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平成29年(2017年)2月6日更新

情報公開・個人情報保護審議会 第66回議事録

第66回東京都情報公開・個人情報保護審議会

平成28年3月23日(水曜)15時00分~16時16分
東京都庁第二本庁舎31階 特別会議室22

午後3時00分 開会

  • 宇賀会長
    それでは、定刻になりましたので、ただいまから第66回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開会いたします。
    本日は、5名の委員の方々に出席していただいておりますので、審議会規則第4条の規定により本会議は有効に成立しております。
    また、本日は臨時委員の神橋委員にもご出席いただいております。
    それでは、ただいまから議事に入ります。
    議事の1、東京都情報公開条例及び東京都個人情報の保護に関する条例の運用上の課題について、課題審議につきまして事務局から説明をお願いします。
  • 高野統括課長代理
    はい、ご説明させていただきます。
    それでは、資料の2ページをお開きください。資料2です。
    東京都情報公開条例及び東京都個人情報の保護に関する条例の運用上の課題についてということでございまして、まず初めに、前回までのご審議の内容につきまして若干ご説明をさせていただきます。
    今回ご審議いただきますのは、東京都情報公開条例第18条及び個人情報保護条例第30条に関係する部分でございまして、訴訟記録に関する開示の取扱いについてでございます。前回、審議会でもこの点についてご意見を賜ったところでございますが、若干復習も兼ねましてご説明をさせていただきます。
    前回は、この情報公開条例18条、個人情報保護条例第30条の内容につきまして、国の情報公開法と異なり東京都のこれらの条例については、他の法令等において閲覧とか縦覧、謄本、抄本またはその他写しの交付のいずれかの手段が講じられていれば、条例における開示制度の対象外になるものというような解釈が成り立つだろうというところでございますが、東京都ではこれまで、都民等のアクセス権をより広く保障することを目的として、運用で、写しの交付が認められていない場合や、閲覧等が認められている対象者が限定されている場合、閲覧等の期間が限定されている等の場合には、これらの条文について運用で解釈を拡大し、これらの同一の方法で行われていないものにつきましては、開示制度の対象とする運用が行われてきました。
    この点につきまして、特にご審議の対象とさせていただいております訴訟記録につきましてですが、これは、民事訴訟法第91条で何人に対しても閲覧等を認める制度が規定されております。しかし一方で、謄写を行うことができるものの範囲を限定していること、場合によっては閲覧制限がなされる場合があることを理由といたしまして、東京都としては条例の開示制度の対象とする運用を行ってきたところでございます。
    しかし、一般的に訴訟記録については、個人が当事者である場合、特に医療や福祉に関する訴訟では、その内容が非常に機微な情報になる場合が考えられます。東京都では、これまでの運用で、こういった個人情報の部分につきましては、条例上の非開示事項に該当するものとして非開示といたしまして、その他の情報と区分をして一部開示決定をしてきたところでございますが、実際にこの開示、非開示の問題につきましては、一般の裁判で判断が分かれているところでございまして、場合によっては、民事訴訟法第91条が何人にも閲覧を認めていることを理由として、たとえ個人情報に該当する場合であってもこれらは公表されている情報であるという理解で開示すべきというような判断をした判決が複数ございます。この点につきまして、東京都が当事者となった裁判につきましても同様の判断がされているところでございます。
    そういった状況の中、これまでの運用の取扱いについて改めて今後どうしていくべきかということにつきまして、審議会でこれまでご審議をいただいているところでございますが、今回、個別の事件の審査をいただいております東京都情報公開・個人情報保護審査会の第一部会から第三部会まで、各部会の先生方にもこの点についてご意見を伺いましたので、事務局からそのご意見につきまして簡単にご紹介をさせていただきます。
    資料の2の2ページ、まず第一部会の意見でございます。
    第一部会においては、民訴91条があるからといって、情報公開制度を通じて機微な個人情報がブレーキなしに開示されることは避けなければならないので、運用を今後変更していくということもやむを得ないのではないか、というようなご意見。
    また、情報公開制度により取得された情報の利用については、情報公開制度上に特に制限が設けられていないので、仮に個人情報部分が不開示扱いされたとしても、情報公開制度によって取得された訴訟記録の写しがネット上で広く公開されるによって、そういった存在を知った者が裁判所に行って、不開示とされた部分について訴訟記録を閲覧して中身を見ようとするような動機を与えかねないわけであり、当事者や関係者の権利ないし利益を実質的に保護しようとする観点からは問題があるのではないか、そういったところで情報公開制度との関係については危惧しているところである、というようなご意見もありました。
