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平成29年(2017年)2月6日更新

情報公開・個人情報保護審議会(第45回議事録)

第45回東京都情報公開・個人情報保護審議会議事録

平成22年7月27日(火曜日)
東京都庁第一本庁舎42階 特別会議室B

9時59分開会

  • 堀部会長
    定刻少し前ですが、ただいまから東京都情報公開・個人情報保護審議会第45回会議を開会させていただきます。
    岡部委員が少し遅れて来るということです。それから相馬委員がきょうご欠席との連絡が入っています。
    本日の議事ですが、お手元の議事次第にありますように、審議事項といたしまして、前回にもご議論いただきました「現行の情報公開制度における運用上の諸問題について」その中でも「営利目的請求の急増について」の第2回ということになります。
    それから、報告事項としますと、最初に「保有個人情報を取り扱う事務の開始について」、もう1つ「存否応答拒否事案について」ということになっております。
    それではまず、審議事項の「営利目的請求の急増について」の第2回ということで、これにつきまして資料もいろいろ用意していただいていますので、北原課長から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
  • 北原情報公開課長
    それでは「営利目的の請求の急増について」、事務局から報告させていただきます。資料1をご覧ください。
    1に前回の審議における営利目的請求の急増につきましての委員の皆様のご意見をまとめさせていただいております。
    (1)の「営利目的請求の急増という問題への考え方について」でございますが、営利目的請求は、情報公開条例4条の「適正な請求及び使用」と言えるのかという疑問が呈された一方、営利目的請求を禁止すべきではないという意見もございました。前提として事務コストの比較検討が必要だとのご意見もありましたが、全体といたしましては何らかの対応の必要があるという点では、委員の皆様方おおむね共通した認識をお持ちでございました。
    次の(2)の「具体的な対応策」でございますが、手数料に差を設けるという方法のほかに、一律の手数料は維持しながら減免制度、場合によっては公益減免、これを整備すべきであるとの意見がございました。
    また、営利目的請求を区別する方法としまして、請求目的で区別するアプローチよりも、一定のカテゴリーを決めて手数料を変えるほうがよいのではとの意見もございました。
    前回の審議では、(3)のア「開示事務にかかる具体的なコスト」そして「他の自治体の条例運用状況」の2点につきまして報告するように事務局に指示をいただいておりますので、事務局で調査させていただきました。それについて以下ご報告をさせていただきます。
    まず、2「開示事務にかかるコストについて」でございます。
    (1)の「調査方法」でございますが、知事部局に属します15局を対象にしまして、ことしの6月24日から6月30日までの1週間、このうち開庁日は5日間ございますけれども、この1週間に受け付けた情報公開条例に基づいた公文書の開示請求につきまして、開示決定等を行うための事務、ただしこれは決定期間の延長を行ったものを除きました。これにつきまして、受付件数や開示事務に実際に要した時間などを、各局へのアンケート調査という形で行っております。
    (2)の「調査結果」でございますけれども、対象期間内に受け付けた開示請求の件数は81件でした。このうち、営利法人及び個人事業主からの請求は64件ございまして、全体の約8割に上っております。
    期間内に実際に開示事務を行った局は15局中の13局でございました。
    決定等の内容ですが、81件の請求のうち59件については開示決定、3件については1つの請求に対して開示決定と一部開示決定がなされたものです。さらに、一部開示決定が17件、非開示決定が2件となっております。
    エ以下は、個別の請求についての詳細な調査結果の内容となります。開示請求の集中する局の調査・回答の作業の負担を軽減するために、対象期間中の請求受付件数が10件を超えました2局につきましては、請求受付順の早いものから10件までの請求についてのみ調査の対象としたため、全体で59件の請求についての集計となります。
    開示対象公文書の枚数は合計で4,829枚、1請求当たりの平均は82枚となっております。
    次に、オの1請求当たりの平均所要時間(実作業時間)です。
    1請求当たりの平均所要時間(実作業時間)、これは14.3時間となっております。このうち開示・非開示判断と起案・決定、これが5.4時間、開示準備で4.6時間、協議で2.4時間、その他は1.9時間となっております。これは主務課等の職員が開示の受付から実際に開示するまでの一連の開示事務に従事した実作業時間の平均となります。調査期間や調査手法等による制限から、必ずしも厳密な時間数が計測されたというものではありませんが、1つの目安になるものと考えられます。
    この数字を基にいたしまして、1請求当たりの支給給与ベースの人件費を計算したものがカになります。まず、「平成21年度東京都人事行政の運営等の状況」(平成22年3月30日)でございますけれども、これに掲載されました一般行政職員の平均給与月額を1カ月22日勤務、1日8時間勤務という条件で、2,683円という時給単価を算出いたしました。これに所要時間をかけまして1請求当たり3万8,367円という金額が試算されました。開示事務全体のコストといたしましては、このほかに通知書や請求書の写しの郵送費やコピー代といった事務費なども入ると思われますので、実際にはこの額にこれらの事務費用を加算したものとなります。また、59件の開示請求、1請求当たりの平均手数料額は1,676円となっております。
    その下にございます(3)は、この調査に回答した部署から、あわせて聴取いたしました開示事務に係る意見でございます。
    全部開示が大半となっている工事設計書の請求受付の多い部署を中心に、事務手続を簡略すべきとの意見が多く寄せられておりますので、あわせてご報告いたします。具体的には工事設計書の入札後公表の範囲の拡大あるいは納入通知書や電子納付による手数料の納付、電子開示の導入などの提案がございました。
    また、情報公開制度では、知事部局における開示決定は常に知事公印を押印する必要がある関係上、建設事務所などの出先機関で開示決定をした場合には、職員が知事公印を押印するために本庁に出張しなければなりません。これが事務所の職員の大きな負担となっている現状がございます。あるいは個人情報が大半である税務情報の開示請求への対応が通常業務の支障となっている事例などを挙げさせていただいております。
    今回の調査を通じまして、営利目的請求の急増による通常業務の停滞等の現状への具体的な対応策につきまして当審議会でご検討いただくことへの各主務課からの期待が非常に高いということが伺えます。是非ともこの観点からも、対応策等のご提案をいただければと思っています。
    3に移りまして、「他自治体の条例運用状況について」報告させていただきます。前回、営利目的請求について、他の請求と区別して取り扱っている自治体についてご紹介いたしましたが、今回はその具体的な運用状況を調査いたしましたので報告いたします。
    まず、「請求目的による区別の例」についてでございますが、(1)は香川県の例でございます。
    公益目的等の場合、手数料の一部を減額または免除をしております。別紙2のほうに香川県の情報公開条例と規則、それから県のホームページに掲載されております減免申請書の記入例、これを添付してございます。
    本文にお戻りいただきまして、具体的な運用でございますが、事務取扱要領を定めまして、各所管課で減免の承認、不承認、これを決定しているということです。実際に不承認となることは少なく、承認申請書の記載が不十分であれば補正を依頼することはあるとのことでございます。不承認の決定に対しましては不服申立てが可能ですが、通常の不服申立ての扱いとなりますので、審査会への諮問は行っていないとのことです。
    件数は、平成21年度に減免申請があった件数が151件で、請求件数全体の1,371件、これの約11%とのことです。
    減免理由でございますが、別紙2を1枚おめくりいただきますと規則の抜粋がございますが、この規則の第11条の1項で、減免できる場合として、1号から5号までを規定しております。
    このうち、1号の「人の生命、身体、健康、財産及び消費生活の保護、環境の保全その他公共の福祉のために行われる行政文書の公開請求である場合」、これを理由とした申請が最も多いとのことでございます。
