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平成29年(2017年)2月6日更新

情報公開・個人情報保護審議会(第65回議事録)

第65回東京都情報公開・個人情報保護審議会

平成27年9月7日(月曜)15時25分~17時15分
東京都庁第一本庁舎42階北塔 特別会議室B

午後3時25分 開会

  • 宇賀会長
    それでは、定刻より少し前ですが、皆様お揃いのようですので、ただいまから第65回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開会いたします。
    本日は、現時点で4名の委員の方々にご出席していただいておりますので、審議会規則第4条の規定により本会議は有効に成立しております。
    また、本日は臨時委員の神橋委員にもご出席いただいております。
    なお、藤原委員からは15分程度遅れる旨のご連絡をいただいております。
    本日は生活文化局長の多羅尾局長にご出席いただいております。ここで多羅尾局長にご挨拶をいただきます。
  • 多羅尾生活文化局長
    7月16日の人事異動で生活文化局長を拝命いたしました多羅尾でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。審議会の開会にあたり一言ご挨拶を申し上げさせていただきます。
    宇賀会長はじめ委員の皆様方には、ご多用中にもかかわらず本日の審議会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。また、日ごろより都の情報公開・個人情報保護制度に格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
    さて、9月に入り国民一人ひとりにマイナンバーが通知されるまで1か月余りとなりました。昨年度はこのマイナンバー制度への対応に伴う条例整備のあり方について、委員の皆様方には熱心にご議論をいただき、本年3月に答申としてお示しいただいたところでございます。改めて厚く御礼を申し上げます。いただきました答申を踏まえまして、現在、マイナンバーを含む個人情報の取扱いについて新たな条例整備の準備を進めているところでございます。
    また、半世紀ぶりとも言える行政不服審査法の大幅改正に対応すべく、情報公開条例及び個人情報保護条例をともに改正する予定でございます。行政不服審査法改正への対応につきましては、本日の審議会におきまして条例改正の内容についてご議論をいただき、知事への意見具申という形で取りまとめていただきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
    都といたしましては、このような社会状況の変化に迅速に対応するため、今後とも審議会の皆様のご意見を頂戴しながら、情報公開・個人情報保護制度を適切かつ着実に運用していきたいと考えております。引き続き都の情報公開・個人情報保護制度へのご理解とご協力を賜りますことをお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
    どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    多羅尾局長は公務の都合により退席されます。
  • 多羅尾生活文化局長
    申し訳ございません。
    (多羅尾生活文化局長、退席)
  • 宇賀会長
    続きまして、事務局から人事異動に関する報告があるとのことですので、よろしくお願いします。
  • 濵田都政情報担当部長
    都政情報担当部長の濵田でございます。
    まず、本日は大変お忙しい中、本審議会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
    また、委員の皆様には、日ごろより東京都の情報公開・個人情報保護につきまして、専門的なお立場からご審議いただき有益な助言を賜っておりますことを、厚く御礼申し上げます。
    この度、事務局職員に人事異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
    生活文化局広報広聴部長の樋渡でございます。
  • 樋渡広報広聴部長
    よろしくお願いいたします。
  • 濵田都政情報担当部長
    都政情報担当部長の、私、濵田でございます。
    情報公開課長の望月でございます。
  • 望月情報公開課長
    望月です。よろしくお願いいたします。
  • 濵田都政情報担当部長
    情報公開担当課長の荒井でございます。
  • 荒井情報公開担当課長
    荒井でございます。よろしくお願いします。
  • 濵田都政情報担当部長
    以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 宇賀会長
    それでは、ただいまから議事に入りますが、審議事項につきましては、藤原委員がお見えになられてからのほうがよいかと思いますので、議事次第を変更いたしまして、報告事項から始めることといたします。
    本日は5点の報告がございます。
    まず、特定個人情報保護評価部会からの報告について、事務局から報告をお願いします。
  • 富山課長代理
    報告させていただきます。資料の4をご覧になりながらお聞きいただければと思います。
    前回の審議会から本日までの間に、特定個人情報保護評価部会でご点検をいただきました「地方税の賦課事務(個人事業税)に係る特定個人情報保護評価書(案)」に係る答申についてご報告させていただきます。
    1枚おめくりいただきまして、1ページ目をご覧ください。審議内容といたしましては、先ほど申し上げました「地方税の賦課事務(個人事業税)に係る特定個人情報保護評価書(案)」に対する点検、審議を行ったということで、審議結果のところの下から3行目の「リスクを軽減するための適切な措置を概ね講じていると認められる」ということで、点検結果を頂戴いたしております。「概ね」としておりますのは、「次の事項に意見するものである」とありますように、幾つか改善等を意見として述べている箇所がございます。
    まず、1の委託の取扱いについての(3)でございます。委託が生じている事務でございますが、こちらで様々な特定個人情報ファイルの提供等が発生することが事務上確認できると。その中では、配送方法についての適切な管理監督をするために契約書上に配送方法についての報告を求めるような記載を追記すべきであるということを、点検結果として頂戴しているところでございます。
    もう1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。今回の個人事業税につきましては、税務総合支援システムという単独の事務システムだけではなくて、電子申告、eLTAXという電子的に申告をできる世界ともつながっている事務でございました。全てLGWANという総合行政ネットワークという、地方同士が結ばれているネットワークで接続していたのですけれども、そのネットワークを介して様々なデータをやりとりするというところから、一つひとつどういった形で接続なされているか、データの取扱いはどうかということをご確認いただきました。
    2番のデータの外部出力についての(3)のところで、特定個人情報のファイルがウイルスの感染をしてしまうようなおそれがある端末上で取り扱う可能性があると。ただし、それに対する措置は適正にとられていたところではあるのですが、“イタチごっこ”と言われるように、今後も社会情勢等の変化に応じた保護措置を継続的に検証しなさいというご意見を頂戴しているところでございます。
    最後に、もう一枚おめくりいただきまして、3ページでございます。所得税と大変関係の深い税でありますのがこの個人事業税でございまして、様々な税務署との書類のやりとりがかなり発生している業務であることを確認いたしました。これらの書類を配送・配達することが大変多い状況でございましたので、それらの配送方法についても、先ほどの委託と同様に規定するべきであるということの徹底が望ましいというご意見を頂戴しているものでございます。主税局のほうでは早速それらに対応していると聞いております。
    第3の審議経過のところでございます。27年4月24日に諮問がありまして、5月にこの評価書に係る一回目の審議をいただきまして、二回目として、5月の第6回のところで答申等をご検討いただきまして、27年6月24日に答申を頂戴しております。
    なお、その後、27年7月10日に国の特定個人情報保護委員会に提出しまして、評価書を公表している次第でございます。これをもってこちらの事務に関しては評価が完了しているという状況でございます。
    これに併せまして、今回は全項目評価書についてご報告させていただいておりますが、同日7月10日には、主税局で、狩猟税についても基礎項目評価書の提出・公表を同日で行っております。内容につきましては、情報公開課で審査マニュアル等に基づいて審査した上で、提出に至っているところでございます。
    ご報告は以上でございます。
  • 宇賀会長
    ただいまの報告につきまして、何か質問等がございましたら、お願いいたします。
    よろしいでしょうか。
    それでは、次に、東京都の情報公開制度及び個人情報保護制度の運用状況について、事務局から報告をお願いいたします。
  • 望月情報公開課長
    それでは、資料5及び資料6につきまして、ご説明をさせていただきます。