    また、条例18条を文言どおりに解釈するならば、民事訴訟法第91条、92条に基づいて閲覧が認められる訴訟記録が開示の対象にならないことになるだろう。従来の運用は、情報公開請求権をできるだけ尊重する趣旨に出たものと解されるが、そこでは、本来慎重に考慮されるべきプライバシーに対する配慮が充分検討、考慮されたものとは言いがたいのではないか。また、条例18条の規定があるにもかかわらず、プライバシー等の法益に関わる可能性のある情報をその内容に含む訴訟記録について開示とすることについては、条例等の明確な根拠が必要であると考えられる。仮に裁判の結果に基づいて開示した場合、当該判決が条例第18条に関する判断をしたものではなくて、条例7条2号、個人情報の該当性についての判断を行ったものである場合、本来条例に基づく開示が行われないはずの文書が運用により対象とされた結果、個人情報が開示されてしまったことに関する国賠を求められた場合、敗訴する可能性が高い。今後、18条を根拠に民訴における訴訟記録の開示を行わないこととすると、従来の運用に比べて開示の範囲を狭めることになるが、当該運用が18条との関係で必ずしも整理されておらず、またプライバシー侵害のおそれなどについて、さらに立法論も含めて広く検討する必要があることから、理由を丁寧に説明した上で運用の変更を行うことは妥当である、というようなご意見がございました。
    続きまして、第二部会ございます。
    解釈の変更で行うことができるかどうかという点は別にして、方向には反対するものではない、というようなご意見。
    それから、これまでの取扱いというものを、条例の解釈でというよりは利用者の便宜などに考慮して範囲を広げる特別なサービスを行ってきたというべきではないか、というご意見。
    また、4ページになりますが、訴訟記録の開示に関しては、これまでの経験から行政サイドの煩雑な作業が看過しがたい、非常に大変な作業であると。完全に分離して訴訟記録、判決に関わるものは全て司法で対応すべきである、というようなご意見もございました。
    一方で、開示の範囲を狭める方向への変更を解釈や運用の変更によってするということが裁判で通るのか。きちんと条例を改正して行うべきである、というようなご意見もございました。
    また、個人情報や医療記録など全てを開示するのは危険だからといって、制度の解釈を変えましたというのでは説明がつきにくいのではないか。
    さらに、高裁で開示の判断が出たが、訴訟記録の性質が違えば個別に判断がなされるであろうから、どのような場合でも病歴等の機微な個人情報まで開示するとはならないのではないか。訴訟実績と推移を見て判断してもよいかもしれない、というようなご意見がございました。
    続きまして、第三部会でございます。
    民事訴訟法が規定する閲覧手続は実際には何人に対してでもない。運用で開示請求の対象外としてしまうと、訴訟記録に関する情報を入手する手段がなくなってしまうのではないか、というようなご意見。
    裁判は、憲法で公開の原則が保障されているといえども、閲覧の制限等により個人情報は一定程度保護されてきた。開示請求制度においても、結果として個人情報を守るのか守らないかが重要である、というようなご意見。
    センシティブ情報が漏れてしまうという心配の度合いがどれぐらい強いのか。判決書の中には個人情報が含まれないものもある。センシティブ情報が含まれるものは実際どの程度存在するのか。まずいから対象外としたいでは判断が困難である、というようなご意見もございました。
    また、運用で対象外とした場合、国賠訴訟が提起されれば敗訴する可能性が高いのではないか。運用で変えるリスクは高い、というようなご意見。
    最後に、いまだ高裁判決が分かれているということなので、裁判の動きを静観し、それから議論を深めてもいいのではないか。まだ結論を出せるほど熟したレベルにはなっていないのではないか、というようなご意見がございました。
    事務局からのご報告は以上でございます。
  • 宇賀会長
    それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見等がありましたらお願いします。
    はい、中村委員、どうぞ。
  • 中村委員
    今、審査会でのご意見がいろいろ出たことを承りましたけども、私も前回、センシティブという言葉を使いまして、事務局からこの問題提起がされたこの一連の課題の中で、この部分がやっぱり議論の最優先の問題ではないかと申し上げ、恐らくほとんどの方もそうではないかと私は認識しておりますが、その関連で言えば、まだ事務局側はどの程度のシリアスな問題、あるいは早く解決すべきこととして捉えているのかということがちょっとわかりにくいので、まずそれがあります。
    第2点としては、訴訟記録の請求ですね、それがどの程度あるのか。さらに、現にセンシティブな医療、福祉関係で問題が起きていないとしても、それは他の様々な問題と同レベルに考えるよりはやはりもっとシリアスな問題を生むことになるのではないかと懸念しますので、その辺のことを少しお伺いしたいと思います。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    事務局のほうからお答えをお願いします。
  • 高野統括課長代理
    訴訟記録に関係する開示請求の件数でございますが、調べましたところ、平成27年度につきましては12月分までで22件の開示請求がございました。また、平成26年度につきましては1年間で23件、25年度については15件の訴訟記録に関する開示請求がございました。
    内容につきましては、非常に多いのはやはり税金関係の内容のものでございますが、場合によっては、警察関係のものでいわゆる事件とか事故に関係するような内容のものについての記録を求めるというような、場合によっては死亡したというような事実に関係するようなものに対しての開示請求も含まれております。
    以上でございます。
  • 宇賀会長
    中村委員、よろしいでしょうか。
  • 中村委員
    今承りましたけれども、やはり個人情報の中でも医療関係、福祉関係といいますと、訴訟記録から漏れる、その影響というものはやはり多大なものがあるだろうと思いますので、くり返し、検討の姿勢をうかがっているわけです。