    同じく「請求目的による区別の例」としまして、(2)の国分寺市の事例をご報告いたします。別紙3としまして国分寺市の条例、規則、請求書の様式、これを添付してございます。
    資料1の本文にお戻りいただきまして、国分寺市の例でございますけれども、国分寺市は営利目的請求の場合のみ、閲覧する場合、1件名につきまして100円の手数料を徴収しております。この導入の経過でございますが、平成12年4月1日に施行されました現行条例におきまして、それまでは一律に徴収していました閲覧手数料を廃止した際に、営利の場合のみ残したとのことでございます。
    イの運用実態でございますが、別紙3の2枚目の請求書用紙をご覧いただきますとわかりますように、営利目的かどうかはあくまでも請求書に請求者自らが○をつけまして自己申告するということでございます。内容の確認などは行わないとのことですが、金額が低額であることもありまして、トラブルは少ないとのことです。
    平成21年度に営利目的として請求されたのは6件で、全体の請求件数64件のうち約10%ということでございます。
    次に、「請求主体による区別の例」といたしまして、(3)の神戸市の事例をご紹介いたします。別紙4に条例、請求書の様式を添付してございます。
    資料1の本文にお戻りいただきまして、(3)のアでございます。神戸市では、株式会社等からの請求の場合、1請求書当たり1,000円の請求手数料を徴収しております。これは平成13年の条例改正時に、それまで市内区域の在住在学在勤者、そして市内区域内に事業所等を有する個人または団体に限定していた請求権者を、「何人も」と改めた際に、市民以外の者に拡大することの費用負担の公平化の問題とともに、営利目的請求についても費用負担について制度の目的との関係も含め検討した結果、現行のような規定が導入されたものとのことでございます。
    イの実際の運用ですが、事前の相談や請求の受付時に、請求内容等を聞きながら適用される手数料を案内しているとのことです。身分確認は求めていないため、あくまでも自己申告になっていますが、株式会社の社員が個人的な請求であると言って請求するような例はなく、手数料区分の適用によるトラブルなどもないとのことです。制度としましては既に定着しているようでございます。
    なお、件数等でございますが、株式会社等からの請求は平成21年度は704件でございまして、全体の請求件数1,284件のうちの54.8%を占めておりまして、この割合はここ数年増加傾向にあるとのことです。
    なお、当該制度の導入は、請求権者の拡大と同時に行われたため、制度導入前後の件数等の単純な比較はできないとのことでございます。
    次に、「請求対象文書による区別の例」といたしまして、(4)の板橋区の事例をご報告いたします。別紙5以下に条例、規則、それから簿冊で提供するとされています文書を請求する場合の請求書の様式、これを添付してございます。
    制度の概要でございますが、規則で定める特定の公文書、これは一部の公文書につきましては簿冊で提供しておりますけれども、これらの公文書を請求する場合のみ1件、簿冊の場合は1簿冊となります。300円の手数料を徴収するというものでございまして、平成21年4月1日より導入されております。
    制度導入の影響でございますが、これまで無料で情報提供していた一覧表等の一部が簿冊として開示請求の対象となったことから、公開請求件数の全体は導入前よりも増えた一方、飲食店許可関係など、保健所でこれまで個別請求として受け付けていたものが簿冊によって公開することになったことから、これらにつきましては個別の公開請求の件数は減ったとのことでございます。全体としては、簿冊の更新や手数料の納入事務などの事務量は増大しているとのことでございまして、また、手数料導入により営利目的請求が抑えられたという効果は余り見られなかったということでございます。
    最後になりますが、同じく「請求対象文書による区別の例」といたしまして、(5)の神奈川県の事例についてご報告いたします。
    神奈川県では、藤原委員が会長を務められております神奈川県情報公開運営審議会で営利目的請求についての対応策などを検討した報告を出しましたので、それを受けまして条例23条を改正するとともに、要綱を制定しまして、本年の6月1日から、県民の求めに応じた情報提供制度、これを開設しております。
    これは、過去に公開請求がありまして、全部を公開した行政文書など、一定の行政文書につきましては、行政文書の公開請求の手続によることなく情報提供するという方法で対応することによりまして、事務手続の簡素化・効率化を図るという趣旨で設けた制度とのことでございます。
    別紙6以下に条例23条、県民の求めに応じた情報提供要綱及び申出書の書式を添付してございます。
    この制度の具体的な内容ですが、「1)過去に公開請求があり全部を公開した行政文書で、求めを受けた時点においても明らかに判断が変わらないもの」、「2)既に公表されている情報のみが記載されている行政文書」、「3)その他条例第5条各号に規定する非公開情報が含まれていないことが明らかな行政文書」この3つの場合が対象となります。3)の類型としましては、行政文書を加工して提供することも可能とのことでございます。例えば非公開情報が含まれていても、行政文書に簡単な加工をすることで申出者の求めに応じることができる場合には、加工後の行政文書を情報提供の対象とすることができるとのことでございます。
    なお、この制度は不服申立ての対象外となりますことから、県民等があくまでも情報公開での対応を求める場合には、情報公開請求によらなければならないとされています。
    費用についてでございますが、閲覧のみの場合は口頭での申し出により無料で対応します。申請者が、写しの交付を求める場合には、一部の場合を除きまして、行政文書の写し等の交付申出書、これは別紙6を2枚ほどおめくりいただきますと様式がございますけれども、この行政文書の写しの交付申出書、これを提出していただいた上で、公開請求と同額の1枚10円の費用を負担していただいているということでございます。
    以上、事務局からの報告を終わります。審議のほどよろしくお願いいたします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    ただいま前回の議論のまとめと、またその際に他の自治体の運用状況などについて調べていただくということで、事務局のほうでいろいろ調べていただきました。その結果について報告をいただいたところです。これにつきまして委員の皆様方の意見をお出しいただきたいと思いますが、まず質問などあればしていただいてもよろしいかと思いますし、適宜質問,意見を含めてご発言いただくとよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
    秋元委員、前回ご欠席だったのですが、何かここで意見があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  • 秋元委員
    前回の審議のまとめと、この前いただいていた議事録などを見せていただいて、なかなかこの問題はいろいろ考えるところがあるのだなということを勉強させてもらったというのが正直なところです。
    それで、きょう、今回問題になっております営利目的請求のところで、有料にするかどうかという話のところでは、皆さんこの間の議論のところでもそういうふうな傾向ではあったと思うのですが、まあ営業目的というか営利目的であれば多少の費用の負担といいますか、開示手数料というのはあってもいいのかなというのは、それなりには感じておりました。
  • 堀部会長
    そうですか。ありがとうございました。
    東京都で実際にどのくらい開示請求に費用がかかるかというのは、前回もこういう形で開示請求に応じているという表などを出していただいて、それを具体的に調べていただいたのが、先ほどの資料1の1ページから2ページ、お送りいただいた資料ときょうのファイルは若干異なりますので、ファイルのほうの数字を見ていただくほうがよろしいかと思いますけれども、こういう形で調べたのも今まで余りないと思いますので、これ自体大変貴重な調査結果であると思います。そういうものも踏まえてご意見を出していただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、岡部委員。
  • 岡部委員
    所用で今ちょっと遅れて参りまして、恐縮でございます。
    岡部でございますが、それぞれほかの自治体の事例を今ご説明いただきまして、いわゆる商用目的といいますか、それに伴う開示手数料の件ですが、現在、東京都情報公開条例の第17条ではその手数料の賦課を認めておられまして、受益者負担が原則ということを理解しております。そういう意味では、例えば商用目的に伴いましていろいろ事務コスト、行政コストがかかるということも事務局からの説明で伺っておりますので、このユーザーペイ、受益者負担の原則は堅持されることは妥当ではないかと思っております。
