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平成29年(2017年)2月7日更新

情報公開・個人情報保護審議会 第25回議事録

第25回東京都情報公開・個人情報保護審議会

平成16年6月15日(火曜日)
東京都第一本庁舎42階 特別会議室B

  • 堀部会長
    おはようございます。ただいまから、第25回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開催させていただきます。
    本日の議事ですが、お手元の会議次第にありますように、最初に「中間報告に寄せられた意見について」、次に「答申(案)の検討について」となっております。
    早速、審議事項に入らせていただきます。
    まず第1の「中間報告に寄せられた意見について」です。前回の審議会におきまして、それまでに寄せられた意見の説明をいただきましたが、その後寄せられた意見もありますので、事務局から説明をお願いいたします。
    それでは、入谷課長、お願いします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、中間報告に寄せられた意見についてご説明をさせていただきます。
    中間報告に寄せられた意見をまとめたものが資料1でございます。前回、途中までの段階でご報告をさせていただきまして、その後に寄せられたものを、ゴチック体で記載してございますので、そこを中心にご説明をさせていただきます。
    それでは、資料1の「中間報告に対する主な都民意見」でございます。
    まず「目的」です。上から3つ目、「個人情報保護制度が、個人の基本的人権の尊重、個人の尊厳の尊重を具体的に実現するものであることを明確にすべきである」というご指摘をいただいております。これは、上の2つで、1つ目はプライバシー保護、2つ目は自己情報コントロール権、今回いただきました3つ目で基本的人権の尊重、個人の尊厳の尊重、このようなワードがあるわけですけれども、これについては、現在の答申案では、これらの言葉は直接用いていない案になっております。
    その次ですが、「新たに利用停止請求権を設けること、民間事業者への支援等を規定することには賛成である」というご意見をいただいております。
    それから、「個人の権利利益の保護を前提に都政の適正な運営があるとすべきだ」という意見をいただいておりまして、この目的規定の「個人の権利利益の保護」と「都政の適正な運営」の順番につきましては、前回、委員からご意見を多々いただきまして、本日、これからお示しします答申案では、前回とは違う書きぶりになっておりますので、その時にまたご説明をさせていただきます。
    次に、2の「実施機関の拡大について」でございます。今回新規のものは上から4つ目です。大体同じような意見でもあるのですけれども、「警察の従来の個人情報の取り扱いについて見直し、どのように個人の権利利益の保護を図るのか、という視点からの議論が重要である」、「『公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある事務』を対象外とすることはやむを得ないが、行政警察的な事務について拡大されるあいまいさがあり、適用除外の範囲を明確にすべきである」というご意見がございました。この点につきまして、前回、適用になる警察業務についてもっと明確にする必要があるのではないかという意見を委員からいただいておりますので、これも本日の答申案では若干記述を変えてあります。また後ほどご説明をさせていただきます。
    3の「収集に関する制限」でございます。これのゴチックのところですが、上から5つ目です。「実施機関の本人への収集目的の明示の義務を定めるべきである」、これは前にも議論になったところです。その時は、法律は明示の義務がありますけれども、東京都の条例の場合、基本原則として本人収集を置いてあるので、特には要らないのではないかという議論が審議の途中であったかと思います。
    次に、「収集目的以外にも第三者への提供、外部委託の有無等も本人に通知すべきである」ということで、本人通知については、特にこの審議会の席上では論議は行わなかったように思います。後ほど、ご意見があればいただければと思います。ただ、これにつきましては、平成2年当時の個人情報保護条例制定の時の懇談会でも話題になっておりまして、本人通知ができればいいかもしれないけれども、事務量からして非現実的な面もあるということで前回は見送られたと聞いております。
    次に、「本人外収集について、2号の法令等に定めがあるときとは、法令等で明らかな定めがなければならないとすべきである」というようなことで、現在は、法令の趣旨からそう理解される時も本人外収集が認められるという規定になっている点を受けてのご意見かと思います。ただ、この中で、東京都の場合、本人外収集というのは経由事務の時が多くなっております。区市町村からデータが上がってきて国へ渡す時の経由事務で、それは法令の趣旨から、本人外収集でやむを得ないと現在は解しているところでございます。
    次のページの4、「個人情報取扱事務の届出・公示・閲覧」でございます。上から4つ目のゴチックですが、「犯罪捜査の内容などを推測させるようなものについては、記載内容の簡略化を認めることにより、届出について、警察に対する例外を認めないことは可能である」、「都公安委員会(警視庁)について届出・公示・閲覧や個人情報の管理・利用・提供については、例外を設けないことを強く要望する」、「条例で、目的外利用や外部提供を届出事項として明記し、その具体的内容も公示されるべきである」ということで、上2つについては、事務の届出・公示について、警察業務の例外にすべきではないというご意見でございます。今の答申案では、一定の場合、やむを得ないのではないかという考えになっております。
    5の「適正管理」でございます。これについては一番下ですが、「適正管理のためのコストについて、予算措置が継続的に講じられるよう要望する」ということが新たに寄せられております。
    6の「委託に伴う措置、受託者の責務」でございます。上から4つ目からが新たなものですが、「再委託は禁止すべきである」というご意見でございます。これにつきましても、前回、委員の方から、再委託の禁止について、もう少し明確にするべきではないかというご意見をいただきまして、本日の答申案の方にその趣旨で書き加えたところがございます。
    「委託後の管理が重要であり、実施機関は、そのための調査などの必要な措置をとる義務があることを盛り込むべきである」というご意見をいただきまして、これにつきましても、本日の案に記載をしてございます。
    7の「利用・提供の制限、実施機関以外のものとのオンライン結合」の項目でございます。これにつきましては、上から5つ目からが新規にいただいたご意見です。「明らかに本人の権利利益を侵害しない場合、緊急の場合以外については、審議会が関与する仕組みを設けるべきである」でございます。これは、今後、「審議会の関与」のところで、本日の答申案に、審議会が関与すべき事項について具体的な記載を設けております。
    「オンライン結合を行う場合、公共性、公益性といった、都民との関係を判断基準とすべきである」という意見も、今の条例で一応、事務の執行上、必要かつ適切という表現では入っております。
    「電子申請による都民からの個人情報の提供に比べ、機関間のオンライン結合は特に規制が必要である」という意見、「法令に基づく目的外利用・提供について、基本的に本人が知ることのできるような方法をとるように配慮すべきである」ということで、今、法令に基づいて経常的な目的外利用・提供は、実績としては、ないという位置付けになっております。
    8の「個人情報の開示・訂正・利用停止」の下の方ですけれども、「訂正・利用停止請求権については、開示請求により開示された個人情報に限定せず、存否応答拒否規定を設けることで対応が可能である」というご意見をいただいておりますが、これは、現在の答申案では、開示請求を前提とした仕組みになっております。
    「利用停止請求が認められた場合は、同じ事務の個人情報の取扱状況について検討し、個人情報の取扱いそのものを停止できる規定を整備すべきである」というご意見をいただいております。
    次に、「訂正請求等の規定が他の法令にない場合は、条例による請求も可能とするよう改正を希望する」。「職員情報に対する開示請求については、原則認めるべきである」、これにつきましても、前回の審議会の席上で、職員情報について開示請求権を認めるべきであるというご意見をいただいておりますので、その方向で本日の答申案には記載しております。
    4ページの「非開示情報」のところについてご説明をさせていただきます。「非開示情報」につきましては、かなり意見をもらっております。新たなものとして、「審議・検討・協議情報について個人情報を本人に開示することで不当に都民に混乱を生じさせるというのはいかなる事を想定しているのか、不明である」というご意見をいただきました。これは、前回の「非開示情報」のところに、審議・検討・協議情報を本人に開示すると、不当に都民を混乱させる場合は非開示という規定を設けるという記述がございましたけれども、「本人に開示すると不当に都民を混乱させる」のところがよく理解できないというご意見だと思います。