    そういうことは、一度起こってから腰を上げる問題ではないのだろうと思うのが、私の一番考えるところです。つまり、リスクを伴っているということで裁判の動きの様子見を、静観ですか、静観しておいていいものであろうかという疑問を持っております。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    小幡委員、どうぞ。
  • 小幡委員
    私も、前回ちょっと欠席してしまったのですが、基本的に問題提起されておりますように、やはり制度によってそこは仕組みが作られているので、本来は東京都においても対象外とすべきだったのだろうと思います。ただ、それがそうでない形でされてしまっていて、はたと気が付いてと言いますか、よく考えてみるとこれはまずいだろう。したがって、今からでもきちんと対象外とすべきではないかというのは、それ自身としては気付いた以上きちんとやるというほうが本来の姿であろうと思うのですが、ただ、今、審査会のご意見の中で、ともかく運用上今までやっていたことを変えることになるので、それを解釈で変えていいのかというふうな形の問題提起がされているというのは、なかなか悩ましいところだろうと確かに私も思うのですが。
    ですから、本来は確かにこれまでやってきたことを変えるので、きちんとですね、でも条例自身まで変える必要は本当はないと思うんですけれども、何らかの形できちんとこれからはこういう運用でやるべきであるというのは、今回は運用指針になるんですか、どういう形にしても成文的なものできちんと示すと、いつの間にやら何かやり方が変わったというのは確かにまずいだろうと思いますので、ここの審議会のようなところで議論を重ねた結果こういう結論に至ったので、今後東京都としてはこの条例の解釈を明確にしてこういうやり方にしますということを明確に示してやり出すというのが筋なんだろうなと思うのですが、そういうことで解釈だけで変えていいかという問いに対して、そういうことで納得してもらえるかというそこがポイントなのかなというふうに思っております。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほか、いかがでしょうか。
    はい。
  • 藤原会長代理
    今、お二人からご意見があったとおりの問題だと思うのですけれども、審査会あるいは判決ですね、これらをずっと見ると、やっぱり争訟というのは個別の事例の判断ですよね、結論は。しかし、行政の運営というのは一般的、統一的に行われるという要素が出てくるので、そこは少し違うんだと思うのですね。判決ならば、繰り返しになりますけれども、当該事案が妥当で落ち着きのいいものならいいということになります。しかしながら、そこで出た結論を、行政というのはいろんなところで統一的に使おうとするので、よく審査会の答申を作るときなんかでも、事務局と個別案件を処理するその部会との間で議論があるということがあるわけですね。
    そういったことを考えると、この問題は本質的にはやっぱり訴訟記録といっても裁判の公開が絶対ではないわけです。これは前回の会長のご意見にもありますけれども、大昔のフランス革命のときの考え方からずっと来ていて、実際には憲法学会でも民訴の学会でも、若干制限のほうに動いているという実態があるわけで、それは事実なわけですね。それを前提として、様々な問題が出るときにどう考えるかということですけれども、一方で確かに東京都はこれまで広く解してきましたので、事実として広かったアクセス権、都民のアクセスする権利を、制限するのに躊躇があるというのはまことにごもっともな意見であろうとは思うのですね。
    しかしながら他方で、第一部会のご意見の中で、条例をそのまま読んだら開示すべきでないものを開示してしまって、運用で開示して国賠を求められたらどうするんだというご意見がありました。これもごもっともな点のあるご意見で、こういったことを考えると、最高裁判決が出てから考えるというよりは、判例の大勢を待つことも重要ですけれども、ある程度の議論を深めて、いつでも動けるようにはきちんと早目にしておいたほうがいいと思うのですね。その意味で、全体的な方向性としては従来の方向で、これまでの条例の読み方がやや広かったのであれば、そこは今回だけで済むかどうかわかりませんけれども、数字であるとか立法事実をきちんと示してあるべき姿に戻すというのを、我々としてはそちらの方向で議論してもいいのかなと思うんですね。
    個別案件の最初はたしか高知の案件だったと思うのですけれども、医療過誤訴訟の訴訟記録の案件が初期にあったと思うのですね。しかし、あれは地裁とたしか高裁で分かれているんですね。地裁だったと記憶しているのですけれども、民訴91条に引っ張られて開示して、しかしどう考えても妥当でないのではないかということで、結構、当時県で話題になったと記憶していますので、そういう事態を待ってからよりは早く動いておいたほうがいいのかなと私は思います。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほか、いかがでしょうか。
    神橋委員、どうぞ。
  • 神橋委員
    前回引き続きの案件ですが、審査会のほうで第一部会から第三部会まで意見を聴取されたということで、いろいろなご意見が出ていると思います。
    もし18条で開示の対象としないということになれば、それはそれで一つの解決ということになるわけですけれども、ご紹介いただいた意見の中で、訴訟記録の性質が違えば個別に判断がなされるであろうから、どのような場合でも病歴等の機微な個人情報まで開示するとはならないのではないかというものがありました。一点確認ですが、そのようなご意見は、訴訟記録は7条2号イの「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」には当たらないという解釈が前提になっているのでしょうか。
  • 高野統括課長代理
    直接そういった内容まで突っ込んだご意見をいただいているわけではないのですが、いくら何でもそういったセンシティブな情報をいつも常に開示しろというような判決になるのではないだろう、というようなご意見でありました。