    情報公開制度及び個人情報保護制度につきましては、それぞれの条例の中で「知事は、毎年一回、実施状況をまとめて、公表しなければならない」と規定されているところでございます。この規定に基づきまして、7月13日にそれぞれプレス発表をいたしまして、公表を行ったところでございます。
    まず、資料5、情報公開制度の運用状況について、ご説明をさせていただきます。
    1枚目の枠囲みのポイントのところにございますとおり、平成26年度の開示決定等の件数は1万527件、前年度と概ね同水準でございました。下の開示決定等の件数の推移をご覧いただきますと、21年度から22年度にかけまして大きく伸びました後、それ以降は1万件以上ということで高止まりの状況になってございます。ただ、25年度、26年度は、若干減少傾向が見られるところでございます。
    この減少傾向は、この審議会でもご報告をさせていただいたところでございますけれども、ポイントの3点目に書いてございますとおり、平成25年11月から建設局分の工事設計書につきまして情報提供を実施しておりまして、平成26年度の情報提供の件数が4,971件に上ったところでございます。その結果、建設局分の工事設計書にかかわる開示決定等の件数は、25年度に比べてほぼ半減したところでございます。こういったことが、25年度、26年度におけます開示決定等の件数の減少傾向に結びついているものだと考えてございます。
    なお、27年度からは新たに水道局、下水道局でも工事設計書の情報提供を開始しているところでございます。
    本文の3ページをお開きいただきたいと存じます。
    実施機関及び局別の開示請求処理状況ということで、開示決定等の件数が一番多いのは、都市整備局が1,616件で第1位となってございまして、建築計画の概要書等を取り扱っている局でございます。第2位は、水道局の1,543件ということで、こちらのほうは工事設計書などを取り扱っていることから件数が多くなってございます。第3位は、福祉保健局の1,253件ということで、食品営業許可台帳等を取り扱っている局でございます。
    なお、昨年まで1位でありました建設局は、1,218件ということで第4位となってございまして、先ほどご説明しましたとおり、工事設計書の情報提供を開始したことが件数の減少に結びついているものと考えてございます。昨年度に比べて748件の減少となっております。
    続きまして、4ページをお開きください。開示決定等の内容別の状況でございます。第1位、工事設計書、第2位、建築計画概要書、第3位、食品営業許可台帳ということで、上位ベスト3はここ6年連続で変わらない順位となってございますけれども、工事設計書につきましては、先ほどご説明したような情報提供の開始によりまして、昨年度の5,659件から5,018件ということで641件減少しているところでございます。これに伴いまして、決定件数全体に占める割合も5割を切る状況になってございます。
    続きまして、5ページをご覧ください。開示請求者の区分別の状況でございます。一番多い区分は上から2段目の法人関係ということで、6,821件、全体の64.8%を占める状況でございます。これも先ほどの工事設計書等が多いということとリンクをしておりまして、いわゆる営利目的での開示請求が多いということになってございます。
    続きまして、6ページをお開きください。東京都情報公開審査会の運営状況でございます。26年度は31回の審査会を開催いたしまして、48件の答申を出させていただいたところでございます。
    具体的な件名につきましては7ページ以降をご覧ください。
    続きまして、17ページをお開きください。本審議会の運営状況でございます。26年度は7回開催させていただきまして、特に番号制度への対応について熱心にご審議をいただいたところでございます。平成26年10月10日に開催いたしました第58回の審議会では、番号制度の導入に伴う都の特定個人情報保護のあり方について諮問をさせていただきまして、18ページにございます本年3月20日に開催しました第63回の審議会におきまして、答申をいただいたところでございます。先ほどの局長のご挨拶にもございましたとおり、現在、この答申を踏まえまして、条例制定の準備を進めているところでございます。
    19ページをお開きください。最後に、情報の公表・提供の状況でございます。26年度に実施しました公表・提供の総件数は、8,459件ということで、25年度の8,839件より若干減少しておりますけれども、ほぼ同水準の状況となってございます。
    情報公開制度の運用状況につきましては、以上でございます。
    続きまして、資料6をご覧ください。個人情報保護制度の運用状況についてでございます。
    枠囲いのポイントのところにございますとおり、26年度の開示・訂正・利用停止等の決定件数は1,898件で、前年度と概ね同水準となってございます。下の決定件数の推移をご覧いただきますと、22年度から23年度にかけて、1,318件から1,732件と大幅な増加をした後、24年度以降は約2,000件ということで、こちらのほうも高止まりの状況が続いております。
    近年増えておりますのは、特定の人が繰り返し請求するというようなことが起きているためでございまして、特定の人が繰り返し請求を行っている件に関しましては、個人情報保護審査会におきまして、昨年6月、9月及び本年3月に、こういった開示請求が権利の濫用であるとする答申を出させていただいたところでございます。その後、特定の人による繰り返しの請求はほぼ収束をしている状況でございまして、こういったことも、26年度の減少に寄与しているものと考えております。
    本文の1ページをお開きください。
    保有個人情報取扱事務の届出についてでございます。保有個人情報を取り扱う事務を開始、変更あるいは廃止しようとするときは、届出をすることになっておりまして、その届出の件数を表1に記載してございます。26年度は新たに開始をするものが176件、変更をするものが45件、廃止をするものが105件ということで、26年度末におけます届出事務の総数は3,839件となってございます。
    続きまして、6ページをお開きください。開示請求に対する実施機関及び局別の処理状況についてでございます。一番件数が多かったのが、警視庁関係の847件ということで、全体の45%近くを占めている状況でございます。第2位は、病院経営本部の350件、第3位は福祉保健局の342件ということで、この上位の3局で全体の約8割を占める状況になっておりまして、こういった状況は25年度と同様でございます。
    続きまして、7ページをお開きください。内容別の決定状況でございます。第1位は生活安全相談関係ということで、昨年の2位から1位に順位が上がっております。これは離婚やDV保護命令に関する申立ての資料として使うための請求ということで、非常に多くなっているところでございます。第2位は診療情報関係、カルテの関係でございまして、第3位は110番処理関係ということになってございます。
    続きまして、8ページをお開きください。個人情報保護審査会の運営状況でございます。昨年度は31回の審査会を開催いたしまして、23件の答申を出させていただいたところでございます。この23件の中には、先ほどご紹介いたしました権利濫用の一括答申というものが4件含まれております。具体的な内容は9ページ以降をご覧ください。
    最後に、18ページをお開きください。個人情報保護に関する相談の受付状況でございます。平成26年度の相談の総件数は480件となっておりまして、表16にございますとおり、都民・消費者からの相談が大半を占める状況となってございます。
    情報公開・個人情報保護制度の運用状況についてのご報告は以上でございます。
  • 宇賀会長
    ただいまの報告につきまして、何かご質問等がございましたら、お願いいたします。
    特によろしいでしょうか。
    それでは、次に存否応答拒否につきまして、事務局から報告をお願いいたします。
  • 左右田課長代理
    それでは、ご報告いたします。資料は資料7の存否応答拒否一覧表となりますので、お開きいただきまして、ご覧いただければと思います。
    前回の審議会以降に当審議会に報告がございました件数としましては全部で3件、いずれも情報公開となっております。1番から順番に説明をさせていただきたいと思います。
    まず、1番でございます。請求内容ですが、東京都職業能力開発協会が実施する検定職種を塗装とする1級技能検定の合格者を示す名簿、又は1級塗装技能士の名簿のうち東京都内で塗装業者「○○塗装」を営む○○氏(以下、特定の生年月日と住所が記載されております)が上記検定職種に合格したことを示す部分といった内容でございます。産業労働局の案件でございます。
    本件は、塗装業を営みます特定個人が1級塗装技能士の資格を有しているかどうかという文書を求める開示請求となってございます。法令上、1級塗装技能士の資格というのは、塗装業を営む上での必須の要件にはなっていないということでございます。ですので、請求に係る公文書の存否を明らかにしますと、特定の個人がこの1級塗装技能士の資格を有するか否かという個人情報を公にすることとなりますので、条例7条2号が規定します非開示情報を開示することとなるとして、存否応答拒否としたものでございます。
    続きまして、2番と3番ですが、いずれも教育委員会の案件でございまして、内容が似通ったものですので、併せて説明させていただきたいと思います。
    まず、請求内容でございます。2番です。○○区立○○中学校長・○○の行いに対しての都民から都教委への書状全て。対象は、平成25年度、平成26年度及び平成27年4月末までとする。
