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平成29年(2017年)2月7日更新

情報公開・個人情報保護審議会 第26回議事録

第26回東京都情報公開・個人情報保護審議会

平成16年7月9日(金曜日)
東京都第一本庁舎42階 特別会議室B

  • 堀部会長
    おはようございます。第26回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開催させていただきます。
    ご承知のように、当審議会におきましては、昨年7月に東京都知事から諮問されました、都の個人情報保護制度の基本的なあり方と東京都個人情報の保護に関する条例において検討すべき事項について、1年にわたりまして審議を重ねてまいりました。本日、提言をまとめて答申したいと思います。福永副知事が後ほどお見えになるということですので、提言をお渡ししたいと思います。
    それでは、審議に入りたいと思いますが、前回お出しいただきましたご意見を踏まえまして提言案を修正いたしました。後ほど事務局から説明をしていただきますが、お手元にあります提言案のタイトルをご覧いただきたいと思います。前回の案ですと、諮問にありました事項を掲げておきましたが、やはり提言として出すにはそれにふさわしい表現の方がいいのではないかということで、「東京都の個人情報保護制度の新たなあり方についての提言」と変えておりますので、この点につきましても、後ほどまたご意見があればお出しいただきたいと思います。
    それでは、入谷課長からご説明をお願いいたします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、本日の提言案につきましてご説明をさせていただきます。
    お手元にお配りいたしました提言案は、委員の皆様に予めご送付してありますものと基本的に同じものでございます。前回の6月15日の審議会の審議の際にいただいたご意見を踏まえて修正をしたものでございますので、6月15日の審議会と変わった部分についてご説明をさせていただきます。
    まず1点目でございますが、今、堀部会長からご説明がございました答申案のタイトルでございます。前回までのものは非常に長くて、諮問の文言をそのまま書いたものでしたので、会長とご相談して、このような形に変わっております。
    次に変わりましたところは、「条例の目的」でございます。この四角の中ですが、前回の審議のところから、4行目の「条例の目的が、都政の適正な運営を図りつつ個人の権利利益を保護することにあること」の部分が前回から変わっております。変わったところは、前回は「条例の究極の目的が」という文言が入っておりましたが、それを削除しております。
    それから、前回までは、「図りつつ」の次に「、」がございましたけれども、「条例の目的が」というところが両方に係ることが明らかになるように、「、」を削除してございます。
    下の方の「説明」のところですが、2つ目の○印の上から4行目の後ろの方に、「個人情報の利用が拡大していることにかんがみ、」という文言がございます。これは前回の6月15日の時の案にはなかったものでございますが、前回ご意見をいただいたことを反映いたしまして挿入してございます。
    その1行下でございますが、「これまでにも具体化してきた自己情報コントロール権を拡大するものとして」の文言が新たに追加されてございます。これも前回、「自己情報コントロール権を保証する」というような趣旨の文言を入れるべきであるというご意見がございまして、それを踏まえて追加したものでございます。
    またその2行下でございますが、「条例の目的が、都政の適正な運営を図りつつ個人の権利利益を保護することにあること」の文言が前回から変わってございます。変わった部分は、先ほど四角の中で申し上げたことと同じ内容でございます。
    続きまして、11ページの「適正管理」をお開きいただきたいと思います。「適正管理」の部分では、四角の中の一番下の行でございますが、ここに「情報倫理の確立」という言葉を新たに追加いたしました。これも前回の審議会で、「情報倫理の確立」という文言を入れてほしいというご意見がございましたので、それを踏まえたものでございます。
    その次の12ページでございます。12ページの一番上ですが、「マネジメントシステムの確立に十分配慮する必要がある」という文言が追加になってございます。これも前回の時に、マネジメントシステムの確立への配慮というご意見をいただきましたので、それを踏まえたものでございます。