    それから、「今回の提言は、非開示情報であってもその事案によって実施機関の判断で公開してもよいと判断することを制約するように思われ疑問である」というご意見でございます。ここは分かりにくいのですが、現行の条例では、非開示情報であっても、場合によっては、本人に開示することができることが読める規定になっております。それを今度の改正では、非開示情報であれば絶対に本人に開示をしてはいけないと読めてしまうというご意見でございます。これについては、本日の答申案の中でも配慮しまして、記載を付け加えておりますので、後ほどご説明をさせていただきます。
    「個人情報保護制度に基づく本人情報開示請求と、情報公開制度による開示は異なることから、同様の支障要件により非開示情報を規定すべきではないかと考える」、これは、今の答申案の中で、個人情報保護条例の非開示条項が、「情報公開条例と整合性をとること」と記載しているところを受けてのものと考えます。現行の答申案の中でも、2つの制度は違うので、非開示条項についてはその差に留意をしなさいというご意見を委員からいただいているところでございます。
    あと、「評価・診断・選考、指導、相談等に関する情報は、国の法律でも原則として開示する方向になっており、原則開示としつつ例外的に事務執行に支障が生じる場合だけ非開示とするように改正すべきである」という意見をいただいております。
    それから、「国等との関係機関の信頼関係を損ねるという規定については削除すべきである」、これは、地方分権推進の観点から非開示条項として設ける必要はないという意見をいただいております。
    10の「審議会の関与」ですが、新たな意見が5ページにございますので、そこをご覧いただきたいと思います。「『公共の安全と秩序の維持』のための情報が適用除外とする判断基準策定のために第三者の関与が仕組まれることを要望する」というご意見ですが、現在の答申案では、審議会の関与では、この事項にまでは及んでいないという案になっております。
    11の「民間事業者指導」でございます。上から2つ目以下が新たに寄せられた部分です。「指定管理者においては、監理団体以上の個人情報保護に関する措置が必要である」ということでございます。これは「監理団体以上」にすべきだという意見ですが、現在の答申案では、監理団体と同等という考えになっております。
    「5000件以下の個人情報を取り扱う事業者への明確な責務を課すことに賛成する」、「都民への周知については、明確に記載する必要があると考える」、「小規模事業者にはノウハウや人材、費用負担等の困難がある。団体の内容によって区別し、市民団体等は自主性を尊重する規定にし、中小企業に対しては普及啓発だけでなく負担軽減のための仕組みも検討されることを要望する」、「『個人情報取扱事業者』の基準に満たない民間事業者について、個人情報取扱事業者に準ずる実体的な規定をおいて指導が行えるようにすべきである」ということで、方向性としては、5000件以下の事業者についても個人情報を守っていく責務を与えて、その方向で行政庁は指導等を行っていくべきであるという意見をいただいていると理解しております。
    12の「苦情処理・あっせん」でございます。上から2つ目ですが、「事業者への調査、助言、指導等の手続は最低限設けるべきである。事業者の個人情報保護の取組みを促進するため、登録制度などの導入もあわせて検討すべきである」、「都の消費者センター、区市町村の消費者センターが積極的な役割を果たすよう位置づけてもらいたい」、「苦情処理に関する措置を条例に規定することに賛成する。既存の窓口の活用以外に、認定個人情報保護団体のうちから適当な団体が関与できるような工夫をすべきである」ということで、苦情を受けて、そこから発展して行政庁が一定の指導をしていくという現在の答申案に盛り込まれている考えについては、基本的にご賛同いただいていると考えております。
    以上が新たに寄せられた意見でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    「中間報告に対する主な都民意見」という資料1について説明をしていただきました。これについて何か意見があればお出しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    むしろ、答申案の検討をする中で、この意見をどのように反映させることができるか、あるいは、できない場合もあると思いますので、そのあたりについてご意見を伺うということで、今日の審議事項2の「答申(案)の検討について」に移らせていただきます。
    これにつきましても入谷課長から説明をお願いいたします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、本日、「答申(案)」としてまとめてございます。前回の中間報告のところから大きく変わった点だけをご説明させていただきます。資料2でございます。
    まず1枚おめくりいただきますと、「答申に当たって」ということで、まえがきです。ここで、二重線で見え消しにしてあるところが、前回の中間報告の時に記載してあったものです。これは中間報告向けに書いてありますので、それを最終答申向けに書き直したものがゴチックになっているところです。内容的には、上の方から、従来、7人の委員であったが、新たに委員の特別委員を加えて検討を進めたということ。それから、本年4月には中間報告を取りまとめて発表し、その後、意見募集を行い、最終的に本日の答申になったこと。東京都においては、この答申を基に、条例改正など必要な措置をとられたいという記載に変えております。
    続きまして、1ページでございます。ここはずっとゴチック体になっておりまして、中間報告の時にはなかった記述を付け加えてあります。今回個人情報保護制度の見直しを行うに当たっての背景でございます。概ねの内容としましては、東京都としては、平成2年当時に個人情報を策定したけれども、その後、世の中の、高度情報通信化社会の進展、国での個人情報保護法制の成立を受けて、東京都においても条例の見直しが必要になったものであるということを記述しております。
    3ページでございます。ここも二重線で見え消しになっておりますが、これが前回の中間報告の時には、職員情報についての開示請求権については引き続き検討事項となっておりましたけれども、これが前回の審議会で、開示請求権の対象とすることになりましたので、これをつけ加えております。
    それから、IIIのタイトルですけれども、前回までは「審議に当たっての方針」となっていましたが、内容的には、検討結果の概要という方がふさわしいかと思いますので、表現を変えております。
    4ページでございます。「条例の目的」ですが、ここは、先ほどちょっとお話ししたところです。四角の中のゴチックのところで、前回、「都政の適正な運営」と「個人の権利利益の保護」の順番についてご意見がございまして、今までは、個人の権利利益の保護を図るとともに都政の適正な運営を確保するという規定になっていましたけれども、本条例の目的をはっきりさせるために逆にした方がいいのではないかというご意見もいただいておりましたので、本日は順番を入れ替えた案でお示しをさせていただいております。「条例の究極の目的が都政の適正な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することにあることを明らかにすることが適当である」という記述にしております。これを受けて、条例を作る時の条文もこのような順番になろうかと思います。
    5ページの「実施機関の拡大」のところでございます。これは、下の「説明」のところで、ゴチックの部分が新たに付け加わりました。ここでは、基本的に、東京都公安委員会を実施機関に加えた場合、「適法かつ公正な手段により収集しなければならないとする規定や適正管理の規定は、都公安委員会の業務にも適用されるべきものである」ということを最初に明らかにいたしました。
    その次に、具体的な事務を示しまして、「家出人捜索願の受理、遺失物の取扱い、運転免許証の発給、道路使用許可申請受理等の事務については、都の行う一般的な事務と同様に扱われることが適当である」ということで、ゴチックのところで、この条例が全面的に適用になる都公安委員会ないしは警視庁の業務について明らかにしたものでございます。
    次の6ページの一番下のゴチックも新たに付け加わっております。都公安委員会と警視庁の条例の施行時期ですけれども、「新たに制度を開始することに伴い、制度の適正かつ円滑な実施を図るための準備期間が必要である場合には、施行時期について考慮する必要がある」との記載を追加しております。
    11ページをご覧いただきたいと思います。「適正管理」のところでございます。「説明」の2つ目の○印のところで、ゴチックで、技術的なセキュリティ確保の一つの具体的な例として追加しております。「将来的には生体認証の導入を検討するなど」という具体例を追加させていただいております。これは、都民の方よりいただいた意見を反映させたものでございます。
    次に、13ページの「委託に伴う措置、受託者の責務」のところでございます。このあたりも、都民の方からいただいた意見を反映してあります。「委託に伴う措置」の下のゴチックのところですけれども、委託をするに当たっては、「委託後の管理が重要であることから、その内容が遵守されているかを履行中に監督・監査する権限を留保することが必要である」としております。現在も、契約書の中にはこのような記載を盛り込むことになっておりますけれども、この答申で新たに認識してもらうことができればよいのではないかと考えております。