  • 神橋委員
    訴訟記録は東京都でいう7条2号イに該当するから、もうカテゴリカルにこれは開いてしまうのだというような、そういう議論が裁判例の中にあるからこういうことが問題になっているわけで、その辺の整理が必ずしもなされていないのではないかという気もいたします。
    話をもとに戻しますと、前回から申し上げていますように、訴訟記録の中にセンシティブ情報が含まれているという問題はここでかなり真剣に提起されました。これは別の裁判例では、ほかの閲覧制度と情報公開の間の調整をどのように図るかというのは、これはひとえに立法政策の問題であるという指摘もあり、まさにその趣旨が条例18条の条文の中にも反映されているのだとすると、やはりその条文の解釈というものを前提に議論せざるを得ないのかなというふうに思います。
    今、藤原先生がおっしゃった国家賠償のリスクなのですけど、私もその可能性はあると考えています。解釈運用の変更では負ける可能性が高いというご意見もあったようですけれども、むしろ開示されたことによる損害を訴えてきますので、前提となる解釈をきちんと正当化する必要がむしろ高いのではないかと思います。つまり原告の方は、損害の救済を求めており、実際の運用を正当化する必要はむしろ行政の側に求められると思いますので、単なる運用で開示しているのではちょっとやはり弱いのかなというふうに思います。
    私からは以上でございます。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほか、いかがでしょうか。
    どうぞ。
  • 谷茂岡委員
    特に私はないですけれども、この第一部会のところで意見が出ているように、やはり個人情報のブレーキのない開示をされることは避けなければいけないと思いますので、その点しっかりやっていただければと思っています。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ほか、よろしいでしょうか。
    それでは、今回の審議の内容も踏まえまして、訴訟記録の取扱いにつきましては次回の審議会でも引き続きに審議を進めていきたいと思います。
    それでは、次に報告事項に移ります。
    本日は6点の報告がございます。
    まず、1の住民基本台帳ネットワーク部会からの報告について、事務局から報告をお願いします。
  • 鈴木担当課長
    総務局振興調整担当課長の鈴木でございます。
    住民基本台帳ネットワーク部会につきまして、先ほど2時半からご審議いただきまして、今回につきましては報告事項という形でございましたが、報告内容についてご説明させていただきたいと思います。
    資料の6ページ、資料の3をご覧ください。
    まず初めに、住民基本台帳ネットワークの現況ということで、都における本人確認情報の利用または提供件数ということで、ここでは直近3カ年の実績数字を、法令に基づく利用提供と、条例に基づく利用提供に分けて掲載してございます。24、25、26と件数は以下のとおりでございますが、しかしながら、今回マイナンバー制度、社会保障税番号制度への移行に伴いまして、かなり運用が変わりました。昨年の10月から、例えば国の行政機関等への提供、またはほかの地方公共団体への提供、いわば法律に基づいて東京都が提供していたこの提供が地方公共団体情報システム機構という自治体の地方公共団体の共同機関でございますが、機構が提供するように制度が変わりましたので、平成27年の10月以降は上の2つにつきましては東京都からの情報提供というものはなくなったということでございます。
    この表の中で、主な増減要因についてご説明させていただきたいと思います。
    他の地方公共団体への提供の欄で、71.4%、平成26年度におきましては減少してございますが、主な要因としましては平成24年度それから平成25年度は都議選と知事選がございましたが、26年度はなかったため大きく減少してございます。
    それから条例につきまして、都の利用または提供ということで、1,131.5%増と大幅にアップしてございますが、こちらはまさにマイナンバー制度施行に向けての準備行為に当たりますデータクレンジング、保有している個人情報データの整備、そのための提供ということでかなり件数が増えているところでございます。先ほどお話しさせていただきましたとおり、27年の10月以降制度が変わりましたので、28年度に向けては上の2つにつきましてはなくなるだろうと。それから、都の利用または提供につきましては、引き続きマイナンバーについての利用がございますので、これぐらいの件数で推移するというようなところでございます。
    参考としまして、全国における国の行政機関等に対する本人確認情報の提供件数も併せてお示ししてございます。
    1枚おめくりください。次に2番ですが、都内自治体における住基カードの交付枚数を記載させていただいてございますが、こちらも制度が変わりまして、28年の1月、住基カードは基本的にはマイナンバーカードに変わりました。住基カードにつきましては、今交付している分につきましては利用期限が到来するまでは使用できますが、新しく交付をするものにつきましては28年1月からマイナンバーカードということで、その交付枚数につきましてもなくなるということでございます。
    ご参考に、東京都における個人番号カードの申請受付状況(概数)ということで、2月29日時点の数字を載せさせていただいています。東京都におきましては、人口比で8.1%申請が来てございます。住基カードの交付の割合が7.9%でございましたので、既に申請の段階におきましては今現在で住基カードの申請を上回っているというような状況でございます。
    ご参考に、全国の申請状況は、国調人口対比で6.9%となってございますので、全国に比べても東京都に関しては、個人番号カードの申請受付状況が高いという状況でございます。