    3番でございます。都立○○高校定時制教員○○(個人)、○○(個人)に対するクレーム・要望について、東京都教育庁指導企画課が受信した文書及び東京都教育庁指導企画課が都立○○高校に送付した文書(対象期間、以下のもの)となってございます。
    本件は、いずれも特定の中学校とか高校におけます特定の教員に関しまして、東京都教育委員会あてに提出された文書を求める開示請求となっております。いずれも個人の氏名を名指ししたものでございまして、教育委員会に文書を提出する原因となった特定の教員に係るある行為が存在したということを前提するものでございます。
    この請求に係ります公文書の存否を明らかにすることとなりますと、特定の教員に対しましてクレームや要望等があった、あるいは、なかったという、特定の教員個人に関する情報を公にすることとなりますので、条例7条2号が規定します非開示情報を開示することして、存否応答拒否としております。
    なお、3番目につきましては、苦情や要望というのは公にされることを想定していないということでございまして、これを公にしますと、苦情や要望の申出者が忌憚のない意見を寄せることに躊躇して、相談等に係る事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれもあるということでございますので、条例7条6号が規定する非開示情報を開示することとして、併せて存否応答拒否としてございます。
    以上3件の存否応答拒否の報告でございました。よろしくお願いいたします。
  • 宇賀会長
    ただいまの報告につきまして、ご質問等がございましたら、お願いします。
    特によろしいでしょうか。
    それでは、次に保有個人情報取扱事務届出事項一覧につきまして、事務局から報告をお願いいたします。
  • 日置統括課長代理
    それでは、ご報告いたします。資料8、保有個人情報取扱事務届出事項一覧をご覧ください。
    個人情報保護条例第5条に基づきまして、東京都における保有個人情報の取扱事務の届出でございます。1に記載されてございますとおり、4月から7月までに届出があったものは11件でございました。
    1枚おめくりいただきまして、2枚目以降、別紙の表に内訳が記載されてございます。これらの届出の事項に関しましては、当審議会の委員の皆様の意見が付されたものはございませんでした。
    ご報告は以上でございます。
  • 宇賀会長
    ただいまの報告につきまして、ご質問等がありましたら、お願いいたします。
    よろしいでしょうか。
    それでは、本日の報告事項は以上となります。
    次に、審議事項に入りたいと思います。
    まず、東京都情報公開条例及び東京都個人情報の保護に関する条例の一部改正について、事務局から説明をお願いいたします。
  • 望月情報公開課長
    それでは、ご説明をさせていただきます。
    今回の両条例の一部改正について、意見具申ということでお取りまとめいただくわけですけれども、個々の改正内容についてご説明をさせていただく前に全体像についてご説明をさせていただきたいと思います。
    資料2のうち「番号法の制定と行政不服審査法の全部改正に伴う都の規定への影響と対応」をまずご覧ください。
    中ほどに、国における法整備ということで番号法の制定と行政不服審査法の改正ということで記載をしてございますが、まず、番号法の制定につきましては、都の個人情報保護条例の全体への影響が非常に大きいということで、本年3月の本審議会の答申におきまして、新条例を制定すべきとの答申をいただいたところでございますので、今回はこの答申の内容以外につきまして、情報公開条例・個人情報保護条例に影響のある部分について意見を取りまとめていただくということでございます。
    情報公開条例、個人情報保護条例に、それぞれ番号法のところから矢印が伸びておりますけれども、それぞれの条例におきます非開示情報の規定を改正する必要がございます。それにつきまして本日ご検討をいただく予定でございます。
    また、行政不服審査法の改正につきましては、情報公開条例は不服申立てのところ、それから、個人情報保護条例は救済の手続にそれぞれ矢印が伸びておりますけれども、そういった部分に影響があるということで、行政不服審査法の改正に伴う両条例の改正についても、本日ご検討、ご審議をいただく予定でございます。
    そのほか、番号法、行政不服審査法の改正以外に、その他の条例の見直しの必要性ということで、本日ご検討をいただく予定でございます。
    全体像につきましては以上です。
    今回は行政不服審査法の改正に係る部分がメインとなっておりますので、行政不服審査法の改正について、簡単にその概要をご説明させていただきたいと思います。「行政不服審査法の改正について(概要)」をご覧ください。
    昭和37年の制定以来約半世紀ぶりに行政不服審査法が改正されまして、来年の4月に施行の予定ということでございますので、それに間に合うような形で条例の改正を行うものでございます。
    主な改正点といたしましては、(1)にございますとおり、異議申立てを廃止し、審査請求に一元化するということ。今までは異議申立てと審査請求の2本立てということでございましたけれども、これが審査請求に一元化されることに伴いまして、今までは異議申立て、審査請求を「不服申立て」ということで総称しておりましたけれども、それを「審査請求」に改める等の文言整理の必要が生じているところでございます。
    それから、(2)、審理体制の充実・強化ということで、「審理員」というものが新設されるとともに、第三者機関としての「行政不服審査会」というものが新たに設置されたところでございます。改正後の審査請求の手続にございますとおり、まず、審査請求人から審査庁に対しまして審査請求が行われますと、審査庁で審理員を指名いたします。その審理員が審査請求人、処分庁それぞれから意見を整理いたしまして、その上で行政不服審査会に諮問をするというような流れが新たに規定されたところでございます。
    ただ、これにつきましては、附属機関等の他の類似機関へ諮問を行う場合は、行政不服審査会への諮問は不要ということでございまして、東京都におきましては、情報公開審査会又は個人情報保護審査会への諮問を行いまして、審議をいただいているところでございますので、行政不服審査会への諮問は不要ということになります。
    また、審理員につきましては、「条例に基づく処分について条例の特別の定めがある場合は、審理員を指名することなく、審査庁が審理手続を行う」ということになってございますので、条例に特別の定めを設けることによりまして、審理員も置かないことができることとされるとなっておりますので、東京都におきます情報公開・個人情報保護に関する手続につきましては、これまでと同様の手続によることができると考えております。
    それから、(3)の審理手続の拡充につきましては、こちらにありますとおり、処分庁に弁明書の作成が義務付けられるなど、現行法から規定が拡充・追加をされているところでございまして、こういった改正行政不服審査法に対応した規定を情報公開条例・個人情報保護条例にも盛り込むような改正を考えております。
    詳細につきましては、資料2の本文に基づいてご説明をさせていただきます。
    まず、改正の1点目が番号法の制定に伴う条例の改正についてでございます。これは、情報公開条例・個人情報保護条例に共通する改正でございます。まず第1点目は、(1)新たな非開示事由の新設についてということでございます。東京都情報公開条例におきましては非開示情報ということで1号から7号まで、また、個人情報保護条例にも同様の規定がされているところでございます。
    個人情報保護条例におきます開示請求の対象となる保有個人情報の中にも、請求者以外の特定個人情報がこれからは含まれてくる場合も想定されるところでございます。また、情報公開条例におきます開示請求の対象となる公文書の中にも、特定個人情報が含まれる場合もこれからは想定されるところでございます。こうした場合に特定個人情報を原則非開示とするように、現行の条例の非開示情報に特定個人情報を新たに追加すべきというものでございます。
    (2)裁量開示に関する規定でございます。情報公開条例では、第9条として、開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは当該公文書を開示することができるという裁量開示の規定があり、個人情報保護条例にも同様に規定されているところでございます。
    番号法が「特定個人情報の提供に対し法定の事由に基づく場合以外の提供を一切認めない」という、非常に厳格な制限を課しているということを踏まえますと、特定個人情報につきましては、この裁量開示の対象にすべきではないというふうに考えられます。
    したがいまして、この裁量開示の対象となる非開示情報、現在は法令秘情報はその対象外とされているところでございますけれども、それに加えまして、特定個人情報というものも新たにこの裁量開示の対象から除外する旨の改正を行うべきというものでございます。
    以上が番号法の制定に伴う条例の2点の改正についてでございます。
    次に、行政不服審査法の改正に伴う条例の改正についてでございますが、こちらも情報公開条例・個人情報保護条例共通の改正でございます。
    まず、(1)行政不服審査法の改正に伴う文言の統一についてということでございます。現行の行政不服審査法における不服申立ては、大きく異議申立てと審査請求に分かれておりましたけれども、改正行政不服審査法では異議申立てが廃止され、審査請求に一元化されたところでございます。これに伴いまして、異議申立てと審査請求を総称して「不服申立て」と規定しているものを「審査請求」というふうに改めるなどの文言の修正をすべきというものでございます。
