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平成29年(2017年)2月6日更新

情報公開・個人情報保護審議会(第50回議事録)

第50回東京都情報公開・個人情報保護審議会議事録

平成23年5月20日(金曜)
東京都庁第一庁舎42階 特別会議室C・D

10時15分開会

  • 梅田都政情報担当部長
    それでは、定刻になりましたので、第50回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開会させていただきます。私は、都政情報担当部長の梅田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    議事に入りますまでの間、事務局で進行役を務めさせていただきたいと思います。まず、本日は大変お忙しい中審議会にご出席をいただきまして、ありがとうございます。また、委員の皆様には、常日頃、東京都の情報公開及び個人情報保護につきまして、専門的なお立場からご審議をいただき、また有益なご助言を頂戴いたしておりますことを、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げるところでございます。本当にありがとうございます。
    本日は7名の委員の方にご出席をいただいておりますので、審議会規則第4条の規定によりまして本審議会は有効に成立しております。また、本審議会は、情報公開条例及び個人情報保護条例に基づきまして設置されておりますが、委員の任期は2年間とされております。今期の委員につきましては7名の委員の皆様全員に引き続きご就任をお願いいたしましてお引き受けいただきました。委嘱状につきましては、はなはだ簡単ではございますが、既にお手元にお届けさせていただいているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、最初に議題2の会長及び会長代理の選任に入らせていただきたいと思います。
    会長の選出につきましては、審議会規則第3条によりまして、委員の皆様の互選によりご選任いただくことになっております。改めてご選任いただきたいと思いますけれども、委員の皆様いかがいたしましょうか。
  • 藤原委員
    せん越でございますけれども、私からご推薦申し上げたいと存じます。堀部先生は日本の情報法学の分野における第一人者であられ、情報公開、個人情報保護の両分野について高い見識をお持ちです。また、本審議会の会長を既に長年務めておられ、これまで多大な貢献をなされ大きな実績をお持ちですので、ぜひ堀部先生に引き続き会長をお受けいただきたいと思いまして、ご推薦申し上げたいと思います。
    いかがでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  • 梅田都政情報担当部長
    それでは、堀部委員に引き続きまして会長にご就任していただきたいと思います。
    それでは、これ以降の議事進行につきましては堀部会長にお願いしたいと思います。会長、どうぞ会長席にお移りください。
  • 堀部会長
    引き続き会長を務めさせていただきます。
    東京都の情報公開条例の制定に当たりましては、30年以上前からいろいろ議論をしてまいりまして、制定に当たっての懇談会の委員も務めました。また、個人情報保護条例につきましても、20年以上前に議論を始めて、これも懇談会ができましてその委員を務めました。当初情報公開条例のもとでは審議会はなくて審査会のみだったのですが、個人情報保護条例で個人情報保護委員会という審議会機能を持ったものを設置いたしまして、その後条例改正により情報公開と個人情報保護の両方を扱うことになって、現在の情報公開・個人情報保護審議会というようになっております。以前のことはおきまして、この間の変化はより著しいところもありまして、当初考えていたような情報公開の理想的な運営ばかりではなくて、いろいろ問題も出てきたというのが1年以上にわたって議論をしてきたところであります。この新しい任期に当たりまして、今後特に情報公開条例をどうしていくのか。国でも4月に国会に改正法案が出ている状況もありますので、引き続き議論をしていきたいと思います。微力ではありますが、全力を尽くしますので、よろしくお願いいたします。
    では、会長代理の選任ですが、審議会規則第3条によりますと会長代理は会長が指名することになっております。前期に引き続きまして高橋委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  • 堀部会長
    ありがとうございます。
    それでは、高橋委員にお願いします。一言ごあいさつをお願いします。
  • 高橋会長代理
    私が適任かどうか、自信ありませんけれども、会長のご指名ですので、皆さんの協力を得ながら務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  • 堀部会長
    次に事務局から報告があるということですので、お願いいたします。
  • 梅田都政情報担当部長
    それでは、4月の人事異動によりまして事務局職員がかわりましたので、改めて紹介させていただきたいと存じます。
    都政情報担当部長の梅田でございます。どうぞよろしくお願いします。
    続きまして、情報公開係長の斉藤です。
  • 斉藤情報公開係長
    斉藤です。よろしくお願いします。
  • 堀部会長
    次に議題の3、住民基本台帳ネットワーク部会委員及び専門調査員の選任に移ります。部会委員は、情報公開条例第34条第6項に基づき審議会の委員の中から指名し、また、審議会規則第7条に基づきまして専門調査員も選任できることとなっております。現在の部会は、審議会委員3名及び専門調査員1名の計4名により構成されております。これまでのメンバーは、高橋委員、藤原委員と私と、東京工業大学の教授になられました山口調査員でした。引き続きこの4名で行っていきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  • 堀部会長
    では、そのようにさせていただきます。
    審議会規則第6条によりますと、部会の部会長は会長が指名することとなっておりますが、ご了承いただければ引き続き部会長を務めさせていただきますけれども、よろしいでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは、引き続き高橋委員、藤原委員、よろしくお願いいたします。
    ここで、藤原委員は所用のため、退席ということになります。ありがとうございました。
    続きまして、議題の4、報告事項に入らせていただきます。住民基本台帳ネットワークシステムの現況についてということで、住基ネット部会からの報告をお願いすることになりますが、それでは、これにつきましては持丸課長からご報告をお願いいたします。
  • 持丸振興調整担当課長
    委員の皆様におかれましては、日ごろより大変お世話になっております。総務局行政部振興調整担当課長の持丸でございます。
    私から、住民基本台帳ネットワークの現況について、ご報告をさせていただきます。
    恐れ入りますが、お手元の資料1をご覧いただきたいと存じます。初めに、1頁の1、都における本人確認情報の利用または提供件数でございます。直近3年間の実績を、住民基本台帳法に基づく利用提供、それからその下の欄に条例に基づく利用提供に分けてお示ししてございます。