    それから、「さらに、個人情報保護の重要性にかんがみ、個人情報取扱いの態様が委託者の管理の及ばないおそれのある再委託については原則として禁止することが適当である」という記載を付け加えております。
    16ページをお開きいただきたいと思います。四角中で見え消しになっていますが、これは、職員情報に対する開示請求権のところが、中間報告の段階では「引き続き検討する」となっていたところを書き改めたものでございます。「現行条例は、実施機関の職員又は職員であった者に係る事務に関して記録された個人情報については、開示・訂正請求の対象から除外しているが、これを改め、当該情報についても開示・訂正・利用停止請求権の対象とすることが適当である」と書いてございます。
    それを受けての解説が17ページにつけ加えられております。ここの記述の概要ですが、一つは、ILOにおける行動準則が示されて、この行動準則の中で、労働者の開示請求権が認められていると。このような流れを受けて、国の個人情報保護法、基本法ですけれども、これも民間事業者について、従業員情報について開示請求権を想定しての制度の構築が行われていると。そしてまた、行政機関法についても、同様に、行政機関の職員に開示請求権を付与している。したがって、都の職員についても請求権を認めることが適当であるという流れの記述になっております。
    続きまして、18ページの「非開示情報」でございます。ここに、新たに「裁量的開示の規定を設けることが適当である」を入れております。現行条例では、非開示情報が記録されている時は開示しないことができるというような記載ぶりになっていまして、諸般の事情から、非開示情報に該当しても本人に開示する場合もあるというような読み方ができる規定でしたけれども、それを今回の答申では、非開示情報が記録されている時を除き開示しなければならないと書き直すようになりました。そうしますと、非開示情報が記録されていれば開示してはならないとなってしまいますので、裁量的に、本人に開示することがあり得るという規定を設けることが適当ではないかということで入れております。そのような趣旨で18ページの解説も書いてございます。
    続きまして20ページです。ここは、「人事管理に関する情報」が付け加わっていまして、職員の開示請求権が認められることになり、それに応じて、職員または職員であった者に自己情報を開示すると、公正円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報については非開示とする旨の非開示条項を追加することが適当であるという解説でございます。
    それから、「その他」ということで国の非開示条項には、開示請求者の生命・健康・生活または財産を害するおそれがある情報については、本人に開示しないという規定がございます。これは、行政庁の方で、この情報を本人に開示すると、本人の生命・健康・生活、財産がおびやかされると判断して非開示にするという条項で、使い方がなかなか難しい条項です。ほかの県の審議会では、この条項は不必要だという議論もありましたので、本日はご意見をちょうだいできればと思います。
    本日の案では、一つは、東京都の条例では既に、評価・診断については、事務に支障がある時は非開示とすることができるという規定もあるし、法定代理人による開示請求についての記載もあるので、必ずしもこの規定が必要かどうかについては、よく検討しなさいという書きぶりになっておりますけれども、この点について、最終的な確認としてご意見をいただければと考えております。
    それから、28ページの「審議会の関与」ですが、前回の中間報告のところでは、審議会が具体的に関与する項目についてはっきりした記載がありませんでしたので、委員からも都民からも意見をいただいておりますので、本日は具体的に記載を付け加えてございます。「個人情報取扱事務を新たに開始する場合に、あらかじめ個人情報の収集先、記録項目、目的外利用・提供の有無、オンライン結合の有無など個人情報の取扱い全般にわたって意見を聴く、基本法51条に基づく勧告・命令を行う場合にあらかじめ意見を聴く、苦情処理の状況などについて報告するなどの関与が考えられる」ということで、具体的に列挙いたしております。
    以上、中間報告から変えた部分でございますが、これをたたき台にしてご意見をいただければと存じます。
    以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    ただいまご説明いただきましたように、前回の中間報告につきまして、この審議会でもいろいろご意見をいただきました。さらに、その後出てまいりました意見を参考にしながら修正していただいております。その修正内容は、ただいまのご説明からもお分かりのように、ゴチック体になっている部分です。先ほどの、中間報告に対する主な都民意見、委員の皆様方のご意見などを出していただいて、できれば、今日、最終的な案にしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
    今のご説明からも分かりますように、第1章の「個人情報保護制度の基本的なあり方」の最初のところに、見直しの背景が追加されています。また、目的規定につきましても、前回のここでの意見なども踏まえて、個人の権利利益を保護することになるということを明確にしていくということがあります。それと、実施機関の範囲につきましては、特に警視庁を加えるということですが、その場合の規定の仕方、特に例外をどうするのか。こういうことがこれまでも議論になってまいりました。
    また、新たに付け加わったものとして、裁量的開示についてどう考えるかということもあります。それと、開示請求権が行使された時に非開示条項をどうするのかということで、先ほど、特に、20ページの「その他」に出ていることについてご意見を出していただきたいということでもありました。それとともに、審議会の関与についても28ページで加わっています。
    ということで、そのあたりが議論の中心になるかと思いますが、そのほかのことも含めていろいろご意見を出しいただきたいと思います。
    最初の方から少し見ていただいて、最後に、全体としてどうするかということでまとめていきたいと思います。
    1ページに見直しの背景について書いてあります。前回の中間報告にはこの部分はありませんで、2ページの・から始まっていたわけですが、これを付け加えて見直しの背景が明確になったかと思いますが、いかがでしょうか。
  • 加藤委員
    中間報告に対しての意見を拝見すると、やはり都政の運営は個人の権利利益の保護があった上で適正な運営が行われると。究極の目的が個人の権利利益の保護であることを書いてくれということであって、そのためにこのような訂正を事務局案ではしてくださったと思います。
    四角の囲みの中の下から3行目、「条例の究極の目的が都政の適正な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することにあることを明らかにすることが適当である」という書き方ですが、これだと、「究極の目的」が「都政の適正な運営を図ること」のように取れてしまわないか。究極の目的は、個人の権利利益を保護すること。今回、「自己情報コントロール権」という言葉を入れることができない状況ですけれども、個人の権利利益を保護することが究極の目的であるとこれで読めるのかどうか。条例の文章になった時に、このようなたくさんの要望に応えているものになるのか、私には分かりにくいのですが、いかがなものでしょうか。
    もう一つは、11ページの「適正管理」のところですが、現行条例の7条の努力義務を義務規定にしてくれという要望が幾つか出てきていますね。これはここに書き込まなくても、実際問題、条例の文章が出てくる時には実現するものなのでしょうか。そこに書いておく必要があるのではないでしょうか。
    以上、とりあえず2点だけ皆様のご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  • 堀部会長
    ということで、ご自分の意見も踏まえながら委員の方々の意見を伺いたいという問題提起です。いかがでしょうか。
  • 村上委員
    事務当局の趣旨はよく分かります。要するに、現行条例のもって書き以下を「究極の目的」という表現をされていると思います。そういう意味で、現行の条例の目的規定の順番を入れ替えるということだと思います。当然、「都政の適正な運営に資する」の部分は除くわけにはいかないだろうと思います。それは一方では図りながら個人の権利利益の保護を図るということだと思いますので、この答申案の内容としては、これでいいのではないかと思います。
  • 堀部会長
    村上委員はこれでよろしいということですね。
  • 村上委員
    はい。
  • 堀部会長
    「究極の」ということだから、そこはかなり強調されているように思いますが、条例の目的は、これを読んでいくと、「都政の適正な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護する」ということになります。前から言っていますように、法律の書き方が大体こうなっていて、個人の権利利益を保護することが主たる目的だと思います。だから、「究極の」は入れなくてもいいのではないでしょうか。「究極の」だけが非常に強調されている感がしますので、削除するということでいかがでしょうか。