    最後に、住基ネットに関連した最近の動きということで、住基ネットに関する条例改正につきましてご説明させていただきたいと思います。
    まず、1つ目でございますが、いわゆる住基ネット利用条例というものでございますけれども、この住基ネット利用条例というものは、基本的には住基ネットを利用する事務については住基法と法律で定められてございます。一方で、条例においても、東京都とかで条例を定めれば、その事務について住基ネットを利用して住民票の添付等を省略できるというようなつくりになってございます。
    マイナンバー法の別表に記載している事務しかマイナンバーは使えませんが、こちらも同じ理屈で、マイナンバーの利用条例というものを自治体で定めればマイナンバーを利用できるということで、27年の三定でマイナンバー利用条例につきまして、東京都で利用する事務について定例会に提案させていただいて可決されたものでございますが、この事務につきまして住基ネットの個人番号及び本人確認情報である氏名と生年月日、性別、住所、これを利用可能とするために、併せて住基の利用条例も改正させていただいたということでございます。
    それから、2つ目でございますが、「住民基本台帳法関係手数料条例」につきましては、いわゆる指定情報処理機関の収入等を定めている手数料でございますけれども、こちらも住基法の一部改正に伴いまして指定情報処理機関制度が廃止されまして、地方公共団体情報システム機構が国の機関等への本人確認情報提供事務を行うこととなったために、同じく平成27年の第3回都議会定例会においてこの部分を削除したということでございます。
    主にマイナンバーの施行に伴いまして、住基法に関する条例も規定整備をさせていただいたということでございます。
    それから、中身のほうにつきましては、基本的には大きく制度が変わったということで、マイナンバーをもう少し広目の情報提供もいただきたいというご指摘もありましたので、次回の部会におきましてはそういった提案を踏まえ、会長と検討させていただきながら進め方を次回検討したいと思います。
    以上でございます。
  • 宇賀会長
    ありがとうございました。
    ただいまの報告につきまして、ご質問等ございますでしょうか。
    はい、どうぞ。
  • 谷茂岡委員
    昨年マイナンバーの制度ができたもので個人番号カードの申請をしたけれど、いまだに交付されていない、いつ交付されるんですかね。
  • 鈴木担当課長
    マイナンバーカードの交付につきましては、区市町村のほうから通知があって、それで区市町村が届けるという形でございますけれども、新聞報道等でなされているとおり、今、システム障害というのが起きていて交付が若干遅れていると聞いてございますので、もう少しお待ちいただければと思います。
  • 宇賀会長
    ほか、いかがでしょうか。
    よろしいでしょうか。
    それでは、次に特定個人情報評価部会からの報告について、事務局から報告をお願いします。
  • 富山課長代理
    ご報告させていただきます。
    資料につきましては、お手元の資料4でございます。8ページから48ページまで40ページ程度ございますけれども、答申をこれまでの間お出しいただいたもの全部付けておりますので、ちょっと量の多い資料でございますけれども、ご確認いただければと思います。
    まず評価部会についてですが、マイナンバー制度導入に際しまして保護措置の1つとして、特定個人情報保護評価を実施することが自治体に対しても義務付けられておりまして、都のマイナンバーを利用する事務においてどのような取扱いをするのかということを検証し、リスク分析したその結果を、評価書として作成し公表するという制度でございます。
    この公表に至るまでの過程において第三者に意見を聞くものとするということになっておりまして、東京都においては当等審議会に評価部会を設置いたしまして、宇賀先生、藤原先生、神橋先生、宮内先生の4名の委員の皆様に評価書を点検いただきまして、この間、多数の評価書に対して答申をいただいたところでございます。
    昨年の1月に評価部会を立ち上げて以来、約1年間にわたって、28年1月利用開始の初回の評価を集中的にご審議いただきまして、ほぼ毎月2回の頻度で評価部会を開催させていただき、全部で16本の答申をいただいたところでございます。
    前回の9月の審議会のときにご報告させていただいたものを除きまして、今回の報告案件としては12本の全項目評価書に対する答申、及び基礎項目評価書の公表12本についての報告ということになります。
    具体的には、資料4の2ページ目の9ページ、これは東京都のホームページで公表しております評価書の一覧でございます。全てで27本のものが出ておりまして、このうち1本につきましては再実施ということで2度答申を出した形になっております。
    具体的にその評価書に対しての答申内容ですが、資料4-1から付けておりますが、大まかに言いますと、4点の観点からご意見を頂戴しております。
    まずは、委託の取扱いについてでございます。委託先に対する適正な監督がなされているかどうか、規程等の契約に不備はないかというような点をご点検いただきましてご意見を頂戴しているものでございます。
    2点目といたしましては、データの外部出力について、データベースからデータを抜くことが安易にできるような仕組みになっていないかどうかといった点を点検いただきました。
    それから、アクセス権限の管理についてということでは、適正なアクセス制限がされているかどうかというところの点につきましてご点検をいただきました。
    それから、最後の1点としましては、事務の内容や特殊性に応じた安全管理に係る取組みがなされているかというような点をかなり厳しくご点検いただきまして、注意喚起ですとか意識啓発といったようなご意見を頂戴したものでございます。
