見をいただきました。オンラインによる個人情報のやりとりというのを基本的にどう考えていくべきなのかといった辺りでもう少しご意見をいただければというふうに考えてございます。
    それから最後、「審議会の関与」でございますが、これにつきましても、特段今のところ、方向性というもの、はっきりしたものがございませんで、そもそも審議会が関与すべきなのかどうか、それから、関与するとした場合は、どういった事項に、どういった方向で関与していくべきなのかといった辺りが残された課題となっているというふうに理解をしてございます。
    これから、それぞれの回で余った時間等を使ってこの辺りについてご意見の方向性をいただければというふうに考えてございます。以上です。
  • 堀部会長
    何か質問、はい、どうぞ。
  • 加藤委員
    大変ご面倒なことをお願いしたのを、まとめいただいてありがとうございます。いろいろと思い出しました。
    それで2ページ目の非開示条項のことなんですけれども、たしかこの日は利用停止請求権と一緒で、こっちの方に時間があまりなくて、それで、特に残された課題が残らなかったという気がしているのです。それで、私の個人的な希望なんですけれども、非開示条項を情報公開条例、あるいは国の2つの法律と整合性という形で、整理してしまってよいものかどうか、時間があれば先生方のディスカッションをもう少しやっていただきたいなと思います。
  • 堀部会長
    いずれにして中間報告でまとめますので、その時点でもご意見があれば出していただきたいと思います。
  • 加藤委員
    できるだけ、行政の担当者の裁量が働かないような仕組みを都民としては希望しているとは思うのです。そういうことも含めてもう一度考えた方がよいと思っているのですけれども。
  • 堀部会長
    その点についての意見であるということですね。
  • 藤谷委員
    同じく2ページの一番下の職員等に対する罰則のところ両罰規定に関しては、この委員会としては、両罰の方向でというニュアンスがとれていたのかなと思っていたので、もう一度確認をいただきたいのと、それから、いわゆる委託先までは、要するに行政機関法等でも書いてありますけれども、再委託や再々委託先の問題についてはまだ議論が不十分だったと思うのす。それについては、私としてはしっかり提案を別途したいと思っています。ここはそういう意味ではまだ途中だと、もしそれを入れるとなると、行政機関法よりももうちょっと広くしていただきたい理由も私なりに持っていますので、そういう余地は残していただきたい。
  • 堀部会長
    最後に、適正管理について、短時間でよろしいですけれども、意見を伺えればと思います。1ページ目の三つ目のところですね、この辺りは、特に藤谷委員いかがでしょうか。
  • 藤谷委員
    まず最初に私が議論を出させていただいた例の二階建てとか、この点については総務省の方で住基ネットの技術的基準という総務省告示の改正がなされて、一応、都のレベルだけではなくて、市町村も含めて国等についての調査要求権とかというものはある程度は拡張されたという流れはあります。ただ、都の都民に対する姿勢として、国がやったから、しかも国の内容も決して十分ではないと思いますので、その辺を含めた議論はもう少し必要だと思います。私の見解としては、都は全国の自治体のトップリーダーとして、もう少し都民に対する責任を果たすような、国や他の自治体に対する調査だけではなくて、改善要求権を含めた内容を盛り込むべきではないかと思っています。ただ、それは二階建てにするか、この条例の中で盛り込むかはありますが、そういうものは盛り込んでいただきたいという意見です。
  • 堀部会長
    その点が個人情報保護条例の体系なのか、セキュリティの体系として考えるのかという問題があります。
  • 藤谷委員
    個人情報保護とセキュリティの問題に関しては、行政機関法、基本法の中の20条で適正管理というのがやはり盛り込まれていて、あれは……。
  • 堀部会長
    個人情報についてだけですね。
  • 藤谷委員
    そうなんです。ですから、都民の個人情報に限ってのセキュリティという意味では、もちろんセキュリティについての条例等がつくられることは望ましいんですが、しかし、セキュリティの中でも、個人情報の漏洩がやはり大きなテーマでありますし、実際の漏洩事件等で被害が大きいのもその部分ですから、この部分に関してせっかく条例の改定の経緯がありますから、ぜひこの中には盛り込むべきだろうというのが意見です。セキュリティについても、もう少し盛り込んでもいいだろうと思います。
  • 堀部会長
    そういうご意見ですが、その辺りはいかがでしょうか。どうぞ。
  • 加藤委員