    要するに、条例の目的として、この前もそうですが、条例の内容を、細かい条文まで詰めるわけではありませんので、この考え方に基づいて条例案を事務局の方で作るわけですが、その際の考え方を示します。そうすると、ここに挙がっているようないろいろなものというか、条例の内容をこの目的のところで反映するようにすることになりますので、それが出てくればいいと思います。
    この前は、現行条例のように、都政の適正な運営に資することを目的とするとなっているものを、個人の権利利益を保護することを目的とすると規定しようと、この前の意見に基づいて変えたということです。
  • 加藤委員
    それは分かります。私が引っかかるのは、目的が、個人の権利利益を保護することにあるということですが、その間に「都政の適正な運営を図りつつ」がここに入り込んでいるために、個人の権利利益を保護する範囲が、都政の適正な運営を図るために多少狭められることがあるように見えるということを懸念します。それはやむを得ないことなのだろうかということを皆さんに考えていただきたいです。
  • 藤谷委員
    国の法律もそうですが、この条例も、個人情報の所持者の利益だけを図るということでは必ずしもないので、都が行政サービスを提供するために、都民その他の方々の個人情報の提供を受ける。その時に、利用する側としての都の利害と個人情報のオーナーとを調整するという仕組み自体は否定できないと思います。
    ですから、そこでこの中にウエートづけするとしたら、少なくとも、現在の条例では「都政の適正な運営に資することを目的とする」が最後に来ているので、だとすると、どっちが主で、どっちが従かというと、「都政の適正な運営‥‥」が主に読めてしまう。それよりは、この順序をひっくり返して、都政の適切な運営も一方で図る必要があるけど、最終的に、「個人の権利利益の保護を図る」を後ろに持ってきたら、今おっしゃっている主旨も実現されていると法的に読んでいいと思います。
    ですから、先ほど会長もおっしゃっていましたけれども、「究極の」を入れたがために、かえって逆の方に取られてしまうこともあるかもしれませんが、ここの意図自体は、むしろ、今おっしゃっている点を踏まえた表現になっていると私は理解しています。
  • 加藤委員
    分かりました。了解しました。
  • 堀部会長
    加藤委員が言われた、都民の意見として出てきている、基本的人権としてのプライバシー保護とか自己情報コントロール権ということまでは、ここでは入れていないわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。
  • 加藤委員
    仕組みとしては、実際にこの条文の中にあるので、入れられるものならば、入れた方がいいのではないかと思いますけれども、現在のほかの大きな法律との整合性などで難しいのでしょうか。
  • 堀部会長
    いかがでしょうか、こういう権利概念についてはどう考えられますか。
  • 能見委員
    そういう権利を認めていこうという生成途上の段階に今はあるのだろうと思います。ですから、言葉として成熟しているのであれば書いてもいいのかもしれませんけれども、実質的には、そういう権利をこの条例は認めているという理解を示すということでもよろしいのではないかという気もします。
    どこかほかの条例などで、そういう言葉が既に使われている例はありますか。
  • 堀部会長
    事務局、いかがでしょうか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    国会での法案審議の中では、プライバシー権とか自己情報コントロール権についての議論がありまして、なぜ条文に明記されなかったかということでは、私どもが把握しているのは、やはり概念が不明確であることが一つと、本人関与の規定がそれぞれの法文の中にあるので、その趣旨は生かされていると。ほかにも幾つか申し上げておりますけれども、そういうことで明文化していないということがあります。
  • 能見委員
    プライバシーにしても、我々が使う場合も「プライバシーの保護」とかいう言い方をしますけれども、必ずしも「プライバシー権」と常に使うわけではなくて、自己情報コントロール権とかプライバシー権という、そこまではまだ定着していないのかもしれないという気がちょっとします。ただ、実質的には、それを保護する条例であることは、恐らくみんなが了解しているのではないかと思います。
  • 堀部会長
    情報公開条例の議論でも、「知る権利」をどうするかが大きな問題でした。その方が概念としては熟しつつあるとも言えるように思います。お手元の情報公開事務の手引の9ページにありますように、前文という形で「情報公開制度は、このような開かれた都政を推進していく上でなくてはならない仕組みとして発展してきたものである。東京都は、都民の『知る権利』が情報公開の制度化に大きな役割を果たしてきたことを十分に認識し、都民がその知ろうとする東京都の保有する情報を得られるよう、情報の公開を一層進めていかなければならない」ということで、都民の「知る権利」が情報公開の制度化に大きな役割を果たしてきたということで入れています。
    行政改革委員会の行政情報公開部会でも、情報公開法の1条の「目的」に「知る権利」を入れるかどうかが大変な議論になりました。多数意見は、まだ熟していないということでしたし、最高裁などでも、請求権としての知る権利については認めていない、むしろ、最近は、そういう概念をあまり使わないという見解などもありまして、情報公開法要綱案の考え方の中に、「知る権利」が情報公開の制度化に大きな役割を果たしてきたということは入れました。この表現が国で使われたこともあって、自治体では、東京都のように前文で入れるところも出てきたりしています。それ以前に、「知る権利」を明記した条例を制定したところもありますが、そういう経過で改正情報公開条例では入ったということがあります。
    個人情報保護制度でここをどうするかは、国でも随分議論してきましたが、これまでのところでは、能見委員が言われるように、まだ形成途上の権利概念ではないかということ、また、「プライバシー」はカタカナなので、概念が明確ではないということもあります。自己情報コントロール権というのは、私なども学説としては主張していますけれども、具体的に制度として、その概念でうまく捉えられるのかということを、現実の問題として展開するところまでは至っていませんで、むしろ、制度の内実で保障していく。そういうことで、収集の制限から始まって、特に自己情報の開示請求とか訂正請求、利用停止等の請求ができる、こういうところに入れていく、こういう努力をしてきました。それがようやくそういう方向が出てきた段階のようにも思います。
  • 加藤委員
    「個人の権利利益を保護する」というと、その内容が大きなもので漠然としています。むしろ、個人が自己情報をコントロールする権利を保護することであると、ここできちんと明確にしてもらってはどうかと感じます。
  • 堀部会長
    それだけではないわけです。自己情報コントロール権よりも権利利益の方が包括的で、すべてを含めるということになるのではないでしょうか。
  • 能見委員
    堀部会長のご説明が適切だったという気がします。要するに、権利利益を保護するというだけでは、個人の権利が侵害される局面をつい想定します。ここで、個人情報保護条例は、もちろんそういう場合も対象にしますけれども、自分の権利を知りたいと。そういう意味では、コントロール権が背後にあるのでしょうけれども、そういう「知る権利」が基礎にはあるわけです。その「知る権利」が権利利益を保護するという言葉だけでは十分に伝わらない可能性があって、それはどこかで、条例の中の目的規定で書ければいいと私も思いますけれども、まだ熟していないから書けないということであれば、この報告書の説明の中とか、そういうところで書くことはできるのではないでしょうか。そういう形でだんだんと定着することを図るということですよね。
  • 堀部会長
    ほかにいかがでしょうか。
    これも前に言ったかと思いますが、国会で野党案が自己情報コントロール権を明記したいということでした。私が聞いているところでは、衆議院の法制局でも随分検討したけれども、そこまで熟したものではないということで、その内容を若干入れるような形で目的を規定しています。今手元にないので正確には申し上げられませんが、これは随分議論がある言葉です。
    知る権利というのは、「right to know」で国際的にも共通していますが、自己情報コントロール権「right to control personal information」は、「right to know」ほどには熟していないところもあります。日本では、研究者がそういう概念を打ち出して、また、そうしたことが最近いろいろ言われておりますけれども、「権利利益」を表現するとなると、むしろ「プライバシー権」という表現をしているというのが一般的だと思います。ただ、プライバシー権も、その内容は、日本語で考えてみた場合には、その範囲が明確ではない。それより、「権利利益」は既に幾つもの法律に規定されている概念であるということで、相当包括的なものと解釈しています。
    能見委員が言われるように、何か説明の中に入れるか、どこか入りそうなところがありますか。
  • 能見委員
    16ページの「個人情報の開示・訂正・利用停止」のところで説明してもいいのかもしれません。