    それから、「職員の教育・訓練」の項目のところに一番下の行でございますが、ここにも「情報倫理の確立を図っていくことが必要である」ということで、「情報倫理の確立」という言葉を追加してございます。
    それから、20ページから21ページにかけてでございますけれども、前回6月15日の時に、表現が分かりにくいというご指摘を受けましたので、分かりやすく書き直してございます。内容につきましては特段変化はございません。
    以上が、前回の審議会から変わった部分でございます。よろしくご審議をお願いいたします。
  • 堀部会長
    どうもありがとうございました。
    ただいま入谷課長からご説明がありましたように、前回のご意見を踏まえて修正をいたしました。この最終案につきまして、少しご意見をお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  • 橋本委員
    目的規定について、「都政の適正な運営を図りつつ個人の権利利益を保護することにある」と変えられているわけでございまして、結論から申しますと、私はこれは大変良い方向性だと思います。その理由は、私などは比較的若い世代で、いわば情報公開法とか個人情報保護法は所与のものとして、ここから先どのように行政法学といいますか、そういうものが発展していくかということを考えさせていただいているわけですけれども、その場合に、やはり我々がよく言っているのは、これは都なら都のガバナンスの問題だと。つまり、単に自己情報をコントロールするとか、そういう個人の権利救済ももちろん重要だけれども、そこが整理された次のステップは、都の構成者である都民、市民に対して都の仕事そのものが、市民側から見て民主的なコントロールが効いているといいますか、あるいは、自分たちがそこに参画してコントロールしているのだという実感が持てるというか、そういう協働関係を構築していくものとして発達すべきだと考えているわけです。
    その場合に、「都政の適正な運営を図りつつ」というものが、今までだと、何となく、都の組織内部の適正な運営という形だったわけですが、それはこういうものができて定着して、さらに先を見ると、それはまさに自治体のガバナンスそのもののベーシックな道具といいますか、法的措置になるべきだと考えておりまして、そういう点からも、この両者がうまく結合して、それが全体の目的だという形で掲げていただけるということは、今後のこういう個人情報保護制度あるいはアカウンタビリティ確保とか、そういう法制度全体の発達すべきものと考えているものとも合致するということで、これは大変賛同できると申し上げたいと思います。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。確かに橋本委員が言われるように、研究者によりましても、世代によって随分受けとめ方が違うというか、私など、こういう制度作りを提唱してきて、ようやくできたというところがありますけれども、確かに、若い世代の研究者にとりましては所与のものであるというところがあろうかと思います。
  • 能見委員
    今、橋本委員から発言がありましたので、半分賛成ですが、半分は違う点があるので、その点を申し上げたいと思います。
    この点のことを強調すると、行政機関が保有する個人情報の保護に関する法律との違いがどこにあるのかということを明らかにするといいますか、そこがちょっと目立つわけですね。行政機関の方は、こっちは「、」がついていて、こっちはついていない。この委員会での議論でも、「都政の適正な運営を図りつつ」が、若干、個人の権利利益を保護するというものと衝突する場面があって、場合によっては「適正な運営を図る」ということから個人の権利利益を保護するという利益が制約されることもあるかもしれない。そういう対立関係があるために、どっちにウエートがあるのかということを明確にしなければいけないという議論の流れで来たと思います。その権利保護に重点を置くということで今まで文言が修正されてきて、その際にも、行政機関が保有する個人情報の保護に関する法律の文言にそろえようということで来たというのが大きな流れだと思います。
    ただ、ここであえて「、」を落とすことによって、両方が目的ですよという時に、さっき言った対立的な関係のものを両方とも同じウエートにするという意味を持つとすると、ちょっと困るのではないかという気がいたしました。ただ、橋本委員が言われたように、都政の適正な運営を図ることは、別に対立する場面だけではなくて、むしろ、個人の情報を保護するための行政の役割の部分を強調することに意味があると捉え直すのであれば、これはそれなりに意味もあるだろうということで、これをどう解釈するかという解釈のレベルの問題かもしれませんけれども、少なくともこの審議会でその意味を少し明らかにしておいた方がいいと思います。