    その場合、例えば藤原先生など大変お詳しいと思うのですが、今の自治体の事例あるいは米国などでは、私どもちょっと事務局で調べましたところ、減免措置、原則有料化で、今のような、ほかの自治体の事例のように必要な、いわゆる一般の市民の方が通常の情報公開に基づいての情報を入手される場合には減免措置を図られて、実質無償化を進めているという事例がございますので、こういうことは非常に現実的ではないかと考えております。
    したがいまして、行政が抱えておられる情報公開コストの増大の問題につきましては、商用目的に伴うものもその1つでありますが、例えば検索をいろいろされます、あるいは調査をされます、それに伴うある意味で人件費関連経費といいますか、そういうものも当然発生するわけでありますから、そういうものを必要な経費として徴収するという方向でご議論いただくのも必要ではないかと思っております。
    アメリカの情報公開制度をちょっと調べましたところ、今申し上げました検索、調査、いわゆる請求にかかわる初期的な経費は取ってないようなんでございましょうか、ちょっと私も詳しく調べておりませんが、ただその後の検索とか調査にかかわる費用あるいはコピーの料金、そういうものには当然コストがかかるものですから、そういうものには有料で取っていただく、こういうものも1つ現実的かなと考えている次第であります。
    以上であります。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    アメリカにつきましては前回もちょっと触れましたけれども、アメリカでは、これもお話しするといろいろあるのですが、コマーシャルパーパスというか、営利目的、商業目的の請求についてどうするかというのはずっと大きな議論がありまして、もともと法律自体は1966年にできるのですけれども、そのちょうど20年後の1986年に改正をしまして、その手数料のところが入るのです。それで、今岡部委員が言われたところを若干条文でというか、原文なんですが、手数料というのはリーズナブルなというか、合理的な標準的費用に限定する。その費用というのはドキュメントサーチということで、文書を探すのにどうしてもお金がかかります。ドキュメントサーチと、それからデプリケーションということで、これは複写です。アンド・レビューということで、これは公開できるかどうかというようなことを検討しますレビューで、それはどういう場合かというと、その記録が商業目的、営利目的、商業利用と言ったらいいでしょうか、コマーシャルユースのために請求された場合であるというのがまずあります。
    次に今度、細かく言うといろいろあるのですが、その請求が教育または非営利的、科学的組織といいますか、機関からなされ、その目的がスカラリー、学問的またはサイエンティフィック、科学的請求による場合またはニュースメディアの代表による場合、そういう場合にはそのドキュメントデプリケーションといいますか、複写のみの費用とするということが定められています。
    さらに、これも減免と言えば減免でもあるのですが、それを減免措置をとったりすることもありまして、いわば公益目的、今言った2番目のところを公益目的と言えば、公益目的あるいは報道目的の場合には非常にわずかな費用で対応する、こういうやり方をしております。
    実際にどのくらいの金額なのかというのは、コピー当たり何セントというのはそれぞれの省で決まっていますので、調べれば出てまいりますが、法律上は今のような規定になっております。
    非常に多くの議論があった末にこういうふうになっているというので、よくこの問題を議論するときには、今のこのアメリカの情報自由法の規定が参考にされるということは、恐らく事務局でそこを調べていただいたのだろうというふうに思います。
    ありがとうございました。ですから、アメリカのような形でここまで明確に分けていくのかどうかというのは1つあると思うのですが、藤原委員どうぞ。
  • 藤原委員
    今のコストを丁寧に分けるというお話ですけれども、かつてあった議論は、検索コストのところは公文書管理の善し悪しにも左右されるところがあるので、時間がかかるからといって、請求者側から見たら管理が悪くて時間がかかるのにコストにはね返るのはよろしくないというような議論もありまして、今と随分変わっていると思うのですけれども、細かくどの部分ができるかというのはまた1つの別の問題かとも思われます。
    それで、念のためですけれども、オで14.3時間としていただいて、カでそれを前提に議論しているのですけれども、今後の数字のつくり方としてですが、高くなるのか低くなるのかわからないのですけれども、オのほうの作業をやる人の平均年齢と、カのほうの給与ベースの年齢は合致しているかどうかというところも、多分議論に、それ自身が上がるのか下がるのかしれませんけれども、なるかもしれません。
    それはともかくとして、私は今の北原課長のご説明の(3)にちょっと注目する必要があるのじゃないかなと思っているのです。つまり現場の方々からのご意見をいただいていて、その中の幾つかのものは、これは神奈川と一緒で情報提供で対応したほうがコスト的にもいい部分があるのじゃないかというご意見のようにも見受けられます。入札の話なんかはそうかなと思います。それから事務所長というのは、要するにこれは権限を下におろしてしまえばということではないかという話で、ここもコスト的にもいいし、今のあたりは多分利用者側から見ても何ら問題のないところだと思います。
    それで質問なんですけれども、この2ページの一番下の取下げが今度は問題になっている、結構多いということです。つまり12年の改正のときには、一生懸命徹夜に近い形で黒塗りまでして用意をしたのに見に来ない。見に来ないというのは、一生懸命やった職員のモラルというか士気を著しく削ぐし、それはどうにかしてくれという話だったのですけれども、今回の場合は、これは取下げというのはどの程度仕事が進んでいる段階でというようなこともわかれば教えていただきたいなと思うのが1つです。
    それと、最後の登記情報なんかは、確かにほかの部分を消す、これは単純な作業をしても余り意味がないのじゃないかというご意見だと思うのですけれども、これは適用除外のお話を原課というか現場としては言っておられるのかどうかということです。そこまで言っていらっしゃらないのかもしれないけれども、ですから最後の2つのポツの実態をもう少し詳しくご説明いただけると助かるというのが2つ目の質問です。
  • 石岡情報公開係長
    それでは、1点目のご質問ですけれども、具体的な事例ということではなくて、特におそらく工事設計書関係だと思うのですが、請求したもののやはり要らないというような、割と今ファックスとかですごく請求方法が簡単になっているという意味で、この安易に請求をして、特に必要がなくなったので決定前に取り下げてしまうという、事例として言っているお話を聞いただけなので、ちょっと具体的にはそこまでは把握していないです。
    2点目なんですが、適用除外までを考えているというよりは、こういった膨大な作業をしなければいけないので、実質的にほとんど固有の税務情報、都でしか持っていない情報というのは全部黒塗りになってしまうにもかかわらず、登記情報だけを開示するために膨大な作業が必要になっているので、これは何とかならないものかというような現場の苦労というか、ご意見というような話で、できれば対象外にできないのかということはあるかと思います。
  • 藤原委員
    ありがとうございました。
    最初のほうのは、質問の意図は、安易に行って取り下げると言っているのだけれども、逆に後始末の問題で行政として具体的にこういう問題があるというのならば対応が必要ですけれども、困らない段階の話であれば、それはそういう状況になっているなというだけで済んでしまうので、それでどんな段階のかという質問をしたわけです。具体的にどのあたりで困るのかという、正規の請求が来たら何らかの形で対応しなきゃいけないということから多分問題が発するのだと思うのですけれども、それとの関係で伺った。
    2つ目は、適用除外まで行かないのだろうけれども、中間的な回答として、これは公になっている情報以外は全部消えますよという中間的な回答をして問題が解決するという意識を持っておられるのであればそれも考えた方がいいのかなと思ったので、最終決定でなくて、結局のところ登記情報以外は消えますよというのを最初の回答とするということはどうなのかなと思ったので、そういう質問です。
  • 堀部会長
    何か石岡さんありますか、よろしいですか。