  • 堀部会長
    開示請求のところだけかとなると、もともとアメリカの議論では、自分の情報を相手方にどれだけ伝えるか、相手がそれを収集できるか、それをどこに提供するか、あるいは、自分の情報がどうなっているか、そういうことを自ら決定する権利だということで、ここで言うと、収集から始まっていろいろなプロセスを経て、全体のプロセスについて、「コントロール」という言葉を使う人もいるし、自分でデターミン(決定)する権利と言ったりもしています。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    手引の中で、1ページから2ページにかけて「条例の特徴」がありまして、OECDの説明の中で、自己情報コントロール権のことを含むプライバシーの権利、そこでちょっと触れていたような気がします。
  • 御船委員
    「目的の運用」のところにも書いてあります。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    8ページの「目的の運用」のところでもプライバシー権のことにちょっと触れてはいます。
  • 堀部会長
    東京都でも解説では使っていますので、全体として、趣旨というか、それを制度として保障するものであると言えますか。そういうことでいかがでしょうか。
  • 高橋会長代理
    条文の中に、現段階では、その言葉を使うことはまだまだ議論があるところかなという気がしますから、説明のところでどこかうまく書かせることかなと思います。
    それと関連して、ここのところで新しくされた「究極の目的が」という文章が、条文上はどう書かれることになるか分かりませんが、この文章としては、「つつ、」のところで点で区切られると、何となく、「都政の適正な運用を図りつつ」がこの究極の目的かなと。第一印象としてそんな印象を与えます。じっくり読むと、そうではないという議論ができますけど。ですから、「究極の目的が」というのが、「つつ、」のところの点は取った方がいいかなと思いました。
  • 堀部会長
    「究極の」を取って、「条例の目的が、」としてもいいわけですね。「都政の適正な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することにある」と。
  • 高橋会長代理
    ただ、これは前回の議論にもあったのですが、現在の条文の「目的」の第1条を読んだ場合、どちらが主かというと、「適正な運営」が主に読めてしまうということだと思いますから、それであればそういう見方も可能かなと思ったのですが、私は、逆の見方も考えられると思っていました。
    つまり、最初に書いてある方がより重要ではないかと。両方を目的として規定していると思います。恐らく、この条例ができた時の議論で、両方が目的だということでどう書くかという議論があったと思います。権利の方を重視する意味で、そっちを先に持ってきたという読み方もできるかなという気がしていました。ただ、そこのところはよく分かりません。後ろに持ってきた方が、目的に直接つながっていますから、発言があったのは、そっちが主たる目的になるという趣旨だったと思います。そう言われれば、そうかなと思ったものです。
    ですから、書き方が難しいかなという感じがします。
  • 堀部会長
    行政機関法の第1条が、「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」となっています。これは、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」という、昭和63年の法律の審議の時にも、今、高橋委員が言われるようなところが国会でも議論になりました。政府の見解は、「個人の権利利益の保護を目的とする」が主たる目的であると言っていまして、国会もそれで納得してその方向でいいとなったのではないかと思います。
    最近の規定の仕方は、「個人の権利利益を保護することを目的とする」を最後に置くようになっていますので、ここでもいろいろ意見があって、今回、逆にしたといいますか、そうしましたので、これで行くということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
    それでは、「究極の」は取りまして、手引にも自己情報コントロール権のことも触れていますので、そのあたりを参考にしつつここに入れるようにしたいと思います。
    よろしいでしょうか。
    特にご異議がないようですので、そうさせていただきます。
    それから、加藤委員が出されたことでは、11ページの「適正管理」は・・・。
  • 加藤委員
    現行条例が努力義務になっていますけど、これを義務規定にしてほしいという要望が、私自身も思いますし、意見も出てきています。その取扱いはいかがなものでしょうか。
    現行条例7条で、「努めなければならない」という文言が1項と2項にあります。これを、「保つようにしなければならない」とか、もう少し厳しくしてほしいという気持ちです。法律的には、「努めなければならない」と、「保つようにしなければならない」では違うのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
  • 堀部会長
    現行条例の第7条第1項の、「正確かつ最新の状態に保つよう努めなければならない」というのは、義務化することは大変難しいですね。
    適正管理という点では、国の法律でいきますと、第6条の安全確保の措置については義務付けにはなっています。
    規定の仕方が少し違うのでそのままになるのかどうか分かりませんが、ファイルの参考資料の中の4の3ページ、第6条を見ていただきますと、「必要な措置を講じなければならない」としてあります。その上の「正確性の確保」は、「努めなければならない」ですね。それは、行政の側では保有している情報一つ一つについて、本当に正確かどうかは判断できないこともあるわけです。そこで開示請求権、訂正請求権を認めて、自分で見て訂正を求める、こういう仕組みになっています。
    このところは、事務局の方はいかがですか。
  • 入谷情報公開課長
    基本的には、個人情報の漏えい・滅失・き損の防止とかの安全管理の部分については責務規定にするということで考えておりますが、この審議会の答申の中には特に明記されていませんけれども、条例化する時点で、こういう時代ですので、そういうようにせざるを得ないのではないかと思っております。
    特に、正確性と最新性の方は、法律も「努めなければならない」規定ですから、このままでやむを得ないかなとも思っておりますけれども、そのような案を今は考えております。
  • 堀部会長
    「適正管理」という概念で捉えると、その中に正確性の確保とか安全確保の措置なども入れることができるわけですが、そのうち正確性の確保は、先ほども言ったことで、努力してもらうことしかないと思います。安全確保の方は、むしろ義務付けする方がいいのではないか。国の法律もそのようにしましたので、そうした考え方を、どのように入るかは、今ここですぐに修文は難しいですが、その趣旨を入れるようにしたいと思います。
  • 加藤委員
    そうですね。
  • 堀部会長
    加藤委員が出された問題は2つでしたが、いろいろなところに議論が行っていますので、ほかにどこでも結構ですので意見をお出しいただきたいと思います。
    それでは、先ほど入谷課長から出ました、非開示情報の20ページの「その他」のところについて、いかがでしょうか。これは、行政機関法では14条の1号に規定があります。この20ページのような書き方でよろしいかどうかということです。
  • 高橋会長代理
    都の現行の条例で評価・診断に関する情報の非開示を書いているのは、事務の適正な執行に支障が生ずるおそれがある場合ということですよね。それに対して、むしろこれはパターナリズムではないかと思います。事務が混乱するというよりは、本人が混乱するといけないということで。究極的には同じになるのかもしれませんけれども。
    ですから、問題が違うから、現行の16条でカバーしていると言えるかどうか、若干疑問があるかなという感じを持ちます。ですから、別に書いた方がより明確になるのではないかという印象があります。
  • 堀部会長
    現行の16条は、1970年代はどうだったか覚えていませんが、80年代ぐらいから開示請求権を認める条例が出てきて、そういう中で、当時の議論としますと、例えば教育情報について、当時は、開示できないという意見が、教育関係者の中に非常に多くて、それを、評価とか判断、選考、指導、そういう言葉で表現していました。
    それから、カルテの開示についても当時病院関係者は否定的で、それを診断というところで非開示情報にすることができるという趣旨で入ってきたということがあります。
    それが今度、国の法律でいろいろ議論している中で、これは情報公開法の中にもある、生命、健康、生活又は財産ということが入ってきました。情報公開法の不開示情報とできるだけ合わせて、同じ情報を行政機関は持っているわけですから、それについて、自分の情報についても不開示の範囲を、できるだけ同じようなもので規定していく、こういうことから入ってきたものです。
    そういう意味では、評価・診断等に関する情報は、歴史的な意味を持っていた概念であると理解できるかと思います。