    まず、表の一番上の欄でございますが、国の行政機関等への提供件数でございます。平成22年度には1,674万件余の提供がございましたが、このうち1,429万件余が日本年金機構に対する提供となってございます。
    なお、平成21年度と比較いたしますと730万件ほど増加しておりますが、これは日本年金機構におきまして事務手続の見直しが図られ、住基ネットの利用事務が増加したこと、それから年金受給対象者が増加したことによるものでございます。
    次に、他の地方公共団体への提供件数でございますが、平成22年度は3,603件となってございます。平成21年度の提供件数が、20年度、22年度と比べ大変多くなってございますが、これは平成21年7月に東京都議会議員選挙が実施されまして、都内区市町村での公職選挙法に基づく利用が一時的に増加したことによるものでございます。
    3行目でございますが、都の利用件数でございます。平成22年度の利用件数が63万5,000件余となってございます。このうちおよそ62万件がパスポート関係の件数でございます。
    最後に、東京都の条例事務利用または提供件数でございますが、平成22年度につきましては13万3,000件余となってございます。このうち都税の賦課徴収関係の事務で約7万件、下水道の料金徴収事務で約6万件となっておりまして、この2つの事務で条例による利用提供件数のほとんどを占めているところでございます。
    過去3年間における増減理由でございますが、平成20年度から21年度にかけて約2万4,000件ほど減ってございます。これは都税の賦課徴収事務での利用の減少によるものでございます。
    また、平成21年度から22年度まで、22年度に約4万5,000件ほど増加してございますが、これは水道局と下水道局との間で料金徴収の取り決めが変更となりまして、下水道局での利用が増加したことによるものでございます。
    なお、内数で区市町村への提供件数をお示ししてございますが、現在のところ提供先は青梅市のみとなってございまして、これは平成20年11月から市民税の賦課徴収事務で利用を開始したことによるものでございまして、22年度の実績は169件というふうになってございます。
    以上、22年度の都における利用または提供件数の合計は、一番下の欄でございますが、1,751万件余となってございます。
    都における本人確認情報の利用または提供件数に関する報告は以上でございます。
    次に、1枚おめくりいただきまして、資料の2頁をご覧いただきたいと存じます。2の都内自治体における住基カードの交付枚数についてでございます。平成22年度には17万5,000枚余を交付いたしまして、累計交付枚数は79万6,000枚余となってございます。これを平成22年3月31日現在の住民基本台帳上の東京都の人口を用いまして人口比としてお示しをいたしますと、6.7%となってございます。ご覧いただきますとおり交付枚数は年々増加をしておりますが、その要因といたしましては、既にご案内かと存じますが、eタックスにおける5,000円の税額控除が大きく影響しているものと思われます。このeタックスの電子申請による控除でございますが、19、20の2年間の措置でございましたが、その後2年間延長されまして、平成22年度分まで特別措置として行われるというふうになってございます。
    都内自治体における住基カードの交付枚数については以上でございます。
    最後に、3の住基ネットに関連した最近の動きについて、ご報告を申し上げます。まず、不接続団体になっている国立市の状況でございます。こちらのペーパーでは平成14年12月の住基ネット接続以降現在に至るまでの経過を簡単にまとめてございます。この間都知事から地方自治法に基づく是正の勧告を、平成15年5月30日、平成20年9月9日と二度にわたり行っております。また、二度目の是正勧告が行われました平成20年9月には、国立市議会におきまして住基ネット接続を求める決議が採択されているところでございます。さらに、平成21年2月13日には、総務大臣から都知事に対し是正の要求の指示がございまして、2月16日に都知事から国立市長への是正の要求を行ったところでございます。地方自治法上是正の要求の内容に不服がある場合は自治紛争処理委員の審査の申立てができるということとなっておりますが、国立市は自らの事務処理の適法性や、この都の是正要求の違法性を自治紛争処理委員の審査の申立てを行わないまま審査申立期間が経過し、引き続き違法な状態が継続する状況となっているところでございます。
    その後、国立市民によりまして住基ネット接続拒否に伴う公金支出の差止めを求めました住民訴訟が東京地裁に提訴されまして、今年2月に判決が出たところでございます。判決の内容は、国立市の支出の一部の差止めと市長に対する不接続により生じた経費約40万円の返還を命ずる判決がくだされたというところでございます。
    国立市は判決に対しすぐに東京高裁に控訴を行っているところでございますが、この4月20日に行われました市長選におきまして、住基ネット接続を賛成をしている市長が当選いたしまして、5月2日の市長就任会見におきまして、早期の接続準備着手とこの裁判の控訴を取り下げるということを表明してございます。新聞報道によりますと接続時期は来年1月頃というところでございますが、関連する補正予算案を市議会の6月定例会に提出する準備を進めるなど、現在接続に向けた取組が進められているというところでございます。
    資料3頁をご覧いただきたいと思います。住民基本台帳法の一部改正についてでございます。平成21年7月に住民基本台帳法の一部を改正する法律が成立、公布されたところでございます。改正法では、出入国管理・難民認定法の改正による外国人登録制度が廃止されたことに伴いまして、外国人住民を住民基本台帳法の適用対象に加えることというふうになってございます。これは具体的には日本人と同様に外国人住民につきましても住民票が作成されまして、転入等の手続、あるいは職権による記載等がなされまして、各種行政事務処理の基礎となるというところでございます。また、日本人と同様に住民基本台帳制度に基づく届出によりまして、国民健康保険や子ども手当など、他の制度の手続が同時にされるということになりまして、こうした他の手続事務とのワンストップ化が図られるというところでございます。
    昨年12月には政省令が公布されまして、改正法に基づく具体的な事務手続などの一部が示されたというところでございます。今後法施行に向けまして区市町村におけるシステム改修や仮住民票の作成などの準備を鋭意行っていくということになってございます。
    なお、法の施行は公布後3年以内の政令で定める日とされておりまして、平成24年7月までには施行されるというふうに聞いてございます。
    私からの報告は以上でございます。
  • 堀部会長
    ただいま、住民基本台帳ネットワークシステム関係のご説明をいただきましたが、質問、意見等ありましたらお願いいたします。
    ただいまのは報告として伺っておきたいと思います。
    次に、議題5、審議事項に入らせていただきます。現行情報公開制度の運用上の諸問題について、総括審議(まとめ)ということで事務局に資料を用意していただいていますので、北原課長から説明をお願いいたします。