  • 石岡情報公開係長
    ご質問は、ちょっとこれ以上のお話は、現場で聞いたのはこれまでなので具体的にはわからないのですが、取下げについてはおそらく実際にこういう現場の意見として困っていることというようなところでお聞きしている部分もありますので、作業が実際に発生していて、コピーとか、今特に工事設計書などはとりかかるのが非常に早いですから、すぐに取りかかって準備をしている間に、決定しようと思ったら直前に取り下げられて、非常にその作業が無駄になるというか、そういったことで現場としては困っているという意見なのではないかとは思います。
  • 堀部会長
    そうですか。
    高橋委員。
  • 高橋会長代理
    今の藤原さんの質問に関連してですけれども、前の回の議論で、準備したが取りに来ないというのもあると。取下げというのもそれにちょっと似ているところがあると思うのですけれども、送っていただいた資料を読んでいたら、幾つかの自治体では前納制をとっているようなんです。ですから、前納してもらっていれば取りに来なかろうと取り下げようと、それほど痛手はないかなという感じを受けたのですけれども、ただ取下げの段階がどのあたりかというのは私も気になったのです。前納してもらうためにはどの程度コストがかかるかというようなことを知るところまではある程度調べなきゃいけないということはあるのかもしれない。それを調べている段階で取り下げられちゃうとそれまでの努力は何だったのだということになるだろうと思うのです。
    そうじゃなくて、もし前納という制度をとる場合、どういうやり方をするのか。申請があった段階である程度定型的に幾らというので出してもらうのか、それとももう少し正確に、これだと例えばコピーがどのくらいになるとか、そういうことを見込みがつけられるところまで調査してから前納させるのか、いろいろあり得ると思うのですけれども、仮に前納にする場合に、どの段階で前納してもらうかによっても、取りに来なかったり、あるいは取り下げられるということに対する対処の仕方は変わってくるかなという感じを持ちました。
    それから別の問題でもう1つ、1請求当たりの平均所要時間についてどういう見方から調査されたのかという点なんですけれども、私は1請求14.3時間というのは非常にびっくりしました。1請求に平均こんなに時間がかかるのかと。2日かけないと請求に対応できないということですね。ですから、どういう調査の仕方なのかということをもうちょっと詳しく知ることができればと思ったのですけれども、開示・非開示判断及び起案・決定に5.4時間、これ、ずっと四六時中考えているのかな、それともそれを考え始めて、いろいろなことをやりながら考えていて決定に至るまでに平均こういう時間だという計算の仕方なのか、もうちょっと正確なところを知りたいなと思ったのです。その点いかがでしょうか。
  • 石岡情報公開係長
    調査の話なんですけれども、基本的には時間なんですが、1人でやっているわけではなくて、起案をして、あとは場合によっては開示・非開示の判断の難しいものはそれなりの人数で検討するとか、あとは起案をしてから文書を審査したり決定をする人間が何人かいますので、その職員のそれぞれが要した時間が全部含まれています。
    あと、作業についても、コピーですとか、あと特に具体的な話にはなるのですが、例えば工事設計書などは紙で保存しているものというのが一部で、データとして持っているものを1枚1枚打ち出す作業というのが結構、作業としては枚数が多くなるとプリントアウトをしているとずっとパソコンに向かって作業をしていて、ずっと打ち出されるのを作業としては待っているというような時間がかかったりですとか、あとはやはり、開示コピーの準備なんですが、非開示部分がありますと、それなりに枚数が多いと、1枚1枚全部塗って、黒塗りの作業をして、細かい話ですが、1回だけだと透けて見える場合は2回コピーをしたりとかというようなこともあります。また、それぞれ、1人だけではなくて何人かでやっている場合もあります。対象期間の1週間の間のアンケート調査というもので、厳密にタイマーで時間をはかったものではございませんので、あくまでもこの段階では目安ということで考えていただければと思っております。
  • 高橋会長代理
    わかりました。
    ざっとその中で計算したので、1週間で59件の開示ですか、まあ60件ぐらいで、1件当たり4万円ぐらいとすると、240万で、1カ月だと1,000万円近くかかっているという計算ですね。そういう金額が情報公開のコストとしてどうなのかということなのかなと理解いたします。どうもありがとうございました。
  • 堀部会長
    前回高橋委員が言われた民主主義のコストとしてどういうふうに見るのかということで言うと、このあたりのコスト論というのはなかなか議論が大変なところですが、いかがでしょうか。中村委員どうぞ。
  • 中村委員
    こういう数字の読み取りというのはなかなか刺激的で、かなり大きな目安だと思うのですけれども、東京都の場合、請求受付件数のうちの約8割が営利目的で、営利法人とか事業主から請求があったという、その多さがやはり数字全体を上げている重要な問題につながっているのかなという気がするのです。ですから、この所要時間にしても関連経費にしても、これは判断にかかるものなのか、検索そのものも含めての時間なのか、8割まで行っている大量な請求であるからこの現場での負担というのは、非常によく想像できる。
    そういう意味で、この所管部署からの意見というものを考えるというか、その辺を根拠にも使って今後の対策を考えるとすれば、先ほどおっしゃった取下げの問題であるとか、黒塗りになる税務情報の問題であるとか、そういうのは受け付ける現場が請求者とどういうやり取りをできるのかできないのか。「安易」とここに書いていらっしゃるのは、それがファックスで行われるということのようでしたが、どうやって請求者と接触しつつそこら辺を把握しているのか。他の自治体は、例えばどうやって請求目的を把握するのかというところにもつながるのではないかと思います。そういう時間も含めて考えれば、この8割に対する作業量というのはかなり膨大になるのかなという気がいたしました。事務方の作業コストの細かい点はちょっと私には判断しかねるのですけれども、手数料の確保が部局の負担軽減になるかどうか。ただ本来の情報公開の権利義務関係の中で適正な状態を作る根拠だと思います。
  • 堀部会長
    何か事務局のほうで、今の中村委員のご発言についてありますか。
  • 石岡情報公開係長
    請求方法の関係、ちょっと冒頭でお話にありました接触なんですが、安易にという話だったのですが、今はやはり特に工事設計書の関係なんですけれども、ファックスの請求が非常に増えています。あとは受付がそれぞれ、例えば建設事務所ですと出先機関でそれぞれ契約していて、その書類を保有している場合が多いのですが、受付は本庁の文書係でやっていることがほとんどなので、そのまま本庁で受け付けて出先に請求書が回付されるというような形で、出先の職員が受付のときにお話を直接聞くというのは余りないみたいです。
  • 中村委員
    ないのですね。請求者に請求目的を聞くとか、また黒塗りになる部分がありうるとかいうような、そういう細かいやり取りがある場面というのは流れの中でないわけですね。
  • 石岡情報公開係長
    受付の場合はそうですね。あとは電話で個別に何か聞くことがあれば……。
  • 中村委員
    でもそれは非常にまれなんじゃないですか。
  • 石岡情報公開係長
    そうですね。数が多いですから、受付から決定までを機械的に流していくという対応をしているというところが現実だと思います。
  • 堀部会長
    ほかにいかがでしょうか。
    営利目的、商業目的のものは受け付けるなというご意見はないようですので、それも情報公開制度の枠内で対応するということになるのですが、そうすると手数料で差を設ける、あるいは営利目的でないものについては減免措置で対応するとか、いろいろな方法はあろうかと思いますが、何かほかにこういうふうにすればいいのではないかというのがありますでしょうか。先ほどの神奈川県の6月1日施行の例というのは、従来の情報公開の考え、情報公開制度をどの点で捉えるかによるのですけれども、それとは少し違った側面で捉えて見ているようにも思いますが、その神奈川県の情報公開運営審議会の議論はどうだったのでしょうか。藤原委員のほうから。
  • 藤原委員
    5ページに引用されておりますように、公開請求の手続によることなく、情報提供で対応する制度ということで、広い意味で情報提供を充実させていったほうが、利用者側から見ても行政の側から見てもコストは下がるという、情報提供の充実という観点がメインのテーマですので、確かにそういう意味では開示請求に絞ったお話ではないということですね。