    次に、5ページをご覧ください。行政不服審査法の2点目の改正、審理員による審理手続に関する規定の適用除外等についてでございます。
    改正点のところにございますとおり、改正行政不服審査法は、審査請求がされた行政庁に所属する職員の中から審理手続を行う者を指名するとされたところでございます。原則として審理員を指名しなければならない旨の規定がされておりますけれども、条例に基づく処分について、条例に特別の定めがある場合には審理員の指名を要しないこととされております。
    東京都の情報公開審査会及び個人情報保護審査会によりまして、現在、実質的な審理が行われておりまして、公正かつ慎重な判断が制度上担保されておりますことから、審理員制度をこの改正に伴いまして新たに適用する実益はないと考えております。
    したがいまして、条例の特別な定めとしまして、審理員による審理手続に関する規定を適用除外する条文を新たに設けるべきというものでございます。
    3点目が不作為事件の当審査会諮問対象への追加についてでございます。改正行政不服審査法では不作為について審査請求をすることができる旨を規定しているところでございます。このため、東京都の条例におきましても、開示決定等だけではなく、不作為事件を東京都の審査会への諮問対象として新たに追加すべきというものでございます。
    4点目が諮問の際の弁明書の添付についてでございます。改正行政不服審査法では審理員は処分庁に対し弁明書の提出を求めるものとされております。これは、先ほどの特別の定めを設けた場合であっても、弁明書は必要であると規定されているところでございます。
    したがいまして、審査庁が都の審査会に対して諮問を行う際には弁明書を添付書類とする旨の規定を設けるべきであるというものでございます。
    5番目が参加人の定義付けについてでございます。現在、情報公開条例及び個人情報保護条例それぞれに、「参加人」という規定はありますけれども、改正行政不服審査法におきまして、新たに審査請求に参加する者を参加人とするということで新たな定義付けがされたところでございます。このため、東京都の条例におきましても、同様の定義付けを行うことが必要であるというものでございます。
    6番目が都審査会に対する意見陳述における補佐人等についてでございます。情報公開条例をご覧いただきますと、25条に「審査会は、不服申立人等から申出があったときは、当該不服申立人等に口頭で意見を述べる機会を与え、又は意見書若しくは資料の提出を認めることができる」と規定されておりまして、個人情報保護条例にも同様な規定があるところでございます。
    改正行政不服審査法におきまして、意見陳述の場合において、「補佐人とともに出頭することができる」とされたことを踏まえまして、東京都の条例におきましても、補佐人とともに出頭することができる旨の規定を新たに設けるべきであるとするものでございます。
    なお、現在の条例では、「口頭で意見を述べる機会を与えることができる」、「意見書若しくは資料の提出を認めることができる」という規定が1本の規定になってございますけれども、補佐人とともに出頭ができる旨の規定を追加しますと、補佐人とともに出頭できますのは、「口頭で意見を述べる機会」のみにかかるということで、「意見書若しくは資料の提出」についてはかからないということでございますので、現在一体的に規定されているものを、今回、「補佐人」というものを規定することによりまして、それぞれの規定を分割する必要があるということでございます。
    続きまして、7番目が都審査会へ提出された資料の閲覧等についてでございます。都審査会へ提出された資料の閲覧等につきましては2点の改正がございます。
    まず、1点目は、都審査会へ提出された資料の閲覧等についてでございます。現行の都条例では、都の審査会に提出された資料の閲覧請求は諮問庁に対して行うものとされております。しかし、審査会に提出された資料については、当然、審査会が管理をしているものと考えられますので、現行の規定を改正して、「諮問庁に対して」ではなく、「審査会に対して」資料等の閲覧を求めることができる旨の規定にすべきというものでございます。
    2点目は、提出資料に係る電磁的記録の閲覧方法についてでございます。現行の東京都の条例におきましては、「審査会に提出された意見書又は資料の閲覧又は複写を求めることができる」と規定をしているのみで、その提出書類が電磁的記録であった場の閲覧方法については特段明記がされてございません。今回の改正行政不服審査法では、この提出書類が電磁的記録であった場合の閲覧方法について、審査庁が定める方式により表示したものと規定されたところでございます。これを踏まえまして、東京都の条例におきましても同様の規定を追加すべきであるというものでございます。
    次が8点目、提出資料の閲覧に係る資料提出人への意見聴取についてでございます。改正行政不服審査法におきまして、審査関係人は行政不服審査会に提出された資料等の閲覧又は写しの交付を審査会に求めることができるとされておりまして、この場合に資料の提出人の意見を聴くことを義務付けているところでございます。これを踏まえまして、東京都の条例におきましても同様の義務付けの規定を設けるべきであるというものでございます。
    続きまして、9点目の手数料の徴収等についてでございます。改正行政不服審査法では、「行政不服審査会に提出された資料等について、写しの交付を受ける審査請求人等は手数料を納めなければならない」とされておりまして、同時に「特別な理由があるときは、手数料を減額し、免除することができる」と規定されているところでございます。東京都の場合は、要綱におきまして「閲覧・複写に要する費用は徴収しない」とされておりますけれども、都条例においてもこれに応じるときは、条例等で手数料の徴収及び減額又は免除の規定を設けるべきであるというものでございます。
    10点目が都審査会の処分に対する審査請求の制限についてでございます。行政不服審査法の改正を受けまして、「審査会又は委員がした処分又はその不作為については、審査請求をすることができない」と国の審査会の規定が改められたところでございます。一方で、現行の東京都の条例では東京都の審査会又は委員の個々の処分等に対する不服申立ての制限規定は設けられていないところでございますけれども、国と同様の規定を都条例でも設けるべきであるというものでございます。
    最後の改正点、答申書の送付等についてでございます。現在、東京都の審査会の要綱におきまして、「審査会は、答申を行った事案についてその概要を公表する」と規定されており、実際の運用におきまして、答申書の写しを不服申立人に送付するとともに、答申の内容を公表する取扱いとしているところでございます。
    改正行政不服審査法におきまして、行政不服審査会が答申をした際の答申書の写しの送付及び答申の内容の公表が審査会に義務付けられております。これを踏まえまして、東京都の条例におきましても、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表する旨の規定を新たに設けるべきであるというものでございます。
    以上が行政不服審査法関係でございます。
    最後に3番目、その他の条例改正についてでございます。
    まず、1点目が手数料に関する規定についてでございまして、こちらも情報公開条例・個人情報保護条例共通の改正事項でございます。
    現在の東京都の条例では開示手数料についての規定がございます。その中で電磁的記録が記録されている公文書の種類といたしまして、フロッピーディスク、ビデオテープ、録音テープが例示列挙されているところでございますけれども、これらの媒体は現状既にほとんど使用されておりません。現状を反映している規定とは言い難い状況となってございます。
    さらに、今後の情報通信技術の発達によりまして、電磁的記録媒体として様々なものが開発されていくであろうということを踏まえれば、具体的な媒体を条例で例示列挙するのは妥当ではなく、条例の規定では、包括的な記載としまして、具体的な媒体や手数料は規則で規定すべきであるというものでございます。
    2点目の開示決定の期限の延長についてでございます。こちらのほうは、現在の情報公開条例にあって個人情報保護条例にない規定につきまして、情報公開条例と同様の規定を個人情報保護条例でもすべきというものでございます。開示決定の期限の延長についてでございます。
    現在の個人情報保護条例におきましては、開示請求を受け付けた場合、請求から原則的に14日以内に決定しなければならないとされております。ただし、やむを得ない理由がある場合については、60日を限度として延長できる旨の規定を定めているところでございます。
    一方で、情報公開条例のほうを見てみますと、同様の規定を設けるとともに、さらに対象となる公文書が著しく大量で、60日以内でもその全てについて開示決定することで事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合には、開示請求に係る公文書のうち相当の部分について60日以内に開示決定をして、残りの公文書については相当な期間内に開示決定等をすれば足りる旨の規定をしているところでございます。
    こうした特例延長の規定につきましては、当初は特定の一個人に関する保有個人情報が著しく大量になることは想定しにくいものと考えられていたため、個人情報保護条例にはこのような規定がなかったところでございます。