  • 北原情報公開課長
    それでは、説明させていただきます。
    本日の審議事項でございます「現行の情報公開制度における運用上の諸問題」についての総括審議につきましては、資料に沿いましてご説明させていただきます。お手元のファイルに綴ってございます資料2の「東京都情報公開・個人情報保護審議会 検討経過」をご覧ください。A3の横で、右下に頁数が記載されている6枚綴りのものでございます。事前に委員の皆様にお送りしました資料には資料1となっておりますけれども、本日の資料は1つずつ繰り下がっていますので資料2となっております。
    「現行の情報公開制度における運用上の諸問題」につきましては、4つの問題点につきまして、これまで6回の審議会を通じてご検討をしていただきました。こちらの資料はこれまでの委員の皆様方のご意見をまとめたものでございます。1頁をご覧ください。昨年の5月19日に開催されました第44回の審議会におきまして、現行の情報公開制度における運用上の諸問題につきまして、4つの問題点を再確認した上で、営利目的請求の急増につきまして審議をいただいております。各委員のコメント欄の冒頭にも記載してございますけれども、営利目的請求の急増、権利濫用的請求、開示手数料、情報技術の進歩への対応策、これらは相互に関連したものでありまして、特に最初の3つは三位一体の議論になるという共通の認識のもとで検討が進められてまいりました。
    まず、営利目的請求の急増に関しましては、企業がこの制度を利用して社会の活性化に貢献しているという点では、営利目的請求をマイナスに評価する必要はないとした上で、この請求を通じて利益を上げている以上は何らかの対価を払うことが必要であろうとのご意見が多数ございました。しかし、一方では、営利目的請求が情報公開条例第4条にいう適正な請求及び使用に当たるのか疑問であるとのご意見もございました。まとめますと、現在の情報公開制度におきましては、開示請求の目的を問わないことが前提となっておりまして、ビジネスであっても排除することはできないとしながらも、営利目的請求に関しましては何らかの負担を求めていく。あるいは営利目的請求以外の一般的な開示請求に対しては減免措置を講じる等の対応が必要ではないかとのご意見が多かったように考えております。
    2頁に移ります。7月27日に開催されました第45回の審議会におきましても、営利目的請求の急増につきまして2回目の審議が行われました。この審議会では事務局から開示請求に係る事務コストをお示しさせていただきました。表の左側の事務局説明内容をご覧いただきますと、1の(2)の調査結果に記載しましたとおり、1請求当たりの平均所要時間は14.3時間、1請求当たりの人件費は3万8,367円という調査結果をお示ししてございます。この事務コストの積算方法に関しましてはご意見があるところではございますが、これも営利目的請求の急増に対処する上での一つの目安にはなろうかと考えております。
    この調査結果に関しましては、開示請求に係る業務は一定の時間や費用といったコストがかかっていることから受益者負担の原則は維持されるのが妥当ではなかろうかとのご意見が多数ございました。しかし、一方では公文書管理の悪さが原因で対応に時間がかかり、コストに跳ね返っているのではないかといったご意見や、情報提供による対応を行うこととか、業務を見直すことによってコスト軽減が図れる可能性があるのではないかといったご意見も出されておりました。
    1枚おめくりいただきまして3頁をご覧ください。9月13日に開催されました第46回の審議会では権利濫用的請求についてご審議していただきました。繰り返し同じ請求を行うなど、特定の傾向がうかがわれます悪意のある請求については排除していく必要がある、しかし、都民の知る権利や開示請求権をいたずらに制限してはいけないとの考え方につきましては、概ね委員の皆様方の一致した意見でございました。
    具体的な対応策としましては、条例の運用、解釈、判例だけではなく、運用基準などを明文化したものが必要であるというご意見や、濫用のメルクマールを一定の文書の枚数にしたらどうかといったご意見もございました。また、今後国が作成するであろうガイドラインを踏まえて対応することも現実的であろうとのご意見も出されておりました。
    1枚おめくりいただきまして、4頁でございます。11月15日に開催されました第47回の審議会の概要が4頁にございます。そして、本年の1月24日の第48回審議会の概要が5頁に載ってございます。これらはいずれも開示手数料、特に閲覧手数料について二回にわたりご審議していただいたものでございます。開示手数料につきましては、通常の人が政治に参加する、いわゆる一般的な請求に対しては基本的に金額が安い方向で考えていくべきではないかとのご意見が出されましたが、その一方で、請求の目的を問わない情報公開制度を前提に考えると、商業用目的であるかどうかを見分けることが難しいとのご意見もございました。また、料金の区分を行った場合のさまざまな問題点についても意見が出されておりました。現行の開示手数料、特に閲覧手数料でございますが、開示手数料制度を維持するべきか、見直すとしたらどのように変更するのかといった問題につきましては、営利目的請求に対し事務量軽減につながる工夫や改善を行うことで現行制度を見直さなくてもよいのではないかといったご意見が多数ございました。
    なお、資料3といたしまして、東京都の現行手数料制度と、考えられる方向性の比較を添付してございます。こちらの資料は第47回の審議会で一度お示ししたものでございますけれども、そのときと内容に変更はございませんので、詳細の説明は割愛させていただきますけれども、現行の開示手数料の制度に対しまして、3つの考えられる方向性を示したものでございます。まず1つ目として、開示手数料の料金設定を一律にする場合がございます。それから、2つ目に、営利目的請求を念頭に置きまして開示手数料の料金設定に区分を設ける場合がございます。具体的には、営利目的によりまして区別する場合、それから文書の性質によりまして区別する場合、それから3番目として営利法人等の請求主体により区分する場合、それから請求枚数により区分する場合、この4つがございます。3つ目に、現行料金体系に減免制度を導入する場合、以上大きく3つに分類しまして考えられる方向性について載せてございます。
    これらの考え方に対する委員の皆様方のご意見ですが、開示手数料を徴収することにつきましては、開示の業務には事務コストがかかっていることや、請求者がお金を支払うことで必要なものを限定して請求するといった効果も期待できることから、開示手数料を廃止すべきであるといったご意見はございませんでした。
    最後に、6頁をご覧ください。3月25日に開催されました第49回の審議会では、情報技術についてご意見をいただきました。ここではインターネットや電子化の技術を活用して文書をPDF化するなど、自由に情報にアクセスできる形にすることによって費用も抑えられるといったご意見や、将来的には公文書の電子化により情報提供できるようにすることが望ましいといったご意見もございました。が、一方で、行政の文書はかなりの部分が非開示の公文書が多い中で、どのように電子化していくのか想像がつかないといったご意見もございました。
    以上がこれまでの6回の審議をまとめたものでございます。