  • 能見委員
    私も今のお2人のご意見に賛成です。この報告書ですと、19ページに現行条例の非開示情報について、(1)から(6)がありますけれども、その(2)の「事務の適正な執行に支障が生ずるおそれ」は削っていいだろうと思います。これは恐らく、目的規定の書き方とも関係しているのでしょうけれども、その当時の都の「都政の適正な運営に資することを目的とする」という規定は、かなり大きな重みとして、目的として規定されているという時代の書き方なので、(2)は削る。(3)は違った視点なので、(3)は何か必要かもしれませんが、少なくとも(2)は落としていいのではないでしょうか。
  • 高橋会長代理
    落としてしまうということは、これがなくても・・・。
  • 堀部会長
    落とすのか、東京都の条例で実際に運用してきて、役割を果たしたわけですね。
  • 入谷情報公開課長
    今、本人情報で、本人といえども非開示という中で、この2号は一番多いです。特に、診断なども、カルテはほとんど開いてしまっている状況で、一部特殊な場合には非開示ということになっているのですけれども、運用している中で、この2号と4号が多い状況です。「事務の適正な執行」というのは、事務局の事務だけではなくて、例えば本人に診断を知らせてしまうと、その本人に混乱が生じて、医療本来の目的が損なわれるとか、そういう意味で「事務の適正な執行に支障が生ずる」と使っております。さっきの、付け加えるかどうかが論議になったこれと、実は同じような役目をこの条項に与えているというような使い方をしている面はございます。
  • 高橋会長代理
    私がさっき言った趣旨もそういうことでした。つまり、本人のために開示しない方がいいと思って非開示にした場合の根拠を、恐らくこの(2)で説明されてきたと思いますから、そういう意味で必要な規定だと思いますけれども、詰めていくと、恐らく、事務の適正な執行という問題ではなくて、やはり本人のためということになるのかなと。そこはあまり詰めない方がいいという考えもあり得るかと思いますから、現行のままにしておくという考えもあるかと思いますが、(2)があまりにも漠然としていて広すぎるから厳密に考えていこうということであれば、(2)の代わりに、もう少し詰めて、「本人のために」ということは別にきちんと書く道があるのかなという趣旨で申し上げました。
    だから、(2)がなくなるというのは困る。何も手当てなしでなくなることは困るだろうという気がします。
  • 堀部会長
    事務の適正な執行ということも、恐らく、本人のためというような趣旨で設けていたように思います。実際の運用で役割を果たしてきているところでもありますので、それを生かしつつ、評価とか診断が、現場の関係者が判断して、これはどちらがいいのか。歴史的には、カルテについては、日本の場合、例えば、ガンであることを本人が知ることがいいのかどうかというところから来ていまして、それとの関係で、本人とは書いてないですが、それを適正な執行という言葉で表現したようにも思います。
  • 藤谷委員
    能見委員がおっしゃりたいご趣旨も、現在の条例の2号や3号の表現の仕方だと、最終的に「事務の適正な執行に支障が生じるおそれがある」と表現してしまいますと、先ほど「目的」のところで議論したように、主たる目的が個人の権利利益の保護を図るということからすると、逆転している。主たる目的が事務の適正な執行にあるように逆転して取られかねない表現でもありますし、「目的」のところでせっかく、主たる目的を権利利益の保護に置くとすると、ここのところもそれに応じてどう表現したらいいのか、まだ練れていないですけど、これら等に関する情報で、事務の適正な執行と権利利益の保護との調整を図った上でも、なおかつ何とかという・・・。こなれていないのですが、そういう意味合いに取れる表現にした方がよろしいのではないかと思います。
    今までの都の実際の運用の仕方もそう行われてきたというお話を聞いても、むしろ、「事務の適正な執行」だけが表に出るよりも、ちょっと表現を工夫していただいた方がいいのかなと思います。
  • 高橋会長代理
    医者が本人の状態を教えるかどうかという問題と、内申書みたいな問題があって、内申書のような問題は、恐らく、当時においては、まさに事務の適正な執行と。正直に内申書を書けなくなるとか、そういう議論になったのではないかと想像します。そうだとすると、かなり違うものを一緒にしているという感じを持ちます。ただ、一緒にして、多少ぼんやりした形で書いておいた方が適用しやすいということがあるのかもしれません。ですから、どちらとは申しませんけれども、どちらかといえば、「事務の適正な執行」をあまり出さないようにするためには、本人にとって都合が悪い場合はだめだと書き直した方がいいのかもしれないという気がします。
  • 橋本委員
    参考資料ファイルの12番、平成2年の都の懇談会提言の30ページですが、ここを見ますと、今の開示請求権のイは、今の評価・診断云々で、これは「開示することが適当でないもの」となっていて、ウの捜査や取締り等は、「行政の適正かつ公正な執行に支障が生じるおそれがある」と。平成2年の提言でも、行政の適正かつ公正な執行ということは、前の評価とか診断には使われていないわけですよね。だから、恐らく、当初から、評価・診断のように、その性質上適切ではないものと、捜査とか取締りとか、「行政の適正かつ公正な執行」を入れ込むべきものは、もともとは区別されて発想されていたものが、条例の立法過程で両方が一緒になっているということだと思います。
    そうだとすれば、今回、警視庁が実施機関に入って、特に今回の答申では(3)の「捜査取締り」云々は、警視庁の職務などもにらんだものという形で、内容がより明確になってくるので、より個人の評価とか診断、指導・相談は、やはり性格が違うことをはっきりさせないといけないということだろうと思います。
    だから、条例の立法技術として問題もあるのかもしれないし、もともと平成2年の段階で、提言と違って、その文言が入れられているわけですから、どうしてそうなったのかというところを精査していただかないと私も分からないのですが、これはもともと趣旨が違っていた。ですから、今回は、公安委員会を実施機関にするということとも合わせて、(2)の趣旨を工夫する必要があると思います。
    高橋委員がおっしゃったように、そもそも事柄の性質上、一定の部分については非開示になる趣旨が込められている。その書き分けはしないとまずいだろうと思います。
  • 村上委員
    その点で言うと、行政機関法の方では、「事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」というのは、具体的に類型化して書いているので、もし、もうちょっと具体化すべきだということであれば、行政機関法の7号で、事務の性質ごとにどういうことが具体的に支障になってくるのかということが類型化されて書いてあります。もし、この2号の規定を具体化するのであれば、このように類型化して、事務の種類ごとに、どういう支障があるということを書き込まないと具体化できないのではないかという気がします。
  • 堀部会長
    このあたりも情報公開法に類した規定ですね。ですから、ここでは、前にも事務局から説明がありましたように、これまでの運用実績があり、そこでどのようにやってきたか。それによって運用されてきたことを踏まえつつ、どのように規定するかということもありますので、今まで出たような意見で、橋本委員が言われるように、「事務の適正な執行」がここに入ってくることが、平成2年の懇談会の意見との関係でもどうかということもありますし、このあたり、事務局の方ではいかがでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    今、条例での非開示条項の具体的な規定の仕方、検討途中でもありますが、情報公開条例と基本的には合わせたいと。それイコール行政機関法とも合ってくるのですけれども。先ほど村上委員がおっしゃられたように、特に、評価・診断・判断・選考等のところは、行政機関法が7号のところで事務を列挙しているような中の一つとして入れ込んで、今は、評価・診断・判断・選考・指導・相談が一緒なものですから、もう少し事務の類型に分けて、7号のような書きぶりにしようかなというのが今の概ねの考えではあります。
    特に、確かに先ほどからご指摘がありますように、(2)の使い方ですけれども、ある時は、本人のためを思って非開示にする時と、評価のような時は、本人からの問い合わせが殺到したりして事務が混乱するということで非開示として使っている場合もありまして、「事務の支障」が前面に出ている時と、むしろ、本人に知らせるべきではないと。本人に知らせることによって、また本人から追及があったりして事務が混乱するとか、そのような、やや性質の違う使い方が混じっていることも事実でございます。
  • 橋本委員
    法律では、14条の1号がありまして、この答申案では20ページの「その他」の(1)の項目。だから、これと、後ろの7号で列挙されているものとを使い分けるといいますか、それが考え方で・・・。
  • 堀部会長
    そういう観点からもう少し整理してみたいと思います。
  • 加藤委員
    同じく、20ページの(4)「第三者の権利利益を侵害するおそれがある情報」も非開示の例が多い項目だと伺ったのですが、やはりこの項目が情報公開法の方でもあるとしても、個人情報の保護の時にこれが必要なのかどうか。こういう項目が大きくあることによって、条例の本来目的の、情報主体者個人の権利利益の保護が狭められるのではないかと思いますが、これは必要なのでしょうか。