    しかしながら、実施機関におきまして、一個人に関する保有個人情報が著しく大量となる場合が現に生じておりまして、特に未成年者である子に代わりまして、法定代理人である親が開示請求をするような場合には、その子と法定代理人である親との間に利益相反が生じている場合がございますので、そういった場合には慎重な処理を行うための十分な時間が確保される必要もあるところでございます。こういったことを踏まえまして、個人情報保護条例におきましても、情報公開条例と同様、特例延長に係る規定を整備すべきというものでございます。
    次が、(2)一部開示についてでございます。これも、情報公開条例にあって個人情報保護条例にない規定につきまして、同様の規定を個人情報保護条例にもすべきというものでございます。
    請求に係る保有個人情報に非開示情報が含まれている場合、非開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、その当該部分を除いた部分の開示をしなければならない旨を規定しております。
    一方で、情報公開条例のほうを見てみますと、同様の規定に加えまして、区分して除くことにより当該開示請求の趣旨が損なわれないと認めるときは、一部開示を行わなければならない旨を規定しております。この規定によりまして、一部開示をすることによって請求の趣旨が損なわれてしまうような場合には、当該公文書の全部を非開示とすることができるような仕組みになっております。
    個人情報保護条例では、仮に開示できる箇所が開示請求者の氏名など請求者にとって既知の情報のみであり、それ以外の部分は非開示情報に該当するなど、請求者にとっておよそ意味のある情報とは解されない場合であっても、現行の規定におきましては開示をしなければならないことになってしまいます。
    このような事例に対処するために、現在は運用によって情報公開条例の一部開示の規定と同様の取扱いを行い、非開示とする旨の取扱いをしてきたところでございますけれども、こういった同様の規定を個人情報保護条例にも盛り込み、開示請求の趣旨が損なわれない場合に限って、一部開示を行う旨の規定をすべきであるというものでございます。
    条例の一部改正のご説明は以上です。
  • 宇賀会長
    ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等がありましたら、お願いいたします。
  • 藤原会長代理
    それでは、1点だけ。全体として、番号法と行政不服審査法を受けた穏当な改正というか、当然やらなければならない改正だと思うので、これで結構だと思います。一点、念のために伺うのですけれども、2ページの不開示事由のところです。「特定個人情報の場合は、本人開示請求についても開示制度の対象から除外する」という書き方です。念のためですけれども。そして、一方で、保有個人情報、本人開示については当該特定個人情報は原則非開示とすると。その2つの改正であるということはわかりましたけれども、これは一応書き分けてあるという前提でよろしいのかということが1点。
    2点目は、情報公開条例のほうも非開示事由を付け加えるということなのですけれども、この書き方です。「このような場合についても同様に原則非開示とするよう」というのですけれども、今でも個人番号に個人情報がくっつけば特定個人情報なので、個人情報は現行でも必ず原則非開示になるということなので、プラスアルファ何らかの整理があるのかということです。
    この2点について一応念のために教えてください。
  • 高野統括課長代理
    ただいまの藤原委員からのご質問についてですが、まず1点目の個人情報保護条例を本人の特定個人情報の開示請求について適用除外にするというお話につきましては、先にいただきました答申の中で既に整理されている事項ということで、一応ここに書いてはありますけれども、趣旨とすれば前回答申でいただいた内容の整理ということで、ここに特出ししていないということになりますが、実際に条例としては改正いたします。ですので、その意味においては個人情報保護条例の対象外とするという旨の改正は行います。ただ、今回はあくまで前回答申をいただいた以外の部分についての整理ということでご案内をさせていただきましたので、特にそこについての特出しをしていないという状況でございます。
  • 藤原会長代理
    はい、そこはわかりました。
  • 高野統括課長代理
    2点目でございますが、情報公開条例について、先生から今ご指摘ありましたとおり、確かに個人番号を含む個人情報も個人情報であるという意味では、既存の条例でいう7条2号とも考えられるところなんですが、一方で、その下にございます裁量開示の規定や、若しくは7条2号にございます、ただし書イ、ロ、ハの規定について、特定個人情報についてはこれらの適用はないものと考えられますので、そういう意味において、条文の整理からは特定個人情報の非開示事項を独立して、情報公開条例についても設ける必要があるものというふうに考えておりますので、このような整理とさせていただきました。
  • 藤原会長代理
    はい。要するに、裁量開示であるとか、ただし書の規定の適用の問題があるので、この際きちんと都の情報公開条例として正確に整理しておこうということであると、そういう理解でよろしいんですよね。
  • 高野統括課長代理
    はい、さようでございます。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほかはいかがでしょうか。
  • 神橋委員
    よろしいですか。今、お話を伺って既存の個人情報との関係は大体わかったんですけれども、そのときは今の個人情報のところには特定個人情報を除くというような形になるんですかね。
  • 高野統括課長代理
    そうですね、そういう書き方をしたほうがわかりやすいかと思います。
  • 神橋委員
    特定個人情報が第何号かに入るわけですね。
  • 高野統括課長代理
    そうですね、特定個人情報は何号かに……。
  • 神橋委員
    列挙されるわけですね。
  • 高野統括課長代理
    はい。
  • 神橋委員
    そうなると、既存の個人情報には、括弧書きか何かで「特定個人情報を除く」というような改正が含まれるということになるわけですね。
  • 高野統括課長代理
    はい、条文の整理ではそのような形になると考えています。
  • 神橋委員
    はい、わかりました。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほか、いかがでしょうか。
  • 神橋委員
    きょう初めて聞いたというか、まだ勉強に至ってないのですけれども、今伺っていて、11ページのところですかね、審査請求の制限なんですが。まだちょっと理解が至っていないのかもしれませんが、審査会の委員が行う処分というのは想定されているんですか。そこの「都審査会又は委員の個々の処分等に対する不服申立ての制限規定は設けられていない」ということで、これを設けるということですか。
  • 高野統括課長代理
    はい、さようでございます。
  • 神橋委員
    現行条例上、委員の行う処分というのはありますか。
  • 高野統括課長代理
    実際には出てきませんけれども、形上としてはあり得ます。つまり、調査権限等々、若しくは審査会委員に対して、今も部会はとりあえずありますけれども、そういった形で審議上の権限を特別に条例上は設けることは可能ですので、そういう意味においては、委員単独で何らかの処分を行う可能性というものは否定できないということでございます。
  • 神橋委員
    それは現在の条例においてあるんでしょうか。
  • 高野統括課長代理
    現在の条例上も理論上は可能でございます。
  • 神橋委員
    どういう場合ですか、もう一回ちょっとお願いします。
  • 高野統括課長代理
    単独で委員に対して例えば調査等の命令をお願いするような場合が想定できるんですが、そのようなときに委員のほうから、これこれこういった調査に対しての例えば依頼に対する拒否がなされた場合ですとか、そういったものに関しての何らかの処分というものがあり得るのではないかと考えているところでございます。
  • 神橋委員
    あまり実際はやられてないんですか。
  • 高野統括課長代理
    ほとんど、少なくても我々は今まで経験しておりません。
  • 神橋委員
    私も知らないので。わかりました。理論上はあるということで、一応条文にはこれも入れるということですか。
  • 高野統括課長代理
    はい、さようでございます。
  • 神橋委員
    私からは以上です。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほか、いかがでしょうか。
    1つ、4ページの改正点のところの5行目で、「審査請求に一元化された」というのはそのとおりなんですけれども、厳格に言うと再調査の請求とか再審査請求があるので、「原則一元化」というふうにしておいたほうがいいかと思いました。
  • 高野統括課長代理
    かしこまりました。
  • 宇賀会長
    それからあと、6ページの改正点での最初のところで、「改正行審法で不作為についての審査請求をすることができる」旨規定しているという説明があって、その後、「不作為事件を審査会に諮問できるようにすべきである」となっているわけですけれども、現行の行審法でも不作為についての審査請求というのはあるわけですよね。