    それでは、次に資料4に移りまして、「情報公開法改正の概要」をご覧ください。情報公開法の改正につきましては、今までの審議会では議題としておりませんでしたが、先ほど会長も述べられましたように、本年の4月22日に情報公開法の改正案が閣議決定されて国会に提出されました。従いまして、その概要につきまして、本日の審議会でご説明するものでございます。
    この法律の改正案は、国の行政機関及び独立行政法人等に関する情報公開制度を充実させ、国民の知る権利を保障することにより、オープンガバメントを実現することを目的としまして提出されたものでございます。資料4に沿ってご説明いたします。
    法律案の内容でございますけれども、まず情報公開制度が国民の知る権利を保障する観点から定められたものであることを法の1条に明記してございます。その上で、制度面では、第1に、より多くの情報を開示するようにしております。そのために、不開示情報規定と部分開示規定、これを見直しまして、開示情報を拡大するとともに、情報提供制度の充実を図るとしております。第2に、より簡易に情報公開制度を利用できるように開示請求手数料を原則として廃止するとしております。第3に、より早く開示決定等をするとしまして、開示請求から開示決定等までの期限を30日から行政機関の休日を除き14日に短縮しております。また、期限内に開示決定等がされない場合には、開示請求者が不開示決定されたものとみなすことができることによりまして、直ちに不服申立てや情報公開訴訟を行うことを可能としております。第4に、開示請求された文書を不開示とする場合にはその理由を明確にするとしまして、不開示決定の通知にその根拠条項及び理由をできる限り具体的に記載するとしております。第5に、情報公開がより確実に行われるようにするために、不服申立てについて、情報公開・個人情報保護審査会へ諮問するまでの期間が90日を超えた場合にはその理由を内閣総理大臣に報告し、公表するようにしております。また、内閣総理大臣の勧告制度の導入など、内閣総理大臣の権限を強化するとともに、法律の所管を総務省から内閣府に移管するとしております。
    さらに、情報公開訴訟を抜本的に強化するといたしまして、訴訟を提起できる地方裁判所を現在の8カ所から全国の50カ所に拡大するとのことでございます。また、裁判所が行政機関の長等に対しまして不開示情報と不開示の理由をリストにして整理した書面の提出を求める手続、いわゆるヴォーン・インデックスといわれるものですけれども、こうした手続と、それから裁判所が当事者を立ち会わせずに対象文書について証拠調べを行う、いわゆるインカメラ審理手続を導入するとしております。このほかにも所要の規定の整備を行うこととしております。
    続きまして、資料5の「情報公開法改正案」をご覧ください。こちらは情報公開法の改正案の中の主な項目につきまして、これらに対応する東京都情報公開条例の関連規定等を示したものでございます。まず、今回の法律改正案には法の目的に知る権利を明記しておりますが、東京都の条例におきましては、前文に知る権利の文言を規定してございます。また、法律改正案には、開示義務の例外としまして、権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合に該当するときはこの限りでない、といった文言を追加して規定しておりますけれども、東京都の場合には条例の第4条で適正な請求及び使用という文言を規定しております。
    開示・不開示の範囲につきましては、東京都の条例におきましても非開示情報を限定して規定しておりますが、今回の法改正案におきましては、公務員の氏名の公表あるいは特定の不開示情報の規定、これを削除することとしておりまして、非開示の範囲をこれまでより限定しております。
    開示請求から実施までの手続に関する改正としましては、東京都の条例では開示決定期間は土日を含めまして14日以内としておりますけれども、国は行政機関の休日を除き14日としまして、請求に対する対応期間の短縮化を図っております。
    次に、開示請求手数料につきましては、開示請求手数料を原則として無料とするとしていますが、営利目的で請求する場合は政令で定める額、これを徴収することといたしました。また、手数料の予納制度を新たに設けることにしております。
    最後に、審査会の諮問に関する改正は、90日を超える場合はその理由を年報で公表するとしておりますが、東京都の条例にはそのような規定はございません。
    以上、情報公開法の改正案の主な内容と、それに対応する東京都の情報公開条例の関連条項の説明でございました。
    なお、この法律改正は公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとなっております。また、改正案の中に盛り込まれました手数料に関する政令につきましては、法案が通過した後で政令案の作成に着手するということでございますので、国の手数料に関する具体的な内容につきましては、現段階ではまだ明らかになってはおりません。
    以上、これまでの審議会における検討経過と、それから情報公開法改正についてご説明いたしました。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。いろいろ質問、意見などあろうかと思います。昨年来、今年に入ってからもそうですけれども、これまで審議してきたことを5月にまとめる、こういうふうに言ってまいりました。5月で結論を出せるかどうかということもありまして、今日こういう形でこれまでの審議の内容をまとめていただいております。本件につきましては知事から諮問があったわけではありませんで、審議会として最近のいろいろな状況を踏まえて審議をしてきたところであります。今日は整理していただいたものを基に、また国の情報公開法案との比較もしていただきましたので、そういうことも踏まえてご意見をお出しいただければと思います。大きくはこれまで議論してきたことでありますが、第1が営利目的請求の急増、第2が権利濫用的請求、第3が開示手数料、それから第4としてその他というのがあると思います。質問、意見を含めてどうぞご自由にご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  • 岡部委員
    今、会長から概ねまとめていただいたこれまでの審議経過、私どもの意見もそれなりに反映していただいているのかなと思っております。とりわけ私は経済団体に所属しておりますので、営利目的請求への対応には大いに関心がございますが、今まとめていただいた中で、営利目的に対する請求につきましても、法人あるいは個人事業者、それなりにこのような行政情報を有効活用しておりまして、経済活動に資する活動だということで、大変関心があるのではないかと思っています。いろいろ実際の課題は多いかと思いますが、原則論としてはぜひ営利目的、商用という目的に対する情報公開につきましても、原則論と同様に排除するということがないようにお願いできればと思っております。最後の確認でございます。
  • 堀部会長
    いかがでしょうか。今日いろいろご意見を出していただいて、それを基にまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  • 中村委員