    ある意味で言うと、先ほどの入札後公表の範囲とか、あるいは税務情報のあたりでも使えることは使えるのかもしれません。応用すればですけれども。
  • 堀部会長
    東京都の最初の条例制定のときにかかわった経験で言いますと、東京都の最初の条例の場合には、権利義務関係の請求によって実施機関側が開示の義務を負うというのとまた別に、総合的な情報公開制度を目指していました。前の条文はここには入ってないでしょうね。
  • 石岡情報公開係長
    前の条例は入ってないです。
  • 堀部会長
    入っていないですね。そのときの考え方とすると、請求があって開示するかしないかということだけではなくて、もっと広く公表制度、総合的な情報公開制度というような言い方をしたような記憶があるのですけれども、そういうことで対応しました。その後、どう改正するかという議論があって、それが今の情報公開条例のもとになっているのですね。
    最初に議論したころのことで言いますと、情報公開という意味をどういうふうに捉えるかですけれども、中心は請求があって、権利として情報公開請求権という形、あるいは開示請求権という形で権利を条例上設定して、実施機関が公開義務、開示義務を負うという、これを中心に考えるというものです。それ以外に一定の文書等については公開すべきである、それはアメリカの先ほど言いました1966年のフリーダム・オブ・インフォメーション・アクトがそういう形になっていて、当時アメリカとかほかの外国の例も東京都としても随分調査をしまして、全体的に広い意味での情報公開、それができるようにというようなことで条例の構想を練ったことがあります。
    それが今手元にないので、前のものを見てまた考えてみますが、その一部は今でも29条、これは任意的な開示ですが、むしろ30条の「情報公開の総合的な推進に関する都等の責務」という、この30条でその趣旨が出ているというふうにも見られなくはないし、この規定は国の情報公開法でも同じような趣旨のものは入りましたし、いろいろなところでこれは入れております。
    神奈川県では、運営審議会のほうの議論がどういうようになったのか、今藤原委員から言われたようなことだったというようには聞いておりますが、ほかの自治体などでも、私の感じだとこういうことがあるのです。都道府県では情報公開条例が1980年代の、早いところで82年に制定して83年から施行したところ、神奈川県が1982年10月制定、1983年4月1日施行で一番早かったわけですけれども、請求する側もこの権利があるのだということで請求をしていく、受ける側も義務ということで対応するようになりました。私の印象とすると、全体として非常に硬直化した形で情報公開の議論というのが進んできたように思います。
    こういう情報が欲しいという求めがあると、記者クラブなどからの要請の場合は別だというようには聞いているのですが、それ以外ですと、住民あるいは何人ということもありますが、情報を知りたいと言ってくると、この制度に乗せて請求して欲しい、こういうように窓口でも対応する。開示請求書に書いて出しますと、今度それに応じて2週間以内とか、国の場合30日以内ですが、回答期限までの間に、どの文書は公開できるかできないか、こういうことになっていくというようなこともありまして、権利義務関係が中心になってきています。そのため、こういう情報が欲しいのだと言っても、それを加工して提供したりするということも余りないということが全国的に随分話として出ていますし、そういう印象を持っております。
    神奈川県では条例制定過程からかかわって、今も審査会にかかわっていますが、そういう中で審査会で実際に審査していても、そのようなことが非常にはっきり出てくるのです。何でこうなるのか、こういう情報がありますよ、これはこういうところで見られますよともっと親切に言ってみたらいいのではないかとか、あるいはこれだったらもっと出してもいいのではないか、こういう話に実際になって、こういうようにしようかというような議論になります。そのため審査会というのは単に諮問を受けてそれに対して答申するというだけではなくて、そういう調整機能を持つべではないだろうか、こういうことも随分議論をしてきました。
    そういう中で、条例の中に規定を置く場合に、情報提供というものを、情報公開条例という権利義務関係とそれに伴う情報提供ではなくて、もっと広く情報提供を捉えて議論してみてはどうかということで、神奈川県の情報公開運営審議会、この審議会と類似のものですが、そこで何回かそういう経験を話したことがありまして、時々そういう観点の答申が出ていましたが、今までそれが実現しなかったところがあります。
    そういう中で、昨年から議論をしていて、ことしの県議会で条例改正をして6月1日施行というようになったところもありまして、こういうものが欲しいというときに、既に公開しているものの公開ということもありますし、またもっとそのあたり柔軟に対応することができないのかということは少し検討してみてもいいようにも思うのです。
    具体的にはいろいろあります。それから1つ付け加えておきます。さっきのアメリカのも、きょうは部分的にしか言いませんでしたが、もっといろいろ金額を含め議論がありますので、次回というと別の問題、権利濫用のあたりを中心に議論していただくことになりますけれども、場合によっては、前から時々見ていますし、若干きょうの議論を補足する資料を私のほうで用意をして、アメリカでどういう議論になっているということも参考にしていただくこともいいのではないか、今このように思ったりもしております。
    ほかの国についてもときどき見ているのですが、コマーシャルパーパスをどうするかというのはアメリカが一番議論があるように思いますので、そのあたりを少し検討し、何か資料ができればというふうにも考えております。
    というようなことですが、どうぞ、藤原委員。
  • 藤原委員
    情報提供のところは東京都もかなり前から考えていたわけでありまして、情報公開事務の手引の126ページ、この31条の2項、情報公開制度の中で結構新しい試みがされているのです。これはただ12年改正のときですけれども……。
  • 堀部会長
    前のこのあたりはもっと大きくて、詳しく規定していたと記憶しています。
  • 藤原委員
    複数回開示請求を受けて、その都度開示した場合というのが入っていたのですね。神奈川のは、東京都であるとか岩手県、ああいう制度も念頭に置いて、請求者側から見たときのオプションを複数提示しておいたほうがいいという、会長のおっしゃった少し柔軟にしてみようという発想ですね。ただ、そうは言っても、不服申立ての対象というところと、やはり県民が公開請求にしたいと言ってくればやはりそっちだということは書いてあるという点がオプションを広げたという意味なんです。ですから必ずこれでやれという意味でもないのです。
  • 高橋会長代理
    今までの議論を聞いていて思ったことを述べさせていただきたいのですけれども、情報提供で対応したほうがいいのじゃないかというのは私もそのとおりではないかと思っております。この情報公開の将来像として、私自身はやはり文書というのは可能な限りデジタル化していって、公開できる文書はデジタル化していって、アーカイブ方式にしていくということが将来のあるべき姿だろうと思っていますから、そういうふうになっていけば公開請求するまでもなく、公開できるものはすべて自分でそこにアクセスできるという形になってくるのだろうと思うのです。そのほうがコストも安くなるのだろうと思いますから、ぜひそういう方向で考えていっていただきたいと思います。
    しかし、当面の営利目的の公開にどう対応するかという点ですけれども、前回私はデモクラシーのコストという観点もあるのじゃないかなということを言いました。ただデモクラシーのコストというのはどこまでかというのは、これははっきりわからないところがあります。おそらく結構営利目的のものが増えてきていて負担が大きくなっているということが言えるのだろうというふうに私自身も思いますから、若干デモクラシーのコストより超えている分がある、そういう点については利用者負担を多少お願いしてもいいのではないかというふうに考えております。