    ですから、ここのところでは、不作為についての審査請求があるということの次の段階として、今度の改正行審法で不作為についての審査請求の性格が変わり、単に審査の審理の促進を促すだけではなくて、不作為が違法又は不当なときに一定の処分をするかどうかというところまで判断できるようになったので、その意味で不作為についての審査請求と処分についての審査請求が同じ性格を持つようになるということで、これまでは不作為が諮問事項に入っていなかったものを加えたと、そこの説明を一つ加えておいたほうがわかりやすくなるかと思います。
  • 高野統括課長代理
    かしこまりました。
  • 宇賀会長
    ほかはいかがでしょうか。
    よろしいでしょうか。
    なお、本日欠席の小幡委員からも、本件については、「提案どおりの意見具申をすることに異論はない」というご意見をいただいております。
    ただいま事務局から説明のありました、東京都情報公開条例及び東京都個人情報の保護に関する条例の一部改正につきましては、本審議会として、事務局から説明のあったとおり意見具申を行うということでよろしいでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  • 宇賀会長
    ありがとうございます。
    それでは、本件につきましては、本審議会として意見具申を行うことと決定いたしました。
    それでは、続きまして東京都情報公開条例及び東京都個人情報の保護に関する条例の運用上の課題につきまして、事務局から説明をお願いします。
  • 望月情報公開課長
    それでは、資料3についてご説明をさせていただきます。
    こちらのほうは、今ご審議いただきました条例の一部改正ではなくて、運用上の課題につきまして、私ども事務局から課題提起をさせていただきまして、ご審議をいただきながら、運用を必要があれば見直していきたいと考えているものでございます。
    今回問題提起をさせていただきたい項目は他制度との調整についての部分でございます。情報公開条例18条では「法令又は他の条例の規定による閲覧若しくは縦覧又は謄本、抄本その他の写しの交付の対象となる公文書については、公文書の開示をしないものとする」というふうに規定されているところでございます。
    この規定を適用いたしまして、1)訴訟記録、2)不動産登記簿と同一内容の情報、3)住民票や印鑑証明書等につきまして、今まで開示請求の対象とする運用を行ってきましたけれども、開示請求の対象外にする必要があるのではないかという問題意識でございます。
    また、2番目は、都の図書館等図書、資料、刊行物等を閲覧に供し又は貸し出すことを目的とする施設において管理されている公文書であって、一般に閲覧させ又は貸し出すことができるとされているものについては、公文書の開示をしないものとすると規定されております。
    ホームページのみで公表している情報は今まで開示請求の対象としてきたものでございますけれども、今後開示請求の対象から外す必要があるのではないかという問題意識でございます。
    まず、1点目の問題意識についてでございます。東京都の条例を見ますと、他の法令等におきまして閲覧、縦覧、謄本、抄本又はその写しの交付のうち、いずれかの手段が講じられていれば、開示制度の対象外とするというふうに解することができるところでございます。
    一方で、国の行政機関の保有する情報の公開に関する法律の同様の部分の規定を見てみますと、東京都の場合はいずれかの方法というのがありましたけれども、国の場合は「同一の方法で開示することとされている場合には、開示を行わない」としているということで、両者の規定が異なっているところでございまして、国の「同一の方法」というところを踏まえますと、国の場合は開示の対象外とできる場合が非常に限定的であると考えることができます。
    国ではなくて、東京都と同様の規定がある場合について、幾つか裁判例を紹介させていただいております。まず、神戸地裁で出ております建築計画概要書に関するものにつきましては、建築計画概要書には閲覧が義務付けられておりまして、その公開請求に関する争いの中で、公開請求の対象とはならない旨の判示が神戸地裁で出されているところでございます。
    また、宇賀先生の本から引用させていただいておりますけれども、山口地裁におきましては、建築計画概要書、それから、住居表示台帳、これは閲覧のみが他のそれぞれの制度で定められているものでございますけれども、こうしたものは他の制度で閲覧が定められていることによりまして、写しの交付はできないと山口地裁は判示しているところでございます。住居表示台帳については、控訴がされたわけですけれども、広島高裁におきましては、その控訴は棄却されているところでございます。
    加えまして、東京都板橋区で建築計画概要書の写しに関して争われた事例におきましては、東京地裁、東京高裁それぞれにおきまして、建築計画概要書が閲覧できることをもって、開示請求の対象外であるという同様の判示をしているところでございます。
    今ご説明をしましたように、国とは異なり、「同一の方法」の文言のない東京都と同様の条例につきましては、法令等で閲覧のみが認められている文書でありましても、情報公開条例の開示対象にはならないという裁判所の判断がなされているところでございます。
    こういったことを踏まえまして、3点について個別に見ていきたいと思います。
    まず、訴訟記録でございます。民事訴訟法の中で、訴訟記録につきましては閲覧等の制度が規定されておりますけれども、その制度において閲覧制限がなされる場合があることや謄写等を行うことができる者の範囲を限定していること踏まえまして、現在の運用の中では訴訟記録は開示制度の対象としてきたところでございます。ただ、一般的に訴訟記録におきましては、個人が当事者である場合は内容が機微なものになることも多々考えられるところでございます。
    さらに、もしこういった訴訟記録を、今までの運用のように開示制度の対象ということで取り扱った場合、判例では開示・非開示の判断が全く分かれておりまして、民事訴訟法の規定が何人にも閲覧を認めていることを理由としまして、たとえ個人情報に該当する場合であっても公表されている情報であると解しまして、そういった個人情報も公にされているということをもって、開示をすべきとした判決も出ているところでございます。訴訟記録を開示制度の対象と扱うことによりまして、こういった個人情報も含めて開示すべきというふうにされた判決でございます。
    この点につきましては、東京都が当事者となった訴訟に関する訴訟記録の開示について争われた件でも、同様の判決が出されているところでございます。今ご説明しましたように、一度開示制度の対象としてしまいますと、このような機微な個人情報としての性質を有する訴訟記録が、東京都が訴訟の一方当事者である結果、開示請求によって、閲覧のみではなく写しの交付が誰に対してもされることによって広く公開されてしまう可能性があります。
    さらに、開示された訴訟記録の内容がインターネット等によって流布されてしまえば、深刻なプライバシーの侵害を引き起こす可能性も否定し得ないところでございます。こういったことを踏まえまして、私どもとしましては、この訴訟記録の開示につきましては早急に対応する必要があると考えているところでございます。
    2点目は不動産登記簿と同一内容の情報でございます。これは、登記簿の情報を転記して一覧表を作成している場合がございますけれども、こういった一覧表を今までは開示請求の対象としてきたものを、今後は対象外とすべきではないかという問題意識でございます。不動産登記法の規定を見てみますと、不動産の登記簿及びその附属書類につきましては、国の情報公開法、個人情報保護法の適用が除外されているところでございます。
    これにつきましては総務省が見解を出しておりまして、登記簿等の文書は、一般的な行政文書と異なりまして、独自の完結した体系的な開示の制度の下にあって、この制度外で認証のない写しの交付を認めることは制度の趣旨を損なうことから、国の情報公開法、個人情報保護法の適用対象外とされているものでございます。
    この点に関しまして、現在、問題となっておりますのが、一定地域の土地及び建物に関する登記簿の情報を転記いたしまして、一覧表を作成している場合がございまして、今まではこういった一覧表を開示請求の対象としてきたところでございます。
    ただ、この内容を見てみますと、一覧表ということで、確かに登記事項証明書とは形式は異なるものでございますけれども、何らかの情報が付加された別の意味を有するものではなく、記載されている情報自体は登記簿と同一であるということに着目いたしますと、先ほどご説明しました適用除外の趣旨、制度外で認証のない写しの交付を認めることは制度の趣旨を損なうという適用除外の趣旨については、同様にあてはまるのではないかと考えているところでございます。
    したがいまして、こういった一覧表を情報公開制度によって写しを交付することにつきまして、改めて検討を行う必要があると考えております。
    また、開示請求によりますと、本来の制度で交付されるよりも低額で写しの交付が受けられるということで、手数料の観点からいたしましても問題があるのではないかと考えているところでございます。
    3点目が住民票や印鑑証明書等についてでございます。現在でも住民票、印鑑証明書そのものについて開示請求が行われた場合は、条例の規定を適用しまして、請求の対象外としていたところでございますけれども、こういったものが開示請求の対象となる公文書あるいは保有個人情報の一部に含まれているような場合には、対象外としない運用を行ってきたところでございます。