    まず、ここに書かれておられるように三位一体の課題であったというふうに思います。営利目的請求が約6割という、非常に東京都は他の自治体よりも突出した数字が出ていまして、そして業務に支障を来す、その解決を早急に考えなければいけないという課題がやはり重要だったと思います。それから濫用的請求、これも一つの業務上の大きな問題。そして、それに関連して手数料をどうするか、というふうに流れてきたと思うのですが、やはり振り返ってみて、業務に支障を来すほどの問題というのをどのように解決したらいいのかという、その部分、私どもは現場に疎いですからなかなか解決の方向に答えはいっていなかったように思うのです。その、そもそもの問題が依然残る問題ではないかと思います。ただ、大きな方向としては、やはり営利、非営利という考え方をもう少し明確にすることによって、問題の方向は見えてくるのではないかというふうに思います。
    それから、第2の濫用的請求なんですけれども、例えば手数料を支払わずに新たに請求するとか、公文書の20年分の請求とか、こういう例というのは前から考えているのが4条の適用なんです。具体的に4条がその対応に適用されたことはないという話があったのですが、国などももう少し依拠できるような文言を加えているところのようですので、その問題についてはこの濫用への対応の根拠をつくることができるのではないかと思うんです。文言として明示することができるのではないかなというふうに思っています。
  • 堀部会長
    先ほど国の情報公開法改正案についても説明をいただきましたが、今、中村委員が言われた権利濫用のところについては改正法案では明示的に入れたところでもあるのですが、北原課長、そのあたりを説明していただけますか。第5条のところです。
  • 北原情報公開課長
    第5条に文言が加わりまして、本文ですけれども、読み上げさせていただきます。第5条で、行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に定める条項(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記載されている場合を除き、開示請求者に対し当該行政文書を開示しなければならないというのが本文でございまして、それにただし書を加えておりまして、「ただし、当該開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合に該当するときは、この限りでない」という書き方になっておりますので、原則として開示義務があるんですが、そういった権利濫用とか、公の秩序、善良の風俗に反すると認められる場合には義務はないという、そういう書き方になっております。
  • 堀部会長
    これは先ほど資料5で説明いただいたところで、東京都の場合にはそれに対応するのが、先ほども中村委員も言われた4条の適正な請求及び使用の責務、適正な使用の責務というところです。これがどの程度規範性を持つかというようなこともあるわけですが、訓示的な規定です。国の情報公開法ですと、3条で請求権を一方で認めて、5条で行政機関の開示義務という形になっていまして、その改正法案では、その開示義務は次に掲げる不開示情報に該当しない場合には開示しなければならないとあって、そのただし書で、「ただし、当該開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良な風俗に反すると認められる場合に該当するときは、この限りでない」という規定が追加されています。東京都では以前からそれとは違う規定になっています。しかし、実際にそれを適用した例はないということも今まで明らかになっているわけですが、そこをどうするかというところはあろうかと思います。
  • 中村委員
    私はここで国から出た改正案を初めて見て、具体的に適正、不適正の問題であるとか、そういうことが書かれている、文言として書かれているというふうに思ったわけです。4条ですと、まだちょっと漠然としていて、どういうケースにどう対応するかという、根拠としては非常に漠然とした言葉ですので、やっぱり使われていなかったのかなという気もいたしました。
  • 堀部会長
    そうすると、もう少し明確にすべきだというご意見ですか。
  • 中村委員
    そうです。
  • 堀部会長
    ほかにいかがでしょうか。
    業務に支障というところはどういうふうに表現していいのか、なかなか難しいのですけれども、情報公開事務というのが条例に基づいて実施機関すべてが事務を行うことになっているわけです。ところが、ほかの事務ですとそれぞれの担当で決まっていますので、そこで日常的に担当している事務があるのですが、情報公開事務というのは全部にわたっているところで、いつ特定の部署に請求があるかわからない、そうすると、情報公開事務をある意味では本来の事務、ふだん行っている事務に新たに情報公開事務がきますとそれに相当時間をとられることになります。そこでこういう時間がどれくらいかという数字も前に出していただいていますが、担当とするとそのときは大変だ、こういうことにもなるわけです。現実にはそういう状況がありますので、それにどう対応するのかということになります。これは高橋委員からも今まで言われたように、情報技術が発達してきていますので、できるだけそういうものを使って公開できるようにしていくと、そのあたりはまた随分軽減されるのではないかというふうに思います。前回そのあたりも議論をしたところです。全体としては、先ほど中村委員が三位一体と言われましたけれども、そういうところがありますから、そういうことも含めて全体としてどうしていくのかということで見ていく必要はあります。
  • 中村委員
    前回、情報技術についての課題のときに私は、つまりそれまでの三位一体問題としてきていたいろいろ急増する問題への対応と、新しい情報技術等がどういうふうに重ね合わせられるだろうかという、疑問を申し上げたのですけれども。従来はなかったいろいろな事務手続の急増が特定の部局にかかってくるというところが課題の大きな点だったとも思うので、前に秋元委員もおっしゃられたし、高橋先生もおっしゃられた工事設計書関係の問題が電子データとして処理できるものなのか、できないものなのか、まずは情報技術の展開とこの情報公開の今の課題というのをその辺で結びつければ、一つの方向は見えてくるんじゃないかと思うんです。わからないのは、工事設計書の中に非開示部分が少しあって、それを処理したりして、情報提供としてそういうものを載せることができれば労力として軽減されるのかどうか。そこら辺が大分違ってきはしないかなというふうに考えていますけれども。
  • 堀部会長
    情報技術の発達との関係で、PDFファイルにして情報提供するというのが今かなり行われています。今度の改正法案でも「第五章 情報提供」というのが一つ加わってきていまして、東京都は前からそのことは明示しています。そういうあたりも踏まえてということもある程度考えられるかと思います。外国で議論になっている点で言いますと、文書の真正性、つまり、元のものが改ざんされたりすると後で文書を証拠として使う場合にいろいろ問題になるので、PDFだと改ざんされないので適している、ただ、PDFファイルだと、今度それを利用しようとする人たち、それを更に加工して利用するときには非常に不便だという意見もあります。そこで、PDFファイルばかりではなくて、ほかのファイル形式でも提供すべきだという意見です。実際に今日本でも国の法律、改正法案について、省庁によってはPDFファイルとHTMLファイル、両方出しているところもあったりします。いろいろ引用したりするには、HTMLファイルのほうが便利でそれを使うこともあるのですが、それですと元の文書を変えることができます。何か問題があったときに証拠として使うときにPDFファイルの方がよいというような議論もあったりしまして、このあたりどうしていくのかというのはあろうかと思います。