  • 加藤委員
    中間報告に対する意見書が、都民、特に情報主体者である消費者団体などから出されているものを見ましても、「条例の目的」のところで、「都政の適正な運営を確保する」ことは言わずもがなのことであるので、これは削ったらいいではないかというご意見とか、「都政の適正な運営を確保すること」を並列に挙げるのではなくて、「個人の権利利益の保護」を前提に都政の運営があることをもっと明確にしてほしいというご意見も来ているので、これから条文になって議会提案という形になっていくのだろうと思いますが、今までも随分されてきた議論が明確になるようなものにしていただいて、この目的について、これだけのみんなの議論があったということは明確に残しておいていただきたいと思います。
  • 堀部会長
    「、」云々の問題は、前回、高橋委員からも出てきたといいますか、条文として書くとなるとどうなるのか。東京都の場合、条文については総務局の中ですか、どこで検討するものですか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    都の場合、総務局に文書課というところがありまして、私どもが条例の案を作りまして、そこと十分に協議して作られていきます。今のご意見などは、もちろん会議録には記録として残りますので、最終的に、「、」を入れるか入れないかも含めて、皆さんのご意見を踏まえた形で、もちろん提言の趣旨を踏まえて条文が考えられると思います。
  • 堀部会長
    前回に出た意見をもとにこのようにしていますので、条文の形になった時にどうするのか、前回、「条例の目的」が、「究極」という言葉が入っていて、それを削ったりして、両方とも目的であることを明確にするためにこのようになっているということで、その解釈は、橋本委員からも出ましたように、それぞれ解釈されるということもあろうかと思います。そういう中で、今後、具体的に条文として立案する過程では、都としても今日の議論、これまでの議論を踏まえて、今、二ノ宮部長から出ましたように検討されることを望みたいと思います。
    ほかにいかがでしょうか。
  • 加藤委員
    21ページですけれども、「非開示」のところです。最後のところに、「実施機関の慎重な判断が求められる」と書いてあるわけで、これはこれでいいと思いますが、やはり担当者の独断でないように、第三者的な判断がなされるような基準なり、ルールなりの整備ということが折り込まれていると私は解釈したいのです。そこのところをちょっと皆さんのご意見を残しておいていただきたいと思います。別にこの文章を変えてくれという意味ではありません。
  • 藤谷委員
    21ページの今の一番下の「実施機関の慎重な判断」というところと同時に、一番上の行の「不開示条項が定められている。例えば、」ということで、「治療困難な遺伝子疾患」云々のところについては、前回も議論が出たはずですけれども、現実問題としては、行政機関法以上のものにするかどうかという議論があるにしても、実際、ここのところでは、自己情報コントロール権という、本人のあくまでも最終的な意思決定というところとのせめぎ合いの究極の場面だと思われますので、そういった意味では、今、出たご意見と同じように、「実施機関の慎重な判断」のところに、例えば、都の何らかの客観的なガイドラインを定めるとか、第三者機関の判断を関与させるとか、そういった点で、後で個人の最終的な意思決定を行政があくまでも恣意的に侵害したというおそれがないように、そこはぜひとも実際の実施に当たってはご配慮いただきたいと思います。よろしくお願いします。
  • 堀部会長
    この点は、既に東京都でも運用してきていますが、今のようなご意見について、これまでの運用を踏まえてご説明いただけるとよろしいかと思います。
  • 入谷情報公開課長
    今までの運用ですと、医学的な診断について、その本人から開示請求がありました時に、ほとんどのものについては開示になるのですけれども、一部開示をしていないものがございます。それにつきましては、今までは、診断に関する情報であって、開示することにより事務事業に支障があるというような条項により非開示にしてまいりました。その時の事務事業に支障があるという考え方が、ちょっとワンステップあって、本人に知らせることにより本人が混乱などを生じて、本来の医療的な目的が達成されないことにより、事務事業に支障があると解釈して、実際に運用してまいりました。ですから、この規定を入れる、入れないにかかわらず、実際、今の請求があって、既存の非開示条項を使って非開示になっているという面はございます。それにつきまして、不服申立てなども出されてきていますけれども、それにつきましては、個人情報保護審査会の方で不服審査に先立っての諮問を受けて、非開示が妥当かどうかは、第三者機関として判断しているという仕組みになっております。