  • 堀部会長
    趣旨は説明にあるようなことですが、いかがでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    第三者の権利利益を侵害するおそれの規定は、今、本人に非開示になっている中でもかなり多いです。その時の使い方ですけれども、例えば、私、入谷について作られている帳票で、第三者の「入谷さんというのはこういう人ですよ」という証言がいっぱいあったとしますと、そういう証言は、入谷の個人情報でもありますが、証言をした人の個人情報でもあります。そうした場合、その証言を全部入谷に開示してしまうと、証言した人は、まさか本人に見せられるとは思わないでいろいろと入谷の情報を寄せているわけですから、そういう場合は第三者の権利利益を侵害するから、本人といえども、証言をした人たちの個人情報は開けられない。このような扱い方をしていまして、これはかなり例が多くございます。開けてしまうと、事務上は大変な混乱ないし東京都に対する信頼も失われると考えております。
  • 加藤委員
    分かりました。そうすると、ここについては、もう少し詳しく書き込んでいくということですか。20ページの(4)を読みますと、この項目は残すけれども・・・。
  • 入谷情報公開課長
    20ページの(4)の趣旨は、「第三者」というような書き方で、例えば、今、私が例に挙げましたのは、個人としての第三者の権利利益ですけれども、法人の場合もあります。それを今の規定では「第三者」と一緒の規定になっていますので、20ページは、第三者といっても、個人の権利利益を侵害する態様と、法人とは違うのではないかと。それを条例で規定する時は、もうちょっときちんと書き分けた方がいいのではないかという趣旨でございます。
  • 能見委員
    こういう種類の規定が必要であることは、この文言でいいかどうかは別として、私も必要だと思いますが、先ほど挙げられた例がよく分からないのですが。
  • 入谷情報公開課長
    例えば、福祉関係で、児童虐待などの案件があったとします。そうすると、例えば、あそこの子どもはこんなことをされていたとか、学校とか近所の人、お友達とか、そういう方からの情報も記載されています。それを、子どもないし法定代理人、虐待している親から請求された時、例えば友人の証言、近所の人の証言、学校の証言を本人たちに見せてしまっていいのかということがあります。今は、基本的には見せられないだろうということで非開示にしておりますけれども、そういうものは結構多うございます。
    相談事例などもあります。ある人のことについて相談をしているような時に、相談をされたある人の情報でもあるし、相談をしている人の情報でもあるような時、特に、相談された方の人から請求があっても開かないとか、そのような例でございます。
  • 橋本委員
    私は今年の1月に、この情報公開法の見直しもあるということで、委託されてヨーロッパへ調査に行ってきました。私が行った何カ国かの中では、やはり個人情報保護関係で問題になっているのは、今おっしゃったような、児童虐待であるとか、青少年に対する法定の庇護制度みたいなものがあって、子ども本人が、自分の本当の親はどうだったかとか、自分がどんなことをされたかとか、そういう記録の開示を求めるとか、あるいは、周辺の人が、誰がどういうことを言ったかとか、そういうことがいろいろな形で請求が来る。こういうことは、やはりすごく問題になっていて、今までは基本的には非開示にしていたけれども、今のヨーロッパ諸国の新しい動きは、そういうものとは別に、専門家などを集めて第三者機関を作って、普通の情報公開とか個人情報とは違うシステムで開示できるかどうかを判定して、開示できるものは開示しようとか、そういう法制度を新しく整備しているようです。例えばそういう問題が別に存在していて、自己情報のアクセスというコントロール権だけれども、現行の個人情報保護制度ではうまく機能しない領域があると思います。だから、それはどうするかというのは、これまた別の立法課題だと思います。
    現状ではこういう条項を残して、それでやっていくことになるだろうと思います。そういう問題は、例えば第三者といった時に、たぶんそういう事例が想定されているのだろうなと思って、今の状況では、とりあえずはこのまま問題を認知しながら先へ進んで、しかし、別途問題があるとして扱っていくという形、それが筋道ではないかと思います。
  • 堀部会長
    実際に自治体の様々な文書を見ていますと、相当いろいろなことが書いてあったりして、本人のものか第三者のものか分けにくいものもあります。場合によると、1行1行について、これは第三者の権利を害するかどうかの判断をしながら、開示するかしないかを決めていくような状況もありまして、そこはむしろ、規定は残しつつ、運用でどうしていくのかということになってくるのだろうと思います。これまでの運用も踏まえつつ、規定をどうするかということで議論しておく必要があろうかと思います。
    あと、18ページに「裁量的開示」を新たに入れましたが、これも国の法律でも行政機関法の第16条で入れました。これも情報公開法で入れたものを、行政機関個人情報保護法でも入れたということですが、これについてはいかがでしょうか。
    東京都の非開示情報に当たる場合でも、裁量によって、本人の利益になる場合は開示しますということです。そのあたりも、実際に運用するとなるとなかなか難しいと思いますが、そうでないと、すべて非開示になりますので、こういう必要性はあるということだろうかと思います。
  • 加藤委員
    非開示のところの文章はこれでよろしいのではないかと思います。
    ただ、要望にも来ていますが、19ページの(6)に未成年者の法定代理人のことが書いてありますが、成年後見人を付けた人の場合も、何か一筆書かれてしかるべきではないかという意見も、私はもっともだと思いますが、どんなものでしょうか。
  • 堀部会長
    これは審議会でも大変な議論をして、報告書も出ております。今ここでそのことを細かく書くとなると大変なので、こういう規定を設けて、成年被後見人についてどうするか、もう少し・・・。
  • 加藤委員
    下の解説のところで何か入れておいた方がいいのではないかと。高齢化の中で、現実にそういう人が増えていくわけですから。
  • 堀部会長
    その点は国の方でも問題提起したのですが、国の報告書では、そこは必ずしも明確には言及されていなかったようにも思います。
  • 入谷情報公開課長
    現行規定は、ちょっと手違いがあって落ちてしまいました。前にもここで一度ご審議いただいたのですけれども、現行規定は、条例にする時に落ちてしまったと思われまして、成年被後見人の法定代理人も未成年者の法定代理人と同じように扱うという考えです。
  • 加藤委員
    それは、後見、補佐、補助、そのレベルは全部同じですか。
  • 入谷情報公開課長
    そうではなくて、成年被後見人の法定代理人の部分だけです。
  • 堀部会長
    能見委員、お願いいたします。
  • 能見委員
    ここで、利益相反になる情報はだめだというところは、恐らくすべてに共通すると思います。むしろ、その大元で、成年後見人とか補佐、補助、そういう人たちがそもそも保護している人間の個人情報を請求していいかというところが大変な問題。そういうことですよね。
    利益相反になるからだめだというところは、これは恐らくすべてに共通するので、少なくとも、成年被後見人の場合には請求できるという前提をとると、それと本人との利益は相反するものはだめですよというのは書きましょうと。
  • 加藤委員
    そういうふうに20ページも読めば読めるということですか。
  • 能見委員
    ここに書いてある限りでは問題はなくて、前提となっている、請求できるかどうか、要するに、親族でもない人が後見人になっている場合もありますし、いろいろな場合がありますから、そういう時に、センシティブな個人のいろいろな情報を、代理権があるからと請求できるかということの部分がいろいろ問題がある。これは別の件でだいぶ議論がありました。
  • 加藤委員
    分かりました。
  • 堀部会長
    相当議論しているところですので、20ページのような書き方で、とりあえずよろしいのではないでしょうか。
  • 加藤委員
    20ページのところで、それが入っていると理解すればいいわけですね。分かりました。
  • 藤谷委員
    冒頭に返って「条例の目的」のところですが、この四角の枠内はそのまま条文に反映されるのは重要な部分だと思うので、そこに関する幾つかの要望点です。
    まず、1行目の「高度情報社会の進展を踏まえ」というのは、若干間接的すぎるかなと思います。国の行政機関法でも、「個人情報の利用が拡大している」と。高度情報化社会が進展したらどうなるかというと、利用が拡大するから、それに伴ってリスクが増えることにつながると思うので、ただ単に「進展を踏まえること」はどうかなと。具体的にもうちょっと、「利用が拡大している」に表現を改めていただけないかなと思います。