    東京都で昭和58年に情報公開の懇談会で議論をしたときに、東京都は総務局の文書課あたりが中心になってこの問題を議論したときもありまして、東京都の公文書としての意味を持たせるために、公開する場合にも、今はどうしているのか知りませんけれども、意見とすると、これは東京都が作成した公文書であるというようなことをちゃんと明記して出すべきだというような意見もあったりしたこともあります。公文書として公開するわけですから、それが改ざんされ、変わってしまって、後でそれが問題になるというようなことはないようにしなければならないという議論は早い時期からありました。
  • 秋元委員
    開示手数料について、請求していくということについては私も特に異論はありませんが、一つだけ、公益減免のところは考えていただければというふうに思っております。
    そういうふうに手数料を何でも取っていくということに対する考え方なんですけれども、ここの審議会の中でも、情報公開は国民の権利とか、知る権利として当然あるべきことなのだから、手数料などは取らないで税金でやるべきではないかというふうなお話、意見もあったかと思うんですが、やはりだんだん受益者負担ということが大事なことではないかなと思うんです。我々都民の側の受益者負担ということに対する認識というのがもう少しきちんと徹底していくことというのが必要なのではないのかなと思うんです。行政サービスと、それから受益者負担の考えという、その辺のところをきちんと都民が納得していくような形で、我々自身も考えながら理解していくと、こういったものに対する手数料負担ということは当然自然と理解してもらえることになるのではないのかなと思いますので、その辺のところの受益者負担に対する考え方というのをもう少しきちんと明確にお示しいただきながら、この手数料のことというのは進めていただければありがたいと思っております。
    それから、権利の濫用については難しい問題があります。どれが権利の濫用になるのかどうなのかというのはいろいろな考え方のところで違ってくるものがありますので、国の改正のものを見ながら東京都はどうしていくのかというのを考えていく必要があるかと思っています。私個人としては、東京都の持っております4条についてどうなのかということについては、今のところ考えは特にはありませんし、改正の必要があるのか、ないのか、今のところはわかりません。
    それから、情報の技術の進歩については、これはこれから先どんどん進歩していきますし、その情報の進歩に応じてそれぞれの行政がやります事務量の軽減というのは図られていきますので、そこは鋭意努力して、最初は大変かもしれませんが、一つ構築されるとかなり削減されることになりますので、ぜひそこのところはやって、最初の初期費用はかかるかもしれないです。だけれども、先々かからなくなると思いますので、そこはやっていただけたらというふうに思います。
    そんなところです。
  • 堀部会長
    受益者負担というのは今までそういう形での議論はしてきていないのですけれども、別の言葉で表現していたかと思います。それは例えば営利目的等にも当てはめていくということになるわけですか。都民が個人として請求していくというような場合にも受益者負担という考え方でいくということになるわけですか。
  • 秋元委員
    その辺、私もイメージとして思っているんですけれども、個人においても受益者負担というのはかかってくるものというのはあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  • 堀部会長
    受益者というのがなかなか難しいところもあります。一方では、これも国でいってきていますけれども、民主主義のコストのようなものです。
  • 秋元委員
    利用者負担ということです。利用する方が負担をする。受益者というとちょっと語弊があるかもしれません。利用する方、申請する方とか、請求される方という意味です。
  • 岡部委員
    私ども組織でまとめてきたコメントがあるものですから、開示手数料というか、今、秋元委員がおっしゃったことにかかわるんですが、これは非常に大事な問題で、かつ微妙な問題で、この審議会の中でのコンセンサス、会長がご苦労されると思いますが、それが重要かなと思っています。すなわち行政が負うべき本来的業務とするのか、今おっしゃったような行政サービスの一環の中で行政情報公開法16条あるいは東京都情報公開条例第17条で認められておられるユーザーペイ、受益者負担ですね。受益者負担の原則にのっとって必要な手続上の賦課を認めるのか。こういう非常にコンセンサスが必要かなと思っております。それで、あるいは前提といたしまして、間接的な話ですが、やはり公開にかかわる業務のあり方です。行政の中でも、組織の中でのあり方という、大きな業務フローの部分、合理化をすべき部分というのも当然これは受益者負担を求めていく場合には必要であろう。過大なコスト負担を求めないように、業務の合理化という部分も必要ではないかと思っております。ただ、私どもといたしましては現実的に考えれば、過渡的な措置とはいえ、ある程度のユーザーペイ、受益者負担、これを求めていくのはやむを得ない現実的な対応かなと考えているところであります。ただ、皆さんのコンセンサスが大事かなと。同様に公益減免の問題を今おっしゃいましたけれども、こういう部分も大事かなと思っております。
    以上でございます。
  • 高橋会長代理
    開示手数料は私もある程度、今まで程度ぐらいは取ったほうが、請求する方が本当に自分に必要なのかどうかというのを考えていただけるきっかけになるんじゃないかなというふうに思っていて、維持したほうがいいという発言をした記憶がありますけれども、国が手数料を廃止するという方向で考えているわけです。ですから、国のほうでどうなるのか、ちょっと待ったほうがいいのかもしれないという感じがしてきております。開示手数料については、どういう根拠づけをするのかというのが一つ問題になるんだろうと思うんです。確かに民主政治にとっての必要な情報だというふうに言われると、それに手数料というのはおかしいんじゃないかという議論になると思うんです。それに対して、営利目的のところに焦点を合わせて今まで議論してきたから、割合、受益者に多少負担してもらってもいいんじゃないかというような方向がかなり強く出てきていたように思うんですけれども、その点、国がもし廃止するならば、なぜ都だけが残しているのかということになると思いますから、国との違いがきちんと説明できるというところにもっていかないといけない。それができれば続けてもいいし、どうも国が廃止した理由と比べると、都としても違うんだということは説明しにくいなということであれば、やっぱり国と合わせるほうがいいということになるかもしれないですね。少し国側がどういう理由で廃止しようとしていて、それは都とどういう点が違うのかということを詰めたほうがいいかなというふうに感じております。それが一点です。