  • 加藤委員
    そうすると、不服の場合というステップに上がった時に審査会が関わっていくという感じになるのですけれども、私は、その前の断判するレベルの時に、何か基準があってもいいのではないかと感じました。
  • 堀部会長
    それは実施機関側で第一義的に判断しますので、その時の基準が条文にあるということになるわけですね。それを具体的な事例でどうするかというのは、条文の解釈の仕方によって変わってくると思いますけれども、これが一定の基準として役割を果たすということになるわけです。そして、2週間以内に開示するかどうかという判断をします。2週間以内といっても、実際にはもっと早く開示するかどうかの決定をする必要性が大きいわけです。ということもありますので、第一義的には実施機関の側で、これまでの経験に基づいてということになろうかと思います。個人情報保護制度について、平成3年施行ですから、既に13年の実績がありますので、それに基づいてということもあります。
    それから、都立病院においてはガイドラインを作って対応しているということもあるそうですので、その点についてもう少し説明していただくとよろしいかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    今、カルテの情報につきましては、個人情報保護条例の請求によらなくても、情報提供という形で、本人から請求があった時は開示しております。情報提供する時の開示・非開示部分がやはりあるのですけれども、それにつきましては、ガイドラインに基づいて行っております。
    先ほど加藤委員がご質問の診断の開示・非開示にすることの判断ですけれども、一つは、この個人情報保護条例の条文と、条文の解釈の通達を出しておりますので、その2つをよりどころにしまして、一義的には実施機関が判断します。それで不服があった場合は不服申立ての制度によって救済の道が開かれているという仕組みになってございます。
  • 藤谷委員
    ここに例示が3つありまして、1点目が今の遺伝子疾患の場合、2点目が児童虐待等のケース、3点目が法定代理人等の利益相反の場合ですけれども、後ろの2つは、そういうものがあるかないか客観的に判断しやすいわけですね。ところが、最初の事例は、当該患者が精神的に大きな打撃を受け、病状の悪化を招くかどうかについては、精神的な部分というのは、本人の考え方、生き方、精神的なものと大きく関わってくるので、必ずしも客観的ではないところが問題点ではないかと思っています。
    ですから、この部分について、できる限り判断の客観性を担保するという意味で、何らかのガイドラインといいますか、手続を、例えば、本当に本人の病状の悪化を招くのかどうかについても何らかの基準で判断できるような、そういうものを作って行政としての現場での判断につなげていった方がいいのではないかということを、私としては主張いたします。
  • 堀部会長
    それは、先ほどの説明にもありましたように、こういう規定の仕方とは少し違うとしましても、事務事業に支障が生ずるかどうかということで運用していますので、この点は対応可能かと思います。いずれにしましても、今日のご意見は議事録にとどめておきますので、そういうものを踏まえてさらに、運用に当たっては必要な取扱いをしていただきたいと思います。
    それから、今、藤谷委員が言われた、児童虐待のケース等というのは、本人と法定代理人の利益が相反する場合です。ですから、例としては2つです。つまり、児童虐待の場合などですと、法定代理人だからといって児童虐待に関する文書をすべて見ていいかどうかということもありまして、その点については、利益相反の場合には開示しないという形にしてきていますので、そういうことをここで表しております。
    この法定代理人の問題は、実は議論としてはかなり大きいところがありまして、従来、財産権についての概念ですけれども、人格権について法定代理があり得るのかあり得ないのかということも前から議論しています。といって、ほかに適当な言葉も今のところは出てきていないものですから、この言葉を使っています。しかし、そこは利益相反の場合には非開示ということもあり得るということでまとめています。
  • 藤谷委員
    了解いたしました。
    22ページの「民間部門における個人情報保護のあり方」の「説明」の2つ目の部分で、5,000件以下の個人情報を取り扱う事業者についても、最後の2行ですけれども、「本条例において、‥‥適正な取扱いに努めるべきである旨規定することが必要である」の理解の仕方ですが、これは、いわゆる個人情報保護法が規定している5,000件を超える個人情報取扱事業者以外の、それよりも小規模のものについても、例えば都知事からの改善勧告であるとか改善命令が及ぶと理解してよろしいのでしょうか。