    ただ問題は、それをどういう方法でやるかということなんですけれども、まあ営利目的的なものとそうじゃないものを料金で区別するということになるだろうと思うのです。そのときに、まず第1に、営利目的かどうかということをどういう形で判断するか、この点について、営利目的かどうかを言わせるというのが1つの方法だろうと思うのです。従来はそういうことを聞いてなかったけれども、それを言ってもらう。それで営利目的という場合にはちょっとコストを高く、手数料を高くする。あるいはきょう報告された他の自治体の方法を見ていると、会社が言ってくれば営利目的と、みなそうということなんだろうと思いますけれども、その主体を言ってもらって、営利目的かどうですかと聞くよりは、どこから取りに来られているかというのを聞いたほうが、多少穏当ではないかということがあるのかもしれません。その主体で、会社からの場合はちょっとコストを高くしたらどうかとか、あるいは文書の性格で、こういう文書の開示を求めた場合には一律に高くしましょうという方法。こういう方法だと、どういう目的でというふうに聞くよりは、目的を聞かれて営利目的と答えると、答えるほうは何となく心理的に抵抗があるのかもしれないと想像をしたりするものですから、それを直接的に聞くよりは、ちょっと間接的に聞くような形で営利かどうかを判断するという方法があるのかなという感じは持っております。
    その上で、次の問題としてどういうふうに手数料の差をつけるかという点で、一律にとりあえずは手数料を上げておいて、営利的でない場合は減免する、これは本人にそう申告してもらうということですから、援助を受ける場合には自分のほうから言ってくださいということで若干緩和されるという感じはあるのかもしれません。そういう方法を考えるというのもあるのかなと。
    あるいは料金は低く抑えておいて、営利的なものだということを言ってもらって、さっき言ったようなどれで行くかというのは別にして、その上でそういう場合には高くする、そっちのほうは若干内心を強制的に言わせるみたいなところがあって、低くしてもらいたい人が自分から、その低くしてもらう利益と引き換えにどういう目的ですと言うのとの比較で、若干抵抗が強いのかもしれないと思ったりしております。
    それは今後の話で、どういう方法かということも少し詰めて考えてみていただければと思います。
    以上です。
  • 堀部会長
    整理していただきましてありがとうございました。
    それでは岡部委員どうぞ。
  • 岡部委員
    ただいまの会長代理の意見と同じことを言うかもしれませんが、もう一度意見を表明させていただければ、最近行政刷新会議でも同様の議論があるようでございますし、先ほど冒頭に申し上げました例、アメリカの例、検索・調査費用はできれば原則無料、商用の理由書という方向性が図られておられるようですが、ただ懸念されるのは商用のみ有償という、賦課するに当たっての、今会長代理が言われたように実務面でそれが商用かどうかということの見極めが非常に困難になることも心配されております。当然行政としては原則有償として、各種減免措置を設けるということを今申し上げたのですが、それがリスクが小さいと思っておりますが、あるものに対して賦課を行う際にはそれなりの行政側の説得責任というか、説明責任も要求されるかなということも懸念される。細かいことでありますが、そういう部分も詰めていく必要があろうかなと思います。これが1つであります。
    それからもう1つは、会長がその前におっしゃった、この情報公表制度、公開制度にかかわる条例のことなんですが、ちょっと所感でありますが、これは当然この条例は行政サイドの責務を規定したものかなと理解しておりますが、今後このような新しい事情が変更してまいりますと、これを利用する側の、あるいは節度といいますか、行政サービスを一方的に受けるだけではなくて、それなりにこういうものを理解した上での、責務とまでは言いませんが、何か心構えも必要になってくるのかなという印象は受けておりまして、そういうものをこういう条例に規定するのは、法律立てとしては難しいのだろうと思うのですが、例えば商用目的で特定の業界、企業の方々がこれを利用しようという動きがありますので、それに対するある業界といいますか、業種団体なりの自主規制的なものも、少しは節度としては将来求められてくるのかなと。そういうものを条例として規定するのは難しいと思いますが、何らかの行政指導なり、会長の所信をお述べになるとか、そういう中で処理できないのかなと、ちょっとジャストアイデアで恐縮でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。大変示唆に富むご指摘をいただきましてありがとうございました。
  • 藤原委員
    問題点については高橋先生が整理してくださったようなことだと思っているのですけれども、できるだけ客観的、外形的で請求の意図を問うという形にならないほうがいいだろうというお話だと思うのですけれども、そうすると神戸の方式にプラスアルファして、ジャーナリズムとかアカデミックディスカウントをどうするかという話が加わるという話、それで期待できるという話は1つのあり方だろうと思います。
    そのときにもう1つ、きょうのご報告だと、文書で切る板橋の方式というのは、事務量が増大したけれども効果は余り見られないということになっていて、これはお金にも多分よるのだろうと思うのですけれども、300円だとどうも当初の意図のようには働いていないというふうにも受け取れるので、文書の種類だと、規則で定めるということをした場合には別の考慮要素も出てくるのかなという感じがしました。
    それと、1つこれまで出ていないのかなと思うのですけれども、その場合、商用目的ではない一般のほうをどうするのかというのは明確にまだ議論をしてないと思うのですけれども、要するに8割の商用であるとして、じゃあとの2割は無料にするということになるのか、あるいはあとの2割は現状維持なのか。あるいはさらに現状より下げるのかとか、そのあたりはまだ出てないということでよろしいのですかね。
  • 堀部会長
    東京都の場合は改めて言うまでもなく、閲覧手数料をいただいていますので、100円ということですね。
  • 藤原委員
    本来のミッションとの関係では、きょうやるのかどうかはともかく、いずれはその辺りの整理の必要があるということでよろしいのですね。
  • 堀部会長
    いずれそういうことも検討したいと思います。きょういろいろご意見をお出しいただきまして、まだまだいろいろアイデアが出てくるかと思うのですが、まとめは来年の5月ころとも考えていますので、今のところは何かこれでという結論を出すよりは、こういう営利目的については何らかの対応が必要だという点では共通認識になっていると思いますので、それを具体的にどうするのか。今までも出ています手数料のこともありますし、それ以外の方法で何か可能であればそういうことで対応してみようということがあります。
    それから、岡部委員が言われたことですが、今東京都の審議会としてこういう議論をしているということで、審議会として報告書という形で出すのかどうか、これもまた事務局とも相談して進めたいと思います。先ほどの実際にこのくらい費用がかかっているというような実態なども含めて出してみて、請求する側にしてもこういうふうにすべきではないかというような意見を出してみるというのも1つあると思います。そういうことを東京都のホームページ広く公開し、そういうことを広く知っていただく等々がありますし、会長コメントのような形で出すということも考えられるかと思います。
  • 藤原委員
    実は今の点は、私はきょう出していただいたような数字を、パブコメとの関係でいつの時点にするのかなと考えていました。やるかどうかと、最終的に制度の枠組みが決まったときにパブコメをやる、そのときに出す数字なのか、あるいはもう少し前に中間的に、こういうふうに数字が出ていますということを見てもらって意見を聞くということもやるのかとか、手段はいろいろあるので、それはもう……。
  • 堀部会長
    どうしますかね。今回の調査よりももう少し数を増やすなり何なりして、実態がどうなっているのか、それから職員の通常の業務、これも条例で情報公開事務というのはすることになっているのだから、一定の時間を割いて当たり前だ、こういう議論をする人もいます。そういうことがあるにしても、実際にはこのくらいの時間も費用もかかるというようなことをもう少し明らかにしてみるというのもこの際いいかと思いますので、もう少し広く、あるいは時間を1週間ではなくて長期にわたって調べていただくというのもあるかと思います。
    いろいろあろうかと思いますので、きょうのところは何らかの対応の必要があるという点ではいろいろご意見も出していただきましたので、そういうことで少し整理をしてみたいと思います。
    それから、今まで出ていないので言うと、アメリカで議論してきたりしていますが、例えば請求書にしても日本では非常に几帳面に書式をつくって、その書式に書いていただくので、そこに目的を書いてもらうかどうかということが議論になります。アメリカの場合には、請求するときにはこういうふうにして請求すればいいですよというようなことを説明したものがあちこちにでています。例えば大学関係ですと、大学の名前、住所が入ったレターヘッドに、昔ですとタイプライター、今ではメールでどの程度受け付けているのかわかりませんが、請求した先のアドレスを見ればわかるとか、営利事業者の場合にはレターヘッドで出せばわかるとか、そこにも目的を書くようにというようなこともあります。日本ではその目的を問わないようにしようというふうにしていったものですから、目的を書いていただくということ自体が問題になります。アメリカの場合にそこは目的を書いて、研究目的やリポート目的であれば減免されるという、こういうやり方をしてきています。そういうことで積極的にそれを書いていく、こういうこともあったりするので、そういう点も含めてどうしていくのかということもあろうかと思います。