    それから、ついでですから他の問題についてもコメントをさせていただきたいんですけれども、最初岡部委員が言われたように、ここでの基本的なスタンスは営利目的だからこれは悪いことだということではなくて、ネガティブにとらえなくて、一応情報というのはすべて公開、請求できるんだということです。ただ、その場合に、営利的なものについては受益者負担という観点を入れてもいいんじゃないかということになるかどうか、そこら辺が焦点になるかなというふうに感じております。その場合にどうするかというので、資料3のところで、どういう案があり得るかということを書いていただいたんです。前にも発言したことだと思うんですけれども、私自身は目的を聞いて、営利目的ですかどうですかというふうに真っ正面から聞くというのは避けたほうがいいのではないかと感じております。ですから、類型的に、営利的に使われているんじゃないかなと思われるような文書の性格から一つは違いを考えていく。もう一つは、それと矛盾しないか組み合わせて、一定以上になる場合には料金を変えてもいいんじゃないか。目的そのものでやるよりは、それと関連するけれども、直接的には関連させない説明ができるような方法でやったほうがいいんじゃないか。と同時に、そうすると本当に都の政策について興味があって見たいんだというような場合が当然ありますから、そういう場合は減免で、この場合だけは、ですから、減免してください、その理由は何かということを聞かざるを得なくなるんだろうと思うんです。ただ、理屈としては、減免していただくという利益をお願いしているんだから、それだったらその説明をしてくださいというふうに言って、その説明の中でどういう目的で使いたいんだということを言ってもらうということも許されていいかなというような感じを持っています。そんな方向で考えられるのかどうなのかということです。
    それから、濫用のところは、これは現行法でも適用しようとすればできる条文があるんだけれども、やはりこれはなかなか使いにくいということでありましたので、何か表現を改める形で入れたほうがいいのではないか。この点、秋元委員がずっと言われていることで、私もその点は賛成です。
    それから、濫用の中身で、手数料を支払わずにというようなのは、これは手数料を払ってもらうまでは次の請求は受け付けないというようなルールをつくるのはそんなに難しいことではないんじゃないかという気がするんですけれども、条例改正までやらなければいけないかなという感じを持つんですけれども。そんなので対応し、しかし、それ以外の、ここで挙げられているような明らかに業務妨害を目的としているんじゃないかというようなことは権利濫用か何か、そういう条文で対応する必要が出てくるだろうと思います。したがって、条文を入れたほうがいいだろうというふうに思っています。
    とりあえず以上です。
  • 中村委員
    今、高橋先生が国は手数料を廃止するとおっしゃられた。原則として廃止、その原則としてというのが、どうなんでしょうか。改正案で改正手数料は営利目的云々で政令で定める額を徴収、それは国はあるわけですね。
  • 北原情報公開課長
    原則廃止というふうにいっています。開示請求手数料のほうを原則廃止ということですから、この改正案を見てみますと、国は今まで16条によりまして、情報公開法の16条です。開示請求する者又は行政文書の開示を受ける者というふうに、開示請求者、それから開示を受ける者という、2つに分けた手数料を取っていまして、開示請求手数料と、それから開示実施手数料という、大きく分けて2つの手数料を取っていました。今回の改正案では、条文は同じ16条ですけれども、手数料について書いてありまして、第1項で、開示請求手数料について規定があります。その中には、次に掲げる者が開示請求をするときは政令で定めるところにより実費の範囲内において政令で定める額の開示請求に係る手数料、これを開示請求手数料というんですが、これを取るようにしています。どんなものが次に掲げる者かといいますと、会社等です。会社等と書いてありますけれども、会社等又はその代理人、あるいは個人事業者又はその代理人、それから3番目に会社等の従業員、役員、個人事業主の従業員というふうに、請求主体によって開示請求手数料を取るということです。ただ、その具体的な内容は政令に委ねていますので、まだどんな内容になるかわからない。
  • 中村委員
    請求主体でやはり取るということですね。
  • 北原情報公開課長
    そうです。あと開示実施手数料については前と変わりませんけれども、これにつきましても具体的な内容につきましては政令に委ねておりますので、まだその具体的内容は明らかになっておりませんので何とも言えませんが、こういう状況です。
  • 堀部会長
    今日の資料5の情報公開法の改正案のところで開示手数料について改正案をまとめていただいていますが、条文上は今北原課長が言ったようにかなり細かく規定しています。ただ政令で定めるところがあるので、具体的にどうするのか、政令を見ないとわからないところもあります。
  • 中村委員
    いずれにしても請求主体というものを問題にしているわけですね。
  • 堀部会長
    請求主体です。
    これは岡部委員に伺いたいのですけれども、経済団体とすると、今後の方向とある意味ではかかわるのですが、特に今の開示手数料のところは具体的に何か議論をしているのでしょうか。
  • 岡部委員
    この場に臨むに当たりまして内部で議論しただけでございまして、正式に議論しているところではありません。ただ、国の大きな方針がこういうことであれば、現実的な、東京都でもそれらが可能でございますから、可能と受けとめますので、現実的な対応かなとは思いますが、ただ、いずれにいたしましても基本論を考えますと、行政の本来業務であるべきだという意見もありますので、相当な業務コストの合理化といいますか、そういう努力も前提にされるべきではないかということをさっき申し上げました、問題提起です。
  • 堀部会長
    こういう法案が出てくる、あるいは法案がこういうことになるのではないかということになると、経済団体からもよく意見が出てきます。今回のは聞いてないので何とも言えないのですけれども、そのあたりどういうご意見なのかと思いまして伺いました。そのあたりは、まとめるのはなかなか難しいところなのですけれども、国でも随分議論があるというのは、透明化検討チームにかかわっていた人といろいろ話をしていると、相当このあたりも議論があったようでして、そこでまとめたものがそのまま法案になっているとも思えないところもあります。そのあたりどういう議論があってこういう改正法案になったのか、そこは少し聞いてみないとわからないところもあります。
  • 秋元委員
    今、国の改正のところの開示手数料、ここの資料4のところの国民の知る権利保障、オープンガバメントの実現でより簡易にというところで、数量の見直しのところに、開示請求手数料を原則として廃止等という、「等」が書いてあるんですけれども、中村委員がおっしゃったように、これだけ見ると開示手数料は全くかからなくなるのが原則かなという印象を受けるんです。だけれども、先ほどのご説明だと、こちらの情報公開法の改正案、資料5のところの開示請求から実施までの手続に関する改正のところの開示手数料には原則禁止という言葉はなくて、政令でそれなりに徴収してもいいという言い方ですね。その辺ですごく混乱しているんですけれども。
  • 堀部会長
    透明化検討チームにかかわった人ともいろいろ議論をしたことはありますが、このあたりをどうするか、7月に報告書案として今日の議論や今までのものを踏まえて文章化してみて、当審議会としてどういうふうにそこをまとめるかということは議論してみたいと思います。ここのところはひとつのポイントになりますが、ほかの点についていかがでしょうか。