  • 堀部会長
    そうです。
  • 藤谷委員
    そうすると、さらに刑罰もこれに拡大するという考え方でしょうか。
  • 堀部会長
    刑罰は、5,000件を超える事業者についてです。
  • 藤谷委員
    では、改善勧告とか改善命令はここまで及ぶわけですか。
  • 堀部会長
    はい。
  • 藤谷委員
    なるほど。結構です。
  • 堀部会長
    法の51条で、地方公共団体が処理する事務として、法令数で163と、種別で468あるわけです。51条に基づくものですと、法律の適用を受けて、それを都知事が権限を行使することになります。ところが、法の適用を受けない5,000件以下の事業者については、空白状態になるわけです。そこを条例で対応していこうとなりますので、そこにすぐに罰則を課するところまではなかなか難しいと思います。これは、全体の立法政策の問題でもありますので、小規模事業者についてどこまで対応するのか。条例の対象にはなりますので、そこについては、ここにありますようなことで都として対応していく。そこは一つの大きな特色になるわけです。
  • 藤谷委員
    そうすると、ある意味では横出しというか、そういった運用になるわけですか。
  • 堀部会長
    そうですね。
  • 藤谷委員
    そこに関してですけれども、今までの議論の中でも出ていると思いますが、個人情報取扱事業者に課されている義務あるいは罰則は、直罰性ではないので、個人情報保護法が成立した15年5月30日以降、大きな情報漏えいが引きも切らず続いている状況から考えますと、ある意味では、都の中小企業の実態に併せて勧告や命令を受けてきめ細かくやっていくということは、より手厚く政策を行うことになると思います。それでもやはり、今、事務局からもありましたけれども、対象の事業者数の多さと、それを実際に推進する都の体制等がどれほど整えられるのかということを考えあわせますと、この条例ができたとしても、それを実際に推進する場で、相当ある程度のパワーをかけていただかないと漏えいを減らすことにつながらないと思いますので、ぜひ都にがんばっていただきたいと思います。
  • 加藤委員
    私も同感です。内閣府と東京都の方で、個人情報保護法と条例の方向性についての説明会があるということで、事業者側あるいは自治体の皆さんの参加のご希望が多いそうです。私は、これは喜ぶべき状況で、自治体の皆さんや民間事業者の皆さんが関心を持ってくれることは結構なことなので、これはこれでやっていただいて、同時に、消費者側、都民側への説明会も、都としてはぜひ行っていただきたいと思います。
    そのことは、藤谷委員がおっしゃったように、今後、これからのマンパワーは大変なことだろうと思います。毎日のように情報通信技術の高度なレベルでの漏えい事件もありますし、紙がどこかに放置されたといったような情報漏えいもあります。ですから徹底した啓発教育がなされなければならない。その上で、もしも事件が起きた場合は改善命令などがきちんとされて、一つ一つの事業者が、いい事業活動ができるようにやっていっていただかなければならないので、ぜひ推進体制をこれから十分にお願いしたいと思います。
  • 堀部会長
    その点につきましては、これまでもご意見が出ていますので、事務局には、ぜひそういうことで対応していただきたいということを、この場で再度要望しておきたいと思います。
    それでは、今日は、先ほど言いましたように、福永副知事に提言をお渡しすることになっておりまして、既にお見えになっているということですので、ここで副知事に入っていただきまして、提言をお渡ししたいと思います。その後で、またそれぞれ感想などを出していただく時間を設けますので、その際に大いにご意見をお出しいただきたいと思います。
    (福永副知事入室・着席)
  • 堀部会長
    それでは、提言の概要につきまして簡単に説明させていただきます。
    当審議会では、昨年7月に、知事から、都の個人情報保護制度の基本的あり方と条例において改正すべき事項ということで諮問を受けまして、従来、7名の委員で構成していましたが、6名の特別委員を加えまして1年間にわたって審議をしてまいりました。その結果、これからお渡しいたしますような提言となりました。
    その概要を簡単に申し上げますと、まず「条例の目的」ですが、現行の「条例の目的」の趣旨を活かしつつ、高度情報通信社会の進展を踏まえること、都内の民間事業者における個人情報の保護に都が一定の役割を果たす責務を有すること、そして、条例の目的が、都政の適正な運営を図りつつ個人の権利利益を保護することにあることを明らかにすることが適当であるといたしました。