    さらに、営利目的で国の行政機関なり東京都が保有している情報を利用することが、今後経済の発展につながるという議論がアメリカで随分ありまして、これは言い出すと切りがないのですが、実際にいろいろ話を聞いていますと、日本の企業こそ、このアメリカの情報公開制度を使って、アメリカの企業よりもはるかにいい製品をつくっているではないか、こういうことを言うアメリカの事業者もいます。
    等々いろいろありまして、これをどういうふうに捉えていくのかというのはなかなか難しいところもありますので、全体的にそういういろいろな問題を把握してこの機会に東京都として捉えてみて進めていきたいと思います。
    一方、藤原委員が委員を務めています国の議論もあります。先日、結論を出したのですか。
  • 藤原委員
    ええ、一応の議論は終わったということで、30日に……。
  • 堀部会長
    報道によると、例えば最初に300円支払うのを、営利目的に限って300円というようなことが出ていますが、そういうことでいいのでしょうか。
  • 藤原委員
    いや、それは決まってないと思います。額までは。
  • 堀部会長
    決まってないのですか。報道ではそういう書き方をしているのがあったりしたので、お聞きしました。そのあたりはまた明らかになろうかと思います。
    ということで、いろいろ議論すべきことはありますが、きょうの議論を事務局と相談して少し整理してみて、次回、最初の段階でこういう論点があったということで少しお出ししていきたいと思います。いろいろ論点がありますが、それについてそれぞれ議論をしていただくというふうにしていきたいと思います。
    ということで、審議事項についてはよろしいでしょうか。かえっていろいろな議論を宿題が出てきたという感じがして、大変ですが、これで進めていきたいと思います。
    それでは、審議事項は以上で終わらせていただきまして、報告事項について進めていきたいと思います。
    最初に、「保有個人情報を取り扱う事務の開始について」、土居係長からお願いいたします。
  • 土居個人情報係長
    それでは、保有個人情報を取り扱う事務を新規に開始する場合の届出につきましてご報告いたします。
    東京都情報公開条例及び個人情報保護条例におきまして、制度運営について審議会は意見を述べることができるとされ、東京都情報公開・個人情報保護審議会規則第1条の2の第1項によりまして、実施機関が保有個人情報を取り扱う事務を開始する場合は意見を述べることができるとされております。これに関しまして毎月1回、月末に、開始予定の事務の届出を取りまとめて委員の皆様にお送りしてご確認をいただいているところでございます。
    今回ご報告いたしますのは、平成22年2月から5月までに保有個人情報を取り扱う事務の開始の届出があったものについてでございます。資料2をご覧ください。
    2月から5月までに22件の届出がございました。このうち、3月に届け出られた1件につきまして高橋委員から意見が付されました。2つ目の表をご覧ください。
    下水道局の中部下水道事務所ほか5つの事務所の建設課における設計委託事務でございます。保有個人情報を取り扱う事務の目的の記述が不明確であるとの先生からのご指摘を実施機関に伝えましたところ、結果欄にございますように、「適正な設計を行うため、委託先の技術者の経歴等の把握を行う」と修正されました。以上の修正につきましては、委員の皆様には別途ご連絡いたしましたところでございます。
    また、それ以外の事務で収集する個人情報について、委員の皆様からは特に付すべき意見はないとのご回答をいただいております。
    以上、簡単ではございますが、保有個人情報を取り扱う事務を開始する場合の届出についてご報告いたしました。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    これについては送っていただきそれぞれ見ていただいて、意見があるかないか、ある場合にはこの点ということで出していただいております。その後にそれぞれの月の分を整理していただいていますので、これを見ますと、こういうものがあったということがよくわかるようになっております。よろしいでしょうか。何かご質問等があればお願いしたいと思います。
    それでは次に、報告事項の2ですが、「存否応答拒否事案について」、山口係長お願いします。
  • 山口情報公開担当係長
    失礼いたします。情報公開課の山口と申します。
  • 堀部会長
    山口さん、きょう初めてでしたか。
  • 山口情報公開担当係長
    はい。
  • 堀部会長
    それでは自己紹介を兼ねてお願いします。
  • 山口情報公開担当係長
    報告については本日初めてでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
    まず、お手元の資料の3をお開きください。こちらに存否応答拒否の一覧表を添付してございます。
    前回、2月の審議会以降、情報公開請求におきまして存否応答拒否が9件、個人情報保護条例の請求に基づく存否応答拒否が1件、計10件の報告件数がございます。
    それでは、一覧表に基づきながら個別にご報告をさせていただきます。左に1から10まで番号を一覧表につけておりますので、この番号でご説明をさせていただきたいと思います。
    1番につきましては、生活文化スポーツ局、現生活文化局の案件になります。これは特定の宗教法人を指定しまして、その規則、平成5年以降に都に提出された書類のすべてのうち、宗教法人法25条4項で定められております事務所備付書類の写しを請求した内容であります。実施機関は、これに答えますと、特定の宗教法人の活動状況が明らかとなるため、条例7条1号の法令秘情報及び7条3号で事業活動情報に該当するとして存否応答拒否を行った事案でございます。
    数字の2番でございます。これは下水道局の案件です。請求の内容は一覧表の記載のとおりでございます。特定法人が行政機関の立ち入りを受けたことの有無に関する請求でございます。これに答えてしまいますと、特定の法人が行政機関の立ち入りを受けたことが明らかとなり、当該法人の名誉、社会的評価が損なわれると認められ、情報公開条例の7条3号に該当するとして、実施機関が存否応答拒否をした事案でございます。
    続きまして3番、これは主税局の案件になります。特定の番地、特定の個人の不動産取得税に関する請求でございます。これに答えてしまいますと、特定個人に係る情報を開示する結果となることから、実施機関は情報公開条例7条2号に該当するとして、存否応答拒否をしております。
    続きまして4番、こちらは水道局の案件になります。こちらも特定の法人が東京都の水道局発注工事代金の残金に関する債権譲渡の書類という請求でございますので、これに答えてしまいますと、特定法人間におきます債権譲渡の事実、それらに伴う融資等の有無という、条例7条3号に定められております事業活動情報に該当する情報を開示することとなりますので、存否応答拒否としたものでございます。
    続きまして数字の5番、これは警視庁の案件になります。請求内容は一覧表のとおりでございます。特定の機関に特定の法人が相談した事実の有無についての開示請求でございます。これに答えてしまいますと、法人の競争上、事業運営上の地位が損なわれると認められ、また特定法人が警視庁に相談をしたという事実が明らかとなるとして、情報公開条例7条3号及び6号に該当するということで、存否応答拒否をした事案でございます。
    6番に移ります。これは特定の学校においてUSBを紛失したことに関して処分内容がわかる文書に関する請求でございます。文書の存否を答えることによりまして、特定の個人が処分を受けたか否かの個人情報を開示してしまうことになるとして、実施機関が存否応答拒否をした事案でございます。
    続いて7番でございます。これは都市整備局の案件です。請求内容は、特定の不動産業者に関しまして行政指導が行われているか否かの内容でございます。文書の存否を答えることによりまして、特定された不動産業者に関して行政指導の有無が明らかとなり、当該法人の事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるとして、実施機関が条例7条3号により、存否応答拒否をした事案でございます。