    どこの部分で私がお願いしたかちょっと忘れたんですけれども、要するに、不測の事態で、これは都民の個人情報保護上問題だというような事態が起きたときには、直ちにそれに対してその状態を止めたり、調査したり、その原因を取り除く義務が行政にある、都知事にある。そういう作業をする中の一つとして、藤谷委員がおっしゃったように、時には、国に対して要求もあるかもしれないし、あるいは隣の自治体に対して発言していかなければならないのかもしれない。そういう適正管理上必要な仕事を都知事の責務というようなことで明記された方がよいと思うのですけれども、そこの項目になるのかどうか分かりませんけれども。
  • 堀部会長
    他の自治体に対してどうこうするというのは難しいと思うのですね。
  • 加藤委員
    それは言えないんですか、住基ネット絡みのことというのもあるじゃないですか。
  • 藤谷委員
    今、加藤委員がおっしゃっているのは、例えば都民の情報が他県から漏れたというときに、他県知事に対して調査して報告を求めるだけでなくて、何かあったら、そっちでも改善してくださいということを都の条例の中に盛り込むということでしたら、既に23区レベルでは、数区がそういう改善意見も含めて規定したりはしています。もちろん、地方自治法上の関与法定主義の問題は出てくるのですけれども、ただ、解釈的には可能ではないか、すべきではないかと思いますので、私も加藤委員と同じ意見です。
    それからあともう1点、IT推進室の方も来ていただいて議論したときに、都のこれからの個人情報保護の運営の仕方についてすごく重要だなと思ったのが、IT推進室の方は、ITのことに関しては専門家でやっていらっしゃるけれども、個人情報についてどう思いますかと言えば、それはちょっと所管ではないのでとのお答えです。縦割りとは言わないんですけれども、やはりそこはある。情報公開担当の方々は、ITのことは、住基ネットだろうがLGWANだろうが、あまりにも高度過ぎてよく分からない。この両方が同じ東京都という組織の中で、一方が一方に対してよく分かっていない。問題は、この条例の目的ともかかわるんですけれども、ITが、しかもネットワークと重なることによって、そういう危険性がより増しているのに、法務部門はITのことが分からない、IT部門は法務のことは分からない、どうも間が真空地帯になってしまって、そこでどうもうまく機能しない。
    それはやはり、例えば、組織的にセキュリティ全体で言えば、情報管理ということだったら、東京都にもチーフ・インフォメーション・オフィサーみたいな位置付けを盛り込むのかということもありますけれども、あくまでここの守備範囲で言うのだったら、今、加藤委員がおっしゃっているのと同じ意味で、東京都の中に両方を所管する、住基ネットワーク、LGWANだったら、こんなことがシステム的に問題だから、個人情報でもこんな問題が発生するというような組織的な対応がなされないと、都民に対して都が個人情報を守る体制をとっているのか不安なところがあります。それはどこに盛り込むかは思案中ですけれども、最終的にはどこかで盛り込んでいただきたいという強い希望を私も感じたんですけれども。
  • 堀部会長
    内部組織の問題になってくる面もあるように思うのです。
  • 藤谷委員
    それ自体は、都民に対する責務だと思うのです。
  • 堀部会長
    それは、答申を受けて、知事としてそれに対応するということではないかと思うのですが。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    非常に貴重なご意見をいただいたのですけれども、確かに縦割りの組織でありますから、住基ネット、IT関係は総務局、情報公開・個人情報保護は生活文化局に分かれておりますけれども、仕事としては、皆さん方からもいろいろご意見、ご質問が出るように、常に連携プレーをしてやっているつもりです。今回の個人情報の条例改正の中で、条例の中でどういうふうに規定していくのがいいのかということが、いわゆる、ここで言った適正管理のところで一階建ての同一条例でやれるか、個人情報の条例とは別に、ほかの区市町村の例でも、基本的には二階建ての別の条例で、いわゆる住基でしたらば住基に絡めた別の条例で規定するのが多い。若干の自治体では、個人情報の条例でやっているところもありますけれども、それらはテクニックになるかと思います。ご意見はよく分かりますので、都民に対しては全く支障ないように我々はやっていかなくてはいけないと思っていますので、そこら辺は運用の問題でありますので、ご意見は分かりました。
  • 藤谷委員
    民間企業でも同じような問題に逢着していまして、システム部門と、法務や企画部門とが別々だったけれども、これは別々にしたのでは、どうもうまく機能しないということで、大きな企業でも、いわゆる情報企画部門が組織的につくられ始めております。それはまさに双方をくっつけたり、間が離れてしまって、さっき言った真空地帯が埋まるのを防ぐという意味ですから、これは条例の中に盛り込むかどうかという、そういったこともぜひ意見として受け止めていただければと思います。