    本当に短い審議会の間で十六本というご答申をいただきまして、本当に先生方には大変なご負担をおかけしたところなんですけれども、また来年度も、29年度の利用開始目途の新規事務ですとか、まだマイナンバー対応としてシステム改修を入れるものも幾つか事務としてございますので、来年度も再実施を5本既に予定しておりますし、新規の案件といたしましても3本、評価書を点検する予定となっておりますので、次年度も引き続きご点検のほどよろしくお願いしたいと思います。
    私からの報告は以上でございます。
  • 宇賀会長
    それでは、ただいまの報告につきまして、ご質問等ございますでしょうか。
    特によろしいでしょうか。
    それでは、続きまして個人情報保護法及び番号法の一部改正について、事務局から報告をお願いいたします。
  • 高野統括課長代理
    ご報告させていただきます。
    番号法につきましては、法律自体、平成25年の第27号という法律でございますが、これまで昨年の10月に個人番号の通知が行われ、この1月1日から個人番号を利用する事務が開始されたというところでございます。一方で、マイナンバー制度の番号法につきましては、その前、昨年の9月9日に個人情報保護法と一体的に改正という形で一部改正が行われました。本日は、その改正内容につきまして、ごくごく簡単ではございますがご案内をさせていただこうと思います。
    資料49ページをご覧ください。資料の5でございます。
    この改正法は、個人情報保護法と番号利用法、番号法と今まで呼ばれていたものを番号利用法という呼び名になったわけですけれども、これを一遍に改正するという内容の法律でございました。それぞれの改正の内容についてでございますが、個人情報保護法はかなり大きな改正がございました。
    49ページの下の段、個人情報保護法の改正のポイントというところでございますけれども、まず大きな問題として1点目、定義についての変更がございました。改正のポイントとしては明確化というように言われておりますけれども、従来の個人情報の定義、特定の個人が識別できるという中で、他の情報と容易に照合することによって識別できる場合も含まれるというような、これまで抽象的な定義だったわけですが、そのほかに個人識別符号と呼ばれるものが定義の中で明確にされまして、この識別符号に該当するものについてはそれが個人情報であるという形の改正となりました。主に身体的な特徴等、例えば顔認証システムによるものですとか、指紋とかDNAみたいなものを多分想定されているんだと思うんですが、そういった識別符号のようなものについては、それが単体で個人情報になるというような改正でございます。
    また、従来、個人情報保護法には、地方自治体の条例で多く見られるいわゆるセンシティブ情報、国の場合は要配慮個人情報と呼ばれておりますけれども、この規定がこれまでなされていなかったということにつきまして、今回、保護法の改正で要配慮個人情報に関する規定が整備されたところでございます。この中でちょっと特徴的なのは、犯罪被害に関する情報というものがこの中で例示で明確にされておりますが、この犯罪被害に関する情報というのは、これまでの自治体の運用の中ではなかなか見られなかったものですので、今後この点について自治体の条例に影響があるのはないかというふうにも考えているところでございます。
    また、大きな変更点としまして、従来、個人情報保護法の事業者に対する制限の対象は取り扱う個人情報が5,000人分を超えるものという定義があったのですが、今回の改正でその5,000人分というものはなくなりまして、個人情報の取り扱う数に関係なく、この法の様々な規定が適用されるということになったというものでございます。
    また、2番目の適切な規律のもとで個人情報等の有用性を確保という中で一番大きな問題は、匿名加工情報と呼ばれるものが出てきたというところでございます。匿名加工情報というのは、簡単に申しますと個人情報を加工したり一部を削除したりすることによって、特定の個人が識別できないような形にして、これを提供することによって民間部分で有意義に活用していただこうというような理念に基づいたものでございます。この点につきましては、様々な課題等がございますので、また追ってご相談をさせていただこうと思っております。
    また、個人情報の流通に関しては、名簿屋対策と言われておりますけれども、これまで様々な形で問題になってきた、本人の同意を得ない個人情報の第三者提供につきまして、今回保護法の改正で、そういったものを行う場合については必ず届出、公表を行うというような形になっております。また、トレーサビリティということで、個人情報の第三者提供を行う場合について、それから受ける場合について、記録の作成というようなものが義務付けられたということで、どのような形で個人情報が提供されているかという部分について、その痕跡をたどれるというような方向性を明確にされたということでございます。
    また、これまで個人情報保護法は直罰規定がなかったところですが、今回、不正な利益を図る目的による個人情報データベース等提供罪というものが新設されまして、これに該当する場合については直ちに罰則が適用されるというような、新たな変更がされたところでございます。これは、主に近時の様々な大規模な個人情報の漏えいというものが背景にあるというような状況でございます。
    最後に、個人情報保護法の中で今回、個人情報保護委員会というものが新設されました。これは、従来の特定個人情報保護委員会が改組されまして、個人情報全体を管轄する個人情報保護委員会というものになったというものでございます。
    続きまして、50ページをご覧ください。これが、マイナンバー法の改正の内容についての概要でございます。