    8番から10番までは、いずれも福祉保健局の案件であります。うち8番、9番が情報公開条例に基づくもの、9番が個人情報保護条例に基づくものでございます。
    8番は、行政指導を受けましたいわゆる名指し請求によりまして改善された内容や視察を受けた際の内容、また専門家による意見、見解を求めた第三者からの請求になります。当該文書の存否を答えることで、当該個人に関しての行政指導の有無について開示することとなるため、また7条2号の個人情報を開示することとなるため、存否応答拒否をした事例でございます。
    9番でございます。これは特定日に発生をしました傷害事件の加害児童名を名指しして行われた児童票の開示請求です。実施機関はその文書の存否を答えるだけで個人情報を開示することとなるとして、存否応答拒否としております。
    最後になりました。10番、これは個人情報保護条例に基づく存否応答拒否の事例でございます。請求内容は、ご覧のとおり文書名を特定したものでございます。ただこれに答えてしまいますと、特定の個人が何らかの事情で同センターへ相談したという事態が明らかになってしまうとして、存否応答拒否をした事例でございます。
    なお、今の10件につきまして、いずれの事案も直接または間接的に特定の個人、法人を名指ししたものとして存否応答拒否をした事例でございます。
    報告は以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    存否応答拒否につきましても送っていただくようにして、それぞれ見ていただいていますが、全体をまとめていただきますとこういう形になります。この場でご意見、ご質問等があれば。どうぞ、藤原委員。
  • 藤原委員
    1番ですけれども、確認ですが、手元に条文がないので、宗教法人法の25条4項が何だったかちょっと今わからないのですが、これは事務所に備付の書類を開示請求しているわけですね、具体的には。
  • 山口情報公開担当係長
    はい、そのとおりです。
  • 藤原委員
    これは備え付けてなきゃいけないもの、つまり提出をしなければならない書類ですか、義務的には。
  • 山口情報公開担当係長
    はい。
  • 藤原委員
    義務的に提出しなければならない書類であれば、出ているということで、具体的な法人の活動はわかるという、宗教法人法そのものの目的に反するという話ではないのじゃないですか。
  • 堀部会長
    どうぞ、説明してください。
  • 山口情報公開担当係長
    本件につきましては、宗教法人法25条4項に、毎年度終了後4月以内に第2項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項2号から4号まで及び6号の写しを所轄庁に提出しなければならないと規定されており、これに基づく請求となります。
    これについては、平成18年10月11日、広島高裁松江支部において判決を言い渡している同種事例があり、すでに最高裁で上告が棄却となり確定しているもので、文化庁次長から各都道府県知事あての通知において、全国的に一律に対応している事案です。
    同判例においても法定受託事務と位置付け、文部科学大臣から文化庁次長に対して与えられた職務権限に基づいて定められた処理基準であり、都におきましても、条例7条1号に定める実施機関が従わなければならない各大臣の指示等により公にすることができないと認められる情報としております。
  • 藤原委員
    墓地、埋葬等に関する法律、墓埋法等で開発案件があるときに、たしかこの25条4項の今ご説明いただいた書類の開示請求が問題になって、幾つか、中国地方でしたか、裁判例等もあったと記憶しているのですけれども、その判例ですね。この法令秘についての文化庁の説明というのは、この法人の3号と関係ない話なんですね。だって休眠がわかるということと宗教法人法で守らなきゃいけないという話とは別なので、それだったら3号を持ってきて本当にいいのかなという話と、要するに東京都としては法定受託事務のときのあの通知は1号と解釈しているというところが決め手だということなんですね。あれは条例によって違いますけれども、実質的な指示かどうかを見るということを明文で書いてあるところもありますけれども、都としては1号と言われたら一応は法令秘と扱っているということなんですね、あの通知を。その理屈のところは理解できました。ただ実態として本当になぜ3号なんだという気がしますけれども。
  • 高橋都政情報担当部長
    なかなかこのケースは、確かに議論の生まれるところだと思います。
  • 堀部会長
    ご指摘のようなことがありまして、非常に難しいところだろうと思うのですが、一方で休眠の宗教法人の名前の悪用という現実もあるものですから、そのあたりで判断したものと思います。また文化庁のほうもそういうことであろうと思います。
    ほかにいかがでしょうか。そうしますと、存否応答拒否の報告については以上でよろしいでしょうか。
    それでは、きょうの全体を通しまして何かご発言、あるいは今後の予定としますと、先ほど来話していますように、権利濫用のところも問題ですので、そのあたりの具体的な例などもまた示していただいて、どう対応するのかということになろうかと思います。これは中村委員が前回言っている東京都の条例の4条でしたですか、「適正な請求及び使用」のところとも関連いたしますけれども、そういう点でどのようにしていけばいいのかということを議論いただくことになろうかと思います。
    ということですが、それでは今後の予定等につきまして、高橋部長のほうから、そのほかも含めてご発言いただきたいと思います。
  • 高橋都政情報担当部長
    それでは、次回以降のスケジュールも含めて改めてご紹介をさせていただきます。
    お手元の緑のファイルで第44回という赤いタグのついているところがございます。それを2枚ほどおめくりいただきますと、資料の1ということで、これは前回の審議会の際にご確認をさせていただいたということでございますけれども、審議会での検討スケジュールということで今後のスケジュールをここで整理をさせていただいております。きょう、7月27日の第3回「営利目的請求の急増について2)」というのがきょうの予定ということになっておりました。次回はその次のところで、4、22年9月ということで、9月13日に開催をさせていただく予定でございます。もう既に委員の皆様にはご案内をさせていただいているところでございますが、13日の午前中に開催をさせていただく予定でございます。
    なお、先ほどからいろいろご議論をいただきまして、営利目的請求についての、例えば会長さんからのご発言の中で、アメリカの例ももう少し調べてみたい、それで次回できればご報告をというようなお話もございましたので、これについてはまた会長ともご相談をさせていただいて、特にアメリカでの商用目的、私どもは営利目的請求というふうに呼んでおります、その考え方、あるいは実態までどこまで踏み込めるかわかりませんけれども、できれば次回の冒頭あたりに資料提供ということになるのか、あるいは具体的な議論というようなことになるのか、それも会長さんともご相談させていただきたいと思いますが、そういう時間を設けさせていただければと思います。
    それから、藤原委員のほうからお話のございました一般の請求についてというようなことで、これはパブコメとの関連でどうするのというようなお話もございましたけれども、これにつきましては、この審議会での検討内容をどういうふうに取りまとめていくのかというようなことにかかわってくると思いますので、そのスケジュールとの関係もございますし、あるいは条例改正を念頭に置くのか、あるいは置かないのか、条例改正をするとしたらいつの時点でというようなこともございます。これは議論の内容あるいはその進捗状況に応じて変わってくるものだろうというふうにも考えられますので、そのあたりも今後の議論の様子、内容等を見ながら、堀部会長とご相談をさせていただければと考えております。
    とりあえず私のほうからのご報告は以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    いかがでしょうか、ただいまの件につきましてご質問等があればと思いますが、よろしいですか。
    では、特にないようですので、本日の会議は以上をもちまして終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

11時43分閉会

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