  • 堀部会長
    そういう意見があったことを報告書に入れるということでもよろしいのかと思うのですけれども、民間の場合は、外国の例なども参考にしながら対応していますが、都の組織になると、ここでどうすべきかというわけにはなかなかいきませんので、要望として出して都として考えていただくことになろうかと思います。これはいろいろ言えばきりがないんですけれども、そうなると、本当はヨーロッパ型のきちんとした独立監視機関があって、その中にセキュリティの問題も個人情報の問題も、すべて扱えるようなものができればよいのですけれども、日本ではまず国でもできませんでしたし、もうそれは……。
  • 藤谷委員
    国では、ISMSといいまして、インフォメーション・セキュリティ・マネジメント・システムについての、いわゆる、これもJISにまでなっていまして、JISのXの5080をベースにして、組織的なマネジメントの体制がセキュリティ、個人情報も含めてできているかについての認証制度もあります。去年10月31日に、全国の自治体の中で千葉県の市川市が初めて取得したということもあります。そういった意味では、神奈川県がプライバシーマーク、同じような制度で個人情報についてのPマーク(プライバシーマーク)制度があるのですけれども、東京都も世帯が大きいとはいえ、それだけ情報をよりきちんと管理する体制を整えてしかるべきです。、そういった意味では、条例の整備、マネジメント面でのルールづくりと同時に、実質的にそれを動かす体制を整備するために、例えばISMSの認証をとるとか、それからプライバシーマークをとるとか、こういった動きにもぜひ結び付けていただきたい。
  • 堀部会長
    条例に関して。
  • 藤谷委員
    はい、分かりました。そういった関連という意味で。
  • 堀部会長
    趣旨は分かります。要望書として出ているものにつきましては、また個人情報取扱事業者などはどうするのかということでも議論しなければならないだろうと思います。ほかにいかがでしょうか。
  • 藤谷委員
    警視庁に今後お願いしたいのは、先ほど情報漏洩の事例を挙げたんですけれども、過去の漏洩事件を見ていて、何が類型的に一番多いかといったら、残念なことですけれども、地方自治体で一番多いのは警察官の犯歴情報の漏洩なのです。平成10年か11年かと思いましたけれども、警視庁と愛知県警とで1か月ぐらいの間、相前後して同じような犯歴情報の漏洩が発生した。犯歴情報は、元々情報そのものは警視庁のものでないにしても、個人情報の先ほどの利用、保管という意味も含めて、警視庁としてはきちんと個人情報の保護に当たるべきだと思いますから、それについては、犯歴情報の漏洩を防止するための施策が具体的にどういうふうにとられているのか。どんな具体的な再発防止のための手続をとられたのか、警察の中にどういうふうな規定を盛り込むかという点にも関係してくると思いますので、お願いしたいなと思います。
  • 堀部会長
    できるだけ具体的なデータを出していただくということで、どこまで出していただけるか分かりませんが、そういうことで要望してみたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
    実施機関の範囲がはっきりしないと、他の規定もどうするのかということを明確にできず懸案になっていました。今日の段階で、実施機関になることについては、そういう方向になってきたかと思います。今回、個人情報保護法ができ、行政機関個人情報保護法でマニュアル処理を含む個人情報保護措置がとられたことに伴いまして、都道府県警察も実施機関に入る、こういう状況が出てきたかと思います。それが今日の段階で非常に明確になったということは大きな成果ではないかと思いますので、今後いろいろなデータなどをもとに具体的に詰めるべきところは詰めていきたいと思います。ということでよろしいでしょうか。
    課長の方で次回の日程をお願いします。
  • 入谷情報公開課長
    次回は3月3日でございます。場所は今回と同じで、時間が今日と同じ夕方5時半からになります。ここは民間部門についてご審議いただきます。それから次が4月6日午前中、4月20日午前中でございます。この辺りで中間のまとめを出させていただきます。その次が5月25日午前中でございます。最終の答申案についてのご検討をいただくと。それからもう一回6月15日、これが答申案についてご検討いただくということで、ここまで決まってございます。最終的な答申をいただくのが7月の初旬か6月の終わりか、もう一回お時間をいただいて会合を開かせていただくことになると考えてございます。
  • 堀部会長
    それでは、長時間にわたりましてありがとうございました。これで終わります。

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