    ただ、これらの住民票、印鑑証明書につきましても、先ほどの登記簿と同様、制度外で認証のない写しの交付を認めることが制度の趣旨を損なうという点では、同様に考えることができますことから、仮にこういったものが対象公文書の一部に含まれている場合であっても、住民票、印鑑証明書それぞれについて見てみますと、それ自体を開示することになるということに着目すれば、適用除外について、特に公文書の一部に含まれているということで区別をする理由はないと考えることもできるところでございます。
    手数料につきましても、先ほどの登記簿一覧表と同様のことが言えると考えております。
    以上が他の制度で閲覧等がある場合の対応についてでございます。
    最後に、都の図書館等で閲覧に供されている公文書の開示をしないという規定の運用についてでございます。現在はホームページのみで公表しているような場合については、開示請求の対象とする運用を行ってきたところでございます。しかし、情報通信技術の発展によりまして、携帯電話でもインターネットが閲覧可能となっております。また、国の行政機関におきましても、ホームページの中で情報を公表することによって、法的な意味の公表というふうに取り扱っているケースも増えてきているところでございます。
    こういった状況に鑑みれば、従来、紙媒体で公表されている場合のみにこの条例の規定を適用する運用につきましては、改めてホームページ上における公表についても、これからは適用することについて検討を行う必要があるのではないかと考えております。
    ホームページ、インターネットにつきましては、デジタルデバイドの問題が指摘されるところでございますけれども、都立中央図書館をはじめとします公的施設におきましては、それぞれの施設で現在インターネットのホームページの閲覧が可能であるという状況もございますので、こういった状況を踏まえますと、デジタルデバイドに関する考え方も少し変化をしてきているのではないかということで、こういった状況を踏まえて、デジタルデバイドについても改めて検討を行う必要があると考えております。
    ご説明は以上です。
  • 宇賀会長
    ただいま情報公開条例及び個人情報保護条例の運用につきまして、事務局から非常に重要な問題提起がございました。当審議会といたしましても、委員の皆様からご意見をお聴きしまして、十分に議論を行った上で方向性を取りまとめていきたいと考えておりますので、積極的にご発言いただければと存じます。
    ご質問、ご意見のある方はお願いいたします。
  • 藤原会長代理
    どうもご説明ありがとうございました。それでは、一言、私から意見というか感想を申し上げます。
    今ご説明いただいた運用上の課題ですけれども、確かに重要な問題提起を含んでいると思います。ただ、それぞれの問題が文書ごとになかなか根が深い問題で、一律に同じところから出てきているわけではないと思うんですね。もう少し具体的に申し上げれば、建築計画概要書でありますとか住居表示台帳の問題は、特定の事業者のビジネス利用との関係で従来からずっと問題になっていて、東京都をはじめとして多くの自治体で何らかの対処を迫られていた問題であるということです。ですから、これはビジネス利用との関係でどうするかというのは、東京都でも一定の結論は既に出してある問題だと思うんですね。
    それから、2番目の不動産登記簿の問題で、プラスアルファの情報が何かあるのかということと、自治体条例の開始のころからの手数料ですね、本当の制度でいけば相当の金額がかかるのに、情報公開条例でいくと自治体の政策として無料の場合もあるという、そことの抵触が主に問題になってきたので、これもなるほどおっしゃるとおりかなと思うんですね。
    それから、住民票の問題というのは認証機能の問題ともかかわりますけれども、ここは、ご存じなら後で教えていただきたいんですけれども、これは偶発的なお話なのか、前2者の建築計画概要書等とか不動産登記簿のような問題をはらんでいるのかというところも少し教えてください。いずれにせよこれは、前提としては、おっしゃるように東京都の条例の文言は国の文言と違いますので、ご説明のような解釈は成り立つんだろうなと思います。
    それから、4番目の類型として、このペーパーでは最初に出てくる民事訴訟記録のお話ですけれども、これはほかの3つに比べると、プライバシー侵害とか個人情報保護との抵触が著しい問題だと思いますので、やや深刻さが違うのかなという気がいたします。例えば訴訟記録というのは本当は事件番号での特定ということになるわけなんですけれども、いわゆる存否応答拒否を避けるときのように、東京都で訴訟に関係するような記録の何年度の一覧などという抽象的な請求をされると、特定がなくても訴訟記録を、都としては各部局特定せざるを得なくなるということがありますので。そうなると、公的部門で、たまたま都が一方当事者であると、個人情報やプライバシーがなかなか守られないという状況というのは結構深刻かと思いますので、これは早く対処する必要があるのかなと、そういう感じがします。
    結論を申し上げますと、全体としてはこのとおりかなというのが第1で、第2の点は、しかしながら、現行制度を動かすことになりますので、その点で躊躇等も出ることはあろうかと思うんですけれども、訴訟記録はより深刻であるからこれを早くやったほうがいいと考えます。3つ目に、前三者の建築計画概要書とか住居表示、それから、不動産登記簿、さらに、住民票などの場合には、それぞれの個別法との関係、それから、問題の出方との関係で、深刻さの程度に応じて順に検討をしていけばいいのかなと、そのように思います。
    以上です。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    中村委員、どうぞ。
  • 中村委員
    私も、運用上の問題として挙げられた問題がそれぞれ、今、言われたように扱い方が違うので、頭の中の整理が難しいところがあるのですけれども、各種の制度との調整という問題に気づかれてから、どれほどの時間が経過してきたのか考えますと、例えば訴訟記録の問題など、具体的な問題が生じていたのかどうか懸念すら覚えます。というのは、今、藤原委員がおっしゃられたように、これまでもビジネス利用の問題というのは手数料の問題とからんでありましたが、個人情報が漏洩する道筋とその深刻さ、早急なその扱いの必要性というものはそれぞれ違うと思うのです。
    私は情報公開制度と周辺制度との扱いの差が生じていたことなど、細かくは理解できませんでしたが、一人の利用者として考えれば、取り扱いで生じる不公平性は、納得できませんし、どこかで整合性、制度のすみ分けというものを尊重してほしいとまず思います。また、一番センシティブな問題をはらんでいる訴訟記録の扱いについては、プライバシー保護の面から、これはインターネットなどで流布される可能性がある問題として深刻さが違うと思いますので、最初に取り組むべき問題ではないかと思います。
    そうやって考えますと、この情報公開、個人情報保護の制度を取り巻くいろいろなシステムの変化、他制度とのくい違いが生じてきているという環境が理解されますので、恐らくこれからもこれ以上に何かしらの環境の変化によって、条例が抱えている問題が生じてくるのかと思いますので、さらにいろいろな事例の可能性というものを掘り出していただければ、という印象を持ちます。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほかはいかがでしょうか。
  • 神橋委員
    訴訟記録は随分問題なのかなと思いますけれども、方向性としては、プライバシーの保護ということで、運用を考えていくということについてはもとより異論はございません。ただ、一言申しますと、これの理由付けについてもう少し補足すべきところがあればいいかと思ったんですが。
    それは、この閲覧制度というのが既存のこういう制度との間の抵触と申しますか、本来の趣旨・目的を没却してしまうおそれがあるということから、閲覧の対象から外してあると、公開の対象から外したらどうかという論点整理だったと思うわけですけれども、民事訴訟法で何人にも閲覧は認めていると。今、手元に民事訴訟法がございませんので、ちょっと私にはわかりませんけれども、閲覧は原則認めている。しかし、謄写については制限があると。しかし、閲覧についても一定の制限があると、こういう整理の仕方だと思います。
    民事訴訟法でも閲覧制限を設けているということなんですけれども、この閲覧制限にも恐らくプライバシーの保護という観点があっての話だと、それでないと制度的にバッティングするということになりませんので。民事訴訟法の閲覧の制限の中に運用も含めてプライバシーの保護という観点があったのかどうかというのが、このご説明の中になかったものですから、その辺も含めて、民事訴訟法における閲覧制限におけるプライバシーの保護という考え方と整合的に考えたら情報公開でもできないんだと。そういう補足があればより説得力を増すのではないかと考えましたので、多少その辺を敷衍させていただきます。
    以上です。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
  • 藤原会長代理
    今の点は神橋委員の言われるとおりで、運用の面において裁判実務等を追っていると、どうも整合性がとれていない運用をしているという実態があるので、都の条例としてはここは何とか対処しなければいけないということだと思いますので。それはさっきご紹介のように恐らく都にも蓄積があると思いますので、事務局のほうで厚く書いてくださると思います。
  • 神橋委員
    意外に裁判所は広く認めているという実態がありますよね。だから、法の建前と運用を含めて少しすり合わせる必要があるのではないかということでございます。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほかはいかがでしょうか。