    次に、条例の実施機関についてです。都公安委員会(警視庁)を実施機関に加えることが適当であるといたしました。ただ、警察業務の特殊性や全国的斉一性にかんがみますと、警察責務の遂行に支障が生じることがないように、行政機関法との整合性を図るとともに、一定の例外規定を定めることが必要であるといたしました。
    個人情報の適正管理につきましては、電子データも対象に入れたものとするなどIT化の進展を踏まえたものとすること、技術面はもとより組織面のセキュリティ確保にも十分に配慮する必要があるとしまして、職員の教育・訓練を充実して、情報倫理の確立を図る必要があるといたしました。
    また、個人情報処理を受託する者につきましては、個人情報の一層の保護を図るため、都が負う安全確保の義務と同様の義務を受託者も負うようにしていただく。そういう旨に改めることが適当であるといたしました。
    個人情報の請求権につきましては、自己情報コントロール権ということでいろいろ議論もしてまいりましたが、従来の開示・訂正請求権に加えまして、新たに利用停止請求権を設けることが適当であるといたしました。それとともに、職員情報も、これまで開示請求権等の対象になっていませんでしたが、これを開示請求権等の対象にすることが適当といたしました。
    次に、「民間部門における個人情報保護のあり方」についてです。事業者の責務として、事業者が個人情報を適正に取り扱うべき旨の現行の規定は、これを維持することが適当であるとしました。事業者への支援についてですが、都は事業者において個人情報の保護が図られるよう新たな指針を策定するほか、各種の啓発、広報活動などあらゆる機会を捉えて、事業者及び都民に対して個人情報保護の理念や仕組みを周知する必要があるとしました。
    また、民間事業者に対する苦情処理・あっせんにつきましては、都は、事業者が保有する個人情報の取扱いに関する苦情に対しまして、適切かつ迅速な処理に努める旨の規定を新たに設けることが適当であるとしました。苦情処理の実効性を確保するため、個人情報の不適切な取扱いのおそれがある事業者に対しまして、必要に応じて調査、助言、指導等を行い、都民へ事実について情報提供等を行う仕組みを検討する必要があるとしました。
    本審議会の関与のあり方につきましては、現行条例は、審議会は個人情報制度のあり方について諮問を受けて審議・建議する機関としていますが、その機能を拡充しまして、具体的な制度運営について助言し、または報告を受けるなど、一定の関与を行うことが適当であるとしました。
    最後に、罰則についてですが、職員、受託事務従事者等の個人情報の漏えい等の行為に対しまして、行政機関法に準じた罰則を設けることが適当であるとしました。
    その他細かい点がいろいろございますが、主要な点といたしますと以上のとおりです。
    これから副知事にお渡しするわけですが、先ほどの発言で、特に修正のご意見がありませんでしたので、「(案)」を取らせていただいて、「東京都の個人情報保護制度の新たなあり方についての提言」といたしまして副知事にお渡ししたいと思います。よろしいでしょうか。
    (「はい」の声あり)
  • 堀部会長
    では、そのようにさせていただきます。
    (答申書手交)
  • 堀部会長
    それでは、副知事から一言ご挨拶をいただきたいと思います。
  • 福永副知事
    皆様、おはようございます。副知事の福永でございます。
    委員の皆様方には、昨年7月の諮問以来、これまで1年に及びましてご審議を賜りました。誠にありがとうございました。また、本日は、都の個人情報保護制度の新たなあり方につきまして、意見をおとりまとめいただきまして、会長から、ただいまご提言として頂戴いたしました。誠にありがとうございます。
    平成3年に制定いたしました現行条例も、早13年を経過いたしておりまして、この間におきますIT化の急速な進展の影響をはじめといたしまして、個人情報の保護を取り巻く社会環境が大変大きな変貌を見せております。
    今回は、実施機関のうち、公安委員会・警視庁を加えること、また民間における適切な個人情報保護のために都の支援が必要なことなど、専門であられます委員の皆様方に広範な角度からご検討をいただきまして、改めて深く感謝申し上げたいと存じます。個人情報保護は、都民の関心が大変高く、中間報告に伴う意見募集を行った際も多くの意見が寄せられました。