    2点目ですけれども、現行の条例も、ある意味では特殊だと思いますが、現行の条例の中にも、個人に関する情報の取扱いについての基本的事項を定め、「都の実施機関が保有する個人情報の開示及び訂正を請求する権利を明らかにし」が入っているので、さらに今回の場合は、「利用停止請求権を設けること」を付け加えているのだろうと理解しておりますが、この条例は、必ずしも、特色を「目的」の中に入れるという意味では、開示請求やら訂正請求、利用停止請求を設けることが特色でしょうけれども、「目的」というものはもうちょっと広いように思うので、ここだけを入れると、かえってここが目立ちすぎないかなという危惧があります。その点、現行の条例の時に、「その権利を明らかにし」とすると、その権利にだけ焦点が当たってしまう気がするのですが、そういう議論があったのかどうか、教えていただきたいと思います。
  • 堀部会長
    それを認めることが条例を作る重要な意味でした。
  • 藤谷委員
    分かりました。
    次ですけれども、都の条例の特色は、国の行政機関法だと、国と国民との間のことだけを決めてある法律だと思いますが、条例の目的の3行目のところに、「都内の民間事業者における個人情報の保護に都が一定の役割を果たす責務を有すること」と。これは、個人情報保護の法体系からいきますと、行政機関が利用する側で、相手方たる国民や住民という場合だけではなくて、個人情報取扱事業者たる私人と相手方の私人との間にも、都が一定の関与をしますということをやっているのだと思います。
  • 堀部会長
    そうです。ですから、むしろヨーロッパ型というか、オムニバス方式になるわけです。
  • 藤谷委員
    その辺は、現行の1条だと分かりづらいので、ここは、そこを工夫していただけるのだろうと思っています。
    それから、先ほども議論になったのは、「究極の目的が」というところからしますと、要は、この枠内で、最後の、これは何々すること、何々することが適当であるとつながると思いますが、そのことを考えると、ゴチック体のところですけれども、「条例の究極の目的が」ではなくて「条例が都政の適正な運営を図りつつも個人の権利利益を保護することが主たる目的であることを明らかにすることが適当である」というように、先ほど会長がおっしゃった、国の立法における背景を踏まえて、そう変えたらいかがかなというのが、最初の目的のところに対する意見です。
    次に、5ページの下から3行目ですが、「また」以下のところで、いろいろと事例を挙げて、最後の「道路使用許可申請受理等の事務については、都の行う一般的な事務と同様に扱われることが適当である」と書いてありますが、この「等」という場合の何らかの判断基準が少し具体的にならないかなというのが2つ目の箇所です。
    次に、11ページの「適正管理」の部分に関してです。○印が3つありますが、特に2つ目の、「技術面はもとより、組織面のセキュリティ確保にも十分配慮する必要がある」のところは、全国の自治体の中で、去年の10月に、市川市がISMSの認証を受けた後に、今年の2月には三鷹市、杉並区もISMSの認証を取得して、「十分に配慮」に一歩踏み込んで、具体的な、まさに組織面に関わるのですが、そういった具体的な施策に取り組んでいるところもありますので、ここのところを、「技術面はもとより、組織面のセキュリティ確保にも十分配慮する必要がある」に、このように入れていただけないかという提案ないし希望です。「組織面の」以下を、「組織的なセキュリティ確保のマネジメントシステムを確立するなどの点にも十分配慮する必要がある」と書けないかという希望です。
    3つ目の「職員の教育・訓練を充実」というのは、確かにこれは重要で、従来から言われているところですけれども、ただ単に教育・訓練の充実から一歩踏み込んで、「教育・訓練を充実し、情報倫理を確立する必要がある」と。特に、ITや個人情報保護に関わること以外のところでは、倫理条例というものも作られていますけれども、他方で、情報漏えいが地方自治体の職員からも起こっている現状を見ますと、やはり「情報倫理の確立」という言葉もしっかり入れていただきたいという気がします。
    それに応じて、説明のところも、その辺を付け加えていただけないかと思います。
    特に、12ページの「職員の教育・訓練」につきましては、2行目の「本条例の趣旨及び個人情報保護の仕組みを‥‥職員の意識啓発が必要である」というところですけれども、例えば「本条例の趣旨及び地方公務員としての職責上、民間人以上に個人情報保護に重い責任があること及び‥‥」という形で、そこをしっかりと。今回、行政機関法でも、国家公務員法の守秘義務以上の刑罰に規定されて重くされたということも、たぶんその辺の背景があると思いますので、そこをしっかり具体的に書き込んでいただきたいという気がいたします。
    それから、13ページの「委託に伴う措置、受託者の責務」のところで、「原則として禁止することが適当である」と書いてありますが、原則として禁止と言いながら、実は、例外的に再委託を行う場合、原則は禁止であるにもかかわらず、禁止の解除という形で、許可という運用ではなくて、届出があればオーケーという不適切な取扱いが民民の契約の中でも行われておりますので、原則として禁止するのであれば、例外的に再委託を認める必要がある場合にも、再委託先についても十分なセキュリティレベルのチェックをした上で可否を決定するというように、具体的に書き込んでいただきたいと思います。
    最後ですけれども、20ページから21ページについて、「その他」ということでゴチックで書いていただいていますが、たくさんご説明いただいているのですが、逆に、読んでいていまひとつ分からないです。というのは、20ページの下から2行目から21ページの上から5行目までの部分と、その下の6行目からの「また」以下の部分との関係がいま一つ分かりません。
    まず、20ページの下から2行目から21ページの上から5行目までの間は、前回、まさに自己情報のコントロールということの考え方からすると、最終的には、行政庁である都知事が、行政的な判断として、そういう個人の自己決定権を後見的に制約するという考え方は、いかがなものかと私は問題提起したつもりです。上から5行目までのあたりが、例えば3行目のところ、「本規定は、開示することにより本人の権利利益を害するおそれがあると行政庁が判断した場合に非開示とする規定であり」と。そう規定してあるけれども、「適用に当たっては行政の慎重な判断が求められる」と。そう規定してあるから、適用は慎重に行わなければいけないと言っていると思いますが、その後の「また」からのところと、今の「適用に当たっては慎重な判断が求められる」ということとの関係をご説明いただきたい。
    規定はそうなっているから、規定は維持しつつ、適用の段階で慎重にやりましょうということなのか、それとも、また以下は、都の条例においては、非開示の規定も設けられているので、行政機関法との違いにも留意しつつ本規定の必要性を判断すべきであると。ちょっと入り組んでいるので私はついていけなくなっているのですけれども、ここはどういうご趣旨なのか、ご説明いただければと思います。
  • 堀部会長
    今の藤谷委員のご発言はいろいろありましたが、四角の中はできるだけ条例の中に取り組むべき内容ですので、どこまでご要望を入れられるかどうか検討いたします。説明の部分に入れられるものは入れるようにしたいと思います。
    時間が過ぎていますので、20ページ、21ページのところだけ、入谷情報公開課長からご説明いただいて、それで終わらせていただきたいと思います。
  • 入谷情報公開課長
    20ページの前段については、藤谷委員がご指摘のとおりでございます。本人の権利利益を侵害するおそれもあるから慎重な適用をしなさいと。ところが、これに相当する規定が、都の条例においては、さっきから話題になっていた2号ですけれども、2号として用意がされていると。それから、実は、この法律の規定は、法定代理人からの請求の時の利益相反についても規定しているのですけれども、それも既に6号であるから、そういうところが行政機関法とは違っているので、法律と同じように、この規定を条例上盛り込むかどうかについては、改めて必要性を吟味する必要があると。このような意図の記述でございます。
  • 藤谷委員
    理解しました。
  • 加藤委員
    「目的」のところにいつまでもこだわっていて申し訳ないのですが、4ページのところの書き込みのことについて、藤谷委員がおっしゃったことをメモしきれなかったのですけれども、書きぶりをこうひっくり返すことでうまくいく、意思が通るような気がするので、そこのところはぜひお願いします。
  • 堀部会長
    そこの四角の中は、条例の規定ぶりの基礎になりますので、そこをどこまで書けるか。そういうこともありますので、要望としてはお聞きしますが、あとは全体として、今日の答申案の修文はお任せいただきたいと思います。一つ一つについて入れるか入れないかをここで決をとっているわけではありませんので、その点はご了承いただきたいと思います。
    ということで、修文の方は事務局と協議して進めていきます。
    予定では次回が最後で、答申を知事にお渡しすることにしたいと思います。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、次回が最終回ですが、7月9日の10時から、同じくこの場所でございます。
  • 堀部会長
    それでは、本日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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