    この訴訟記録の問題は、下級審の裁判例が分かれていまして、最高裁はこれまでまだ明示的な判断を示していないところなんですね。ただ、例えば医療過誤訴訟などの場合ですと、自分の健康状態とか非常にセンシティブな情報をそこで証拠として出して争わなければいけないわけですね。そうしたものが情報公開条例で開示請求されて、開示されて例えばインターネットで公開されてしまうというようなことがありますと、非常に深刻なプライバシーの侵害の問題をもたらすと思います。
    確かに裁判は対審及び判決は公開で行うというのが憲法上の原則ではあるわけですけれども、他面で、今では判例集ですね、『判例時報』とか『判例タイムス』で実名で載せているかというとそうではなくて、『判例時報』とか『判例タイムス』でも個人の名前などは全部今仮名にしているわけですね。ですから、対審及び判決が公開で行われるからといって、そこでそれが言わば公領域情報になって一切プライバシー性を喪失するというふうには考えられていません。
    それから、アメリカで連邦の情報公開法の下である報道機関が前科の記録、これはアメリカの司法省がデータベースにして持っているんですけれども、その開示請求がされたというケースがあるんですね。これについては、連邦の最高裁判所の判決が出ているんですけれども、そこではやはりプライバシー侵害の問題があるという判決が出ています。
    そこで連邦最高裁が出した考え方というのが、プラクティカル・オブシキュリティというふうに言われています。これは言わば実際上の曖昧さという言い方がされているんですね。つまり、確かに刑事訴訟というのは公開で行われ、判決も公開の法廷で言い渡されますが、それで一切プライバシー性が失われているかというとそうではなくて、一般の人が膨大な刑事訴訟を全部傍聴して、判決も全部見つけ出してということは実際上不可能なわけですね。ですから、大手の著名な報道機関であっても全部は知り得ないので、司法省に対してデータベースの開示請求をしたということなんですね。
    ですから、実際上は対審や判決が公開の法廷で言い渡されているといっても、全ての人が知り得る状態にはなっていないので、事実上の曖昧さ、不明瞭さというものが残っているわけです。それによってプライバシーが守られているということから、対審、判決の公開ということからプライバシー性の喪失ということは言えず、プライバシーとして保護されるべきだという判決も出ているわけです。
    そういった点から考えますと、確かに下級審の裁判例は分かれてはいるんですけれども、こういう非常にセンシティブな内容が訴訟記録として記録されている場合というのはあるわけで、それが情報公開条例で開示されてしまって、開示されたものが今は本当に容易にインターネットに掲載されて、世界中に流布されるということが起こり得る状況にあります。
    そういうことを考えますと、訴訟記録の問題というのは、これまで複数の委員からご指摘ありましたように、非常に深刻なプライバシー問題を含んでおり、これは早急に対応する必要があるのではないかと私も考えております。
  • 藤原会長代理
    今おっしゃったとおりで、事実上の曖昧さということに関連して言えば、今日引用していただいている高松の事件は、記憶が正しければ、行政書士さんがデータベース的なものを医療について知りたくて請求したわけで、まさしく一般には判決が出たからといって全ての人が知るわけではないと言うんですけれども、我が国の民事の裁判ではそこがある意味で擬制されているというか、知っているはずだというので、情報公開と比べてこれは開示しているのと同じだというような感じで運用されているので、今の事務局のような問題意識になるんだと思うんですね。これは結構深刻な問題ではないかと思いますね。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    はい、どうぞ。
  • 高野統括課長代理
    委員からご質問があったことを含めて補足説明をさせていただきます。
    まず、神橋委員がおっしゃられた裁判の実際の民訴法との関係のお話ですが、民訴法の場合には閲覧制限、確か基本的には当事者の申立てを原則としていると記憶しております。実態からも、この判例の中にも一つあったんですが、現実的には閲覧制限がされる事例はほとんどないということを判決でも述べている部分がありまして、必ずしも十分にプライバシーの保護が図られているとは言えない実態上の運用があるということが問題点としてあろうかと思います。
    訴訟記録に関しましては、その入口でアウトにするか、そうではないかというもので、一旦対象にしてしまいますと、今、先生がおっしゃられたように判決が割れてしまっていると。その中で、東京都はこれまでの運用の中で対象とはしてきたものの、例えば個人情報については非開示事項として取り扱ってきたところですが、実は東京都が当事者となった裁判で非開示とした部分について高裁まで敗訴してしまったという状況があって、しかも、その敗訴の原因というのが、理由として、民訴法の閲覧制限がある以上、これは個人情報であっても公表されているという扱いなんだというような立論だったものですから。そういう状況であれば、東京都は非開示として保護してきたものが守られない可能性が今後あるということが一つの契機となりまして、こういったご提案をさせていただいたということでございます。
    また、その他の情報との関係、藤原先生からもお話がありましたけれども、緊急度につきましては、圧倒的にその点についての誤差がございまして、その他の情報というものは、登記と同一の内容について最近大量の開示請求が同一人によって行われたという事例があって、実はこれまで経験したことのない請求でした。内容があくまでも転記というもので、新たな情報等の付加が一切ないと、フォーマットが単純に変わっただけで。しかも、1つの紙の文書中に多数の違う内容のものが書かれているということもあって、この辺のものが、本来ならば一地番、一建物ごとに登記の制度の中で閲覧等をするべきところ、例えば一度に10件、20件というものが情報公開の中で開示されていいのだろうかという疑問点が生じた関係で、今回併せてこのような形で運用上の課題ということで問題提起をさせていただきました。
    そのような背景があったということでご理解いただければと思います。
  • 濵田都政情報担当部長
    訴訟記録については、各委員からご意見ありましたように、緊急性のあるということでこちらも考えております。不動産登記簿、登記事項証明とかはなかなか根が深いというのか、ビジネスで使うというのもある一方で、別の見方をすれば、同じものを転記したとしても行政が加工している、別のものをつくっている、内容は同じですけれども、形が異なっていると、それは都民の税金で働いている職員がつくっているということで。
    一方で、これはサービスでやってもいいんじゃないかとか、あるいは、いじくっている、転記したときに転記間違いがあるんじゃないかとか、そういうのを確認するためには公開しないといけないとか、そういう考え方もできますので、不動産登記簿とかほかのものについては、いずれにしましても運用でこれまで公開していた範囲を狭めるということにもなりますので、場合によって世間からの批判もあるわけですので、ここら辺は十分ご審議をいただければと考えております。
  • 宇賀会長
    ほかはいかがでしょうか。はい、中村委員、どうぞ。
  • 中村委員
    先ほども申し上げたようにビジネス利用という問題は昔からいろいろな形でありまして。だから、最近そういう情報の処理によって大量にビジネス利用と思われる問題が起きたということは今後もあるかもしれませんね。でも、今おっしゃられたように、世間の批判という、その「世間」というものをどう考えるかというのが今までもずっとあった問題だと思うんです。不公平な利用につながりかねないビジネス利用でも是とするか。やはりそこら辺は考えていかなければならないのではないかなという気がいたします。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほか、いかがでしょうか。
    よろしいでしょうか。
    なお、本日欠席の小幡委員も同様の問題意識を持たれておりまして、「いずれも対象外とする方向で検討すべき」というご意見を事前にいただいております。
    それでは、今回の審議の内容を踏まえまして、複数の委員からご指摘もございましたように、訴訟記録の取扱いにつきましては緊急性があるということで、次回の審議会で今後の運用の基本的な考え方を取りまとめていきたいと存じます。
    また、その他の事項につきましては、引き続き議論を深めていきたいと思いますので、事務局はそれぞれ必要な資料の準備をお願いいたします。
    それでは、きょうの議事として予定したものは以上でございますが、このほか、委員の皆様から何かございますでしょうか。
    よろしいでしょうか。
    事務局から何かございますでしょうか。
  • 濵田都政情報担当部長
    次回の審議会につきましては、平成27年、本年11月の開催を予定しております。ご案内をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 宇賀会長
    それでは、以上をもちまして、本日の審議を終了いたします。長時間にわたり熱心にご審議いただきまして、どうもありがとうございました。

午後5時15分 閉会

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