    都では、皆様からいただきました提言を踏まえまして、平成17年4月施行に向けまして、速やかに条例改正の手続に着手いたしまして、一層の個人情報保護の推進に努めてまいる所存でございます。今後とも、都の情報公開制度、個人情報保護制度の発展のために、委員の皆様方にはさらなるお力添えを賜りますようよろしくお願いを申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
  • 堀部会長
    どうもありがとうございました。
    副知事は所用のため退席されます。どうもありがとうございました。
    (福永副知事退席・退室)
  • 堀部会長
    それでは、一言感想を申し上げたいと思います。
    私は、昭和58年ですから1983年の東京都情報公開懇談会、平成元年1989年の東京都個人情報保護懇談会にも一員として関わりました。これまでの経過はある程度理解しているつもりでしたが、今回は会長という任務でまとめ役ということになりましたので、私自身もいろいろ意見を持っていますけれども、それを出すことがなかなかできなかったことはちょっと残念に思います。しかし、それぞれの委員の先生方のお立場でのご発言は一言一言大変貴重なものでありまして、それをこのような形でまとめて提言できたことを大変うれしく思います。
    事務局としましても、これから条例案の策定等で大変かと思いますけれども、東京都の条例案、それのもとになる提言は全国的にも大きな注目を集めているところですので、そうした期待にも応えつつ、条例案の策定に当たっていただきたいと思います。
    申し上げたいことはいろいろございますが、以上で私の発言を終わらせていただきます。
    それでは、三宅局長にご挨拶いただければと思います。
  • 三宅生活文化局長
    一言ご挨拶を申し上げます。
    委員の皆様方には、1年間、精力的にご検討、ご審議いただきまして、ありがとうございました。特に、このテーマに特別にご参加いただいた委員の皆様、本日は最後の審議会になりますが、重ねて御礼を申し上げたいと思っております。
    委員の方がおっしゃっていたわけでございますが、少なくとも行政機関としては、いろいろこの間、経験も積んでまいりましたし、ノウハウもありますので、都民の情報を行政機関がどう扱うかについては、体制作りにしましても、今後の条例の問題にしましても、何とかできるわけでございます。しかも、この審議会もございますし、審査会もあって、いろいろ監理監督もされるわけですが、特に今回の新しいテーマである民間事業者の個人情報につきましては、私どもも議論をしていまして、本当にどうなるのかと。イメージが最後までつかめない。理念的にはよく分かるわけですが、理念がつかみにくい。
    特に、大手とか業界主流、組織化されている事業者は比較的まだ我々ともパイプがありますので、どの局にしましてもイメージをつかめるのですが、やはり組織化されていない事業者が圧倒的多数で、特にこのIT化の流れの中で生まれてきた新興企業を、どのようにこの条例の影響下に置くかということは、我々は今の段階ではほとんどイメージできません。唯一アナロジーで考えられるのは、私ども生活文化局は消費生活総合センターを持っておりまして、消費者問題をやっておりますが、そこでのトラブルがほとんど個人情報絡みでございます。最近流行りのフィッシング詐欺もそうでし、アポイントメント商法でも、内職商法でもそうです。点検商法は足で稼いでいますが、ほかはみんな個人情報から出発しているものであります。そういうことを見ますと、消費者問題と民間事業者の情報との問題はほとんど同じ問題でありまして、それを行政機関がどこまで指導できるかというのは、かなり大きな課題であると受けとめております。
    そういったことで、来年4月の条例改正に向けていろいろな作業をやってまいりますが、行政機関側の問題は、これはきちんと襟を正してやっていかないといけないと思っていますが、民間事業者に対する問題について、マンパワーも含めてどのようにやっていくか。これはやりだしたらキリがありませんし、そこをどのようにやるかは悩みの多いところでございます。引き続き、この審議会の委員の皆様、それから特別に参加いただいた委員の皆様のご支援とご協力を切にお願いする次第でございます。今後とも引き続き、この提言の趣旨に沿って作業を進めてまいりたいと思っております。
    ありがとうございました。
  • 堀部会長
    どうもありがとうございました。
    1年間にわたりまして、特別委員の方には特にいろいろとご意見をお出しいただきましてありがとうございました。感謝を申し上げて、以上で本日の会議を終わらせていただきます。
    どうもありがとうございました。

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