  • 相馬委員
    今回の情報公開制度の運用に係る諸問題、1年ぐらい論議をしているわけですけれども、審議会で本題に入る前に、それぞれ各委員のところに事前にレクチャーに入ったときに一番強調されていたというふうに私が受けとめたのは、大量請求による東京都の事務の処理に係る負担のところというのがすごく印象深かったと思っていたんです。この間いろいろ論議をしてきて、特に前回の審議会のとき私は欠席をさせていただきましたけれども、その点を情報処理技術の発達なり、先ほど堀部先生が言われたPDFだとか、ファイルに置きかえることによって多少とも軽減ができ、コストもかからなくすることができるんじゃないかというお話がありましたけれども、私もそれはすごく賛成です。確かに初期投資はかかるかもしれませんけれども、トータル的に見ていけば職員の時間外もそうですし、稼動のところ、それから資料の保管のところについてもそれが望ましいのではないかというふうに思うので、そういったところを少し明確化をしたほうがよろしいのではないかというところで、思っています。
  • 堀部会長
    その情報技術の発達との関係で、今後どうしていくのかというのは、この情報公開に限らず東京都として文書の作成等を含めて何か方向は出てきているのでしょうか。前回も伺って、高橋前部長が答えておられましたが、一時は丸の内の時代にできるだけ紙の文書はやめて、当時デジタルと言ったか覚えていませんけれども、ここに引っ越してきたのが91年だったですか、丸の内の時代に、コンピューターだけ置いて紙の書類は一切置かない、いろいろな事務を全部コンピューター上でやるという、一種の実験をしていました。こういうことも東京都では行っているというのを見せていただいたことがあります。その後全体としてどういう方向になっているのか。その辺のことがわかると、特に情報技術の発展との関係でどうしていくのかというところをまとめるのにも参考になるかと思うのですが、いかがでしょうか。
  • 北原情報公開課長
    今、会長のお話の件、情報技術の関係なんですけれども、特に東京都でこういうふうにしようというのはまだできていない状況だと考えております。公文書管理法ができましたので、それとの関連もありますので、管理の一環としてどういうふうにしていくかという、その方向等もありますので、まだその辺ははっきりしていないというのが現状です。
    つけ加えさせていただきますと、情報技術によりまして、例えば先ほども意見が出ているように、文書のPDF化という問題もあります。PDFだけではなく、いろいろな媒体があるみたいですので、文書を電子化して、それに対して今までのように情報公開請求によるのではなくて、情報提供していくという、そういう方向性というのはある程度私たちも理解はしておりますが、ただ、問題になるのは費用対効果の点だと思います。全部開示になるものでしたらPDF化等すればそのまま提供できるというふうになるかと思いますけれども、中に非開示情報が入っていますとそれを消す作業というのが入ってくるわけでありまして、そこのところが費用対効果、費用をかけて消すもの、その作業というか、その辺で費用対効果でどうかという問題もあります。営利目的請求が多いということで、各局に聞いてどういう方向で進んでいったらいいだろうか、事務の手続簡略化ということは各所管でも認識はありますけれども、今後どうするかというのは、これからの問題です。情報提供していくものは情報提供していくという、そういった方向性を探ってみようかと今考えています。
  • 中村委員
    今、おっしゃられたことのついでで細かいことを伺いますけれども、大量な工事設計書関係、今1枚1枚皆プリントしていらっしゃるわけですね。消す部分がある。現に今もあるわけですね、大量請求のものに、全くないというものはないわけですね。
  • 北原情報公開課長
    そうですね。ただ、工事設計書はほとんどの部分が全部開示ですが、その中に個人の名前が入っていたり、積算の内訳があったりする場合がございます。
  • 中村委員
    名前、印鑑、印影。
  • 北原情報公開課長
    印影は余りないと思います。ですから、本当に非開示にする部分は少し、ごくわずかの部分でございます。
  • 中村委員
    それもやはり電磁的に処理する場合に一つ一つやらなければいけない問題ですね。
  • 北原情報公開課長
    はい、そうです。ただそこまではいっていませんので、今は紙媒体で一応開示するというのが原則になっておりますので、紙で出して、そこを黒く塗ってというふうな対応をしております。
  • 堀部会長
    その点で、前から言っているのですが、国立公文書館の中にアジア歴史資料センターというのがありまして、そこはアジアとの関係でいろいろ議論があったときにそういうセンターを設けて日本が持っている文書を公開していくということになり、外務省外交資料館、防衛省の防衛研究所図書館、国立公文書館の手書きの文書も含めて公開することになりました。その中には、特に個人情報などですと非公開にしないと個人の権利利益が侵害されるようなものもあります。既に歴史文書ですので死者のものだというようにも思うのですが、その関係者もいるというようなことで、個人情報に係るところは黒塗りにしたものをそのままインターネット上で、世界どこからでもアクセスできる、利用できるというシステムを作っています。そのあたりも何か参考にできるところもあるのではないかと思います。私はその諮問委員会の委員を務めていまして、そちらではよく議論しています。ここでは、そういうことがあるということを申し上げているにとどまっていますが、具体的にどうするかということについて考える必要があります。そのあたりも参考にしながら、一方では情報提供、部分提供にならざるを得ないようなものもあるかと思いますし、他方で従来の開示手続によるものもあります。都でも何回か開示したものについては都民情報ルームで開示もしているわけですので、そういうあたりも含めてどうするのかということになろうかと思います。
    先ほども触れましたけれども、30年以上前に東京都でも総務局とか、当時の都民生活局などでも情報公開をどうするのか随分議論をしてきました。そういう中で、その後条例も制定し、今日に至っていまして、そういう今までの経緯もあります。そういうことも踏まえながら、東京都にふさわしい情報公開制度というものを構築していくのがよろしいかと思います。現行の条例の運用でどこまでできるのか。できるところはそれでもいいかと思うのですけれども、どうしても変えなければならないところがあればそういう点もいろいろご意見を出していただいてまとめていきたいというふうに思います。
    ということですので、また個別にご意見を伺うことがあるかもしれませんけれども、その節はよろしくお願いしたいと思います。
    今日は今までの総括と、それについていろいろご意見をお出しいただきました。次回は7月27日の水曜日の午前ということでご予定いただいているかと思います。よろしくお願いいたします。
    今日予定した審議事項は以上ですが、ここで何かご発言があればお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
    特になければ、以上で本日の会議は終わらせていただきます。

11時50分閉会

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