    大きく3つに分かれておりまして、まず1点目でございますが、マイナンバーが預貯金口座に対して使えるようになったということございます。とはいっても、現在持っている預金全てに義務的に直ちに振られるというものではないということで、今回は、新規のものをまず第一の対象としながら徐々に拡大していこうというような方向性が示されているところでございます。
    また、2点目といたしまして、医療等分野における利用範囲の拡充ということなんですが、直接医療というように聞きますと、まさに一般的な医療になるのかなという感じがいたしますが、今回の改正内容はそうではなくて、一つは特定健康診査情報、特にこれはメタボ検診というものでして、そういったものの管理等にマイナンバーの利用をすることができるようになったということです。
    また、従来、予防接種の履歴というものに関して、例えば区や市を超えて転居された場合について、なかなか管理というものが難しいというようなこともあったので、そういった予防接種の履歴についてマイナンバーを使って管理をしていけば、転居をした際についても間違いなくその履歴が追えるというようなことで、それを利用範囲に拡充したということでございます。
    3点目として、私ども地方公共団体に一番影響があるところでございますが、地方公共団体の要望を踏まえた利用範囲の拡充等ということで、まず、既にもうマイナンバーの利用事務とされている公営住宅、特に低所得者向けの管理に加えまして、特定優良賃貸住宅、これは中所得者向けのものでございますが、この管理においてもマイナンバーの利用を可能とするという方向になりました。これは、従来一部の自治体において、こういった低所得者向けと中所得者向けについての情報の収集の様式が共通なものであったとか、そういった状況で非常に非効率になるというような声を踏まえて、このような改正がなされたということでございます。
    また、大きいのが地方公共団体が条例により独自にマイナンバーを利用する場合です。先ほどの住基の説明にもございましたけれども、独自利用条例によって国の利用事務に準ずるものについて、地方自治体が独自に条例を定めることによってマイナンバーを利用できるということになってくるのですが、その利用できる場合についても、情報提供ネットワークシステムという、これは今回の国が定めた国のマイナンバーにおける基幹システムでございますけれども、この情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携というものを可能とするという内容になったものでございます。
    法改正の内容につきまして、概要の説明は以上でございます。
  • 宇賀会長
    それでは、ただいまのご報告につきまして、ご質問等がありましたらお願いします。
    特によろしいでしょうか。
    それでは、次に存否応答拒否について、事務局から報告をお願いします。
  • 左右田課長代理
    それでは、ご報告いたします。
    資料は6になります。ページは51ページから54ページまでございます。54ページは存否応答拒否に係ります関係条文一覧でございますので、参考にご覧ください。
    前回の審議会以降に報告されたものにつきまして今回ご報告ということになりますが、数が多くございまして、情報公開が15件、個人情報が3件、合計18件の報告になりますので、適宜省略をさせていただきながらご報告させていただきます。
    一番上からご覧ください。
    情報公開でございますが、7月26日に発生しました調布飛行場の事故の関係で以下の情報の開示を求めます。今回事故を起こした○○、これ個人名でございますが、機長に対する東京都のこれまでの指導状況についてということで、1番から3番までを書いてございます。港湾局の案件でございます。
    こちらにつきましては、ご存じのとおり、調布飛行場から離陸しました飛行機が墜落したという事故に関する開示請求でございます。機長の名前につきましては報道等で公にされているところでございますが、本件開示請求に対しましてその存否を答えることによりまして、公にされておりません個人に対する指導の内容等といった個人情報が明らかになりますので、条例7条2号が規定します非開示情報を公にすることとなるとしまして存否応答拒否としたものでございます。
    2番に続きます。都立○○高校教諭、2015年○月都庁前○人正座(報道)について時事関係、事情聴取、本人の弁明云々ということで以下省略させていただきますが、これらがわかるものといった請求内容でございます。教育委員会の案件でございます。
    こういった都庁前で正座云々という報道につきましては、実際に報道された事実がございますが、高校名までは特に公にされておりません。ですので、本件存否を答えることによりまして、報道されていないところでございます学校名とその学校名に関するこういった事実があったかどうかという事実が明らかになりまして、また高校名から特定の個人が識別されるおそれがございます。また、教育委員会が行う処分に関する情報でございますので、露見することによりまして、今後同一事案が発生した場合に関係者から適切な事情聴取等が困難となりまして、人事管理に係ります事務の公正かつ円滑な遂行に支障が生じるおそれがあるとしまして、条例7条2号及び6号が規定します非開示情報を明らかにすることとなるとしまして存否応答拒否とした事案でございます。
    3番に続きます。警視庁○○警察署における遺失物(受理番号第○○号)に関し、○○、個人名でございますが、返還約束等を記載した「確約書」といった内容でございます。警視庁の案件でございます。
    本件につきましては、特定の遺失物、物を落とした案件に関しまして、拾得者、拾った方が遺失者に物を返すという約束をした確約書、これを求めるものでございます。特定の個人を名指ししたものでございますので、そのまま個人に関する情報を明らかにすることとなります。また、遺失物の取扱いに関する事務に関しまして、公表されていない情報を明らかにすることによりまして、関係者との信頼関係が損なわれ、今後の遺失物業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとしまして、存否を明らかにすることで条例7条2号及び6号が規定します非開示情報を明らかにするとして存否応答拒否としたものでございます。
    4番に続きます。2012年○月○日以降に、○○高校卒業生○○、以下6名の名前を挙げてございます、あるいはそのうちの誰かが、○○、こちらも個人名でございますが、に対する「ネットいじめ」と関係するもので、「mixi」「Twitter」に投稿した日記等々の文書を求める請求でございます。こちらは教育委員会の案件でございます。
    こちらに記載のとおり、特定の高校の特定の生徒をまさに名指しした開示請求でございます。開示請求に対しまして、本件存否を答えることにより特定の個人に関する個人情報を明らかにすることとなりますので、7条2号が規定する非開示情報を明らかにするとして、非開示とした存否応答拒否でございます。6号については省略をさせていただきます。
    5番に続きます。広報東京都15年○月○日○面掲載の○○、学校名でございます、の消防用設備を巡る不祥事につき、○○学校支援センターや(副)校長、経営支援室長の職員の処分を検討した文書等々でございます。こちらは教育委員会の案件でございます。
    特定の高校におきます消防用設備に関する問題に関しまして、同校の校長ほかの職員の処分に関する文書を求めるものでございますが、本件の請求の内容につきましては、教職員の処分に関する情報でございますので、特定の個人を識別することができる、あるいは識別できなかったとしても権利利益を害するおそれがあると。また、教育委員会の行う処分に関する情報でございますので、先ほどと同様に、今後、同種事案が発生した場合に情報収集等が困難になりまして、人事管理に関係します事務が円滑に進められなくなるおそれがあるとしまして、条例7条2号及び6号の非開示情報を開示するとして存否応答拒否とした事案でございます。
    6番でございます。○○区○○町○番ということで、4件の地番を特定しまして、の土地に係ります「土地分割評価届出書」及び「画地補正率に係る現認届出書」といった内容で、主税局の案件でございます。
    ちょっとわかりにくい案件でございますが、本件は特定の土地に対します課税に係る公文書を求める開示請求でございます。土地の評価につきましては、原則としまして土地課税台帳に登録されました1筆の土地を単位として行われるところでございますが、土地の形状ですとか利用状況等から見まして、1筆単位に評価することが評価の均衡上不適当と認められる土地で、ここにございます土地分割評価届出書等の文書の提出があったものにつきましては、現地調査の上、適当と認められれば当該利用区分をもって評価の単位とすることができるとされているところでございます。請求に係る公文書につきましては、土地の所有者が都税事務所宛てに申告する書類でございますので、その有無によりまして、土地が分割評価されているのかいないのか、あるいは土地が課税か非課税かといった情報が明らかになります。また、土地の所有者が個人の場合につきましては、個人の財産に関する個人情報を明らかにすることとなります。また、税務情報を公にすることで、土地所有者との信頼関係が損なわれて、税務の行政に支障を及ぼすおそれがあるとしまして、7条2号及び6号が規定する非開示情報を公にするとして存否応答拒否とした事案でございます。
    続きます。7番でございます。ページを1ページおめくりください。下記交通事故の物件事故報告書としまして、特定の照会番号、発生日時、発生場所を記載した請求でございます。警視庁の案件でございます。
    特定の交通物件事故を指定しました請求でございまして、個人に関する情報で個人が識別される、あるいは交通事故に関するものでございますので権利利益を侵害されるおそれがございます。また、公文書の有無を答えることで、事故当事者との信頼関係、協力が得られなくなるなど正確な事実の把握が困難になりまして、交通事故処理に関する事務の遂行に支障が生じるおそれがあると認められますので、条例7条2号及び6号が規定する非開示情報を開示するとして存否応答拒否としたものでございます。
    8番にまいります。平成28年○月○日○時頃に、警視庁○○警察署交通規制係○○職員が交通事故捜査を行うに当たり、開示請求者の配偶者に対し、「あなたは○○語しか分からないでしょう」などと極めて人種差別的かつ高圧的な態度で当該申出を拒絶したが、このような異常な捜査手法の根拠となる公文書といった内容で、警視庁の案件でございます。
    こちらも交通事故に関するものでございます。開示請求内容はご覧のとおり、事故当事者を名指しした請求でございますので、まさしく個人を識別することができるものでございます。また、先ほどと同様、存否を答えることによりまして当事者からの信頼関係を損なうなど、今後の交通事故処理に係る事務の適正な遂行に支障を生じるおそれがあります。また、警察官の名前等ございますので、併せて4号も併記してございますが、7条2号、4号及び6号が規定する非開示情報を開示するとしまして存否応答拒否とした事案でございます。
    9番にまいります。主税局の案件でございますが、裁決、番号が記載されてございます、の第2の第7項(地籍を○○.○○平方メートルと算出)の算出根拠が確認できる資料の全てとしまして、また添付資料を1、2、3と付けている内容でございます。
    こちらは、固定資産税及び都市計画税賦課処分についての審査請求に対します裁決の根拠となった資料を求める開示請求でございます。開示請求にはご覧のとおり添付資料ということでありますが、ここにはまさしくその裁決に係ります特定個人名が記載されているところでございますので、本件請求の文書の有無を答えることによりまして、特定個人の資産についての課税情報が明らかになるとしまして、7条2号が規定する個人情報非開示情報を開示するとして存否応答拒否とした事案でございます。
    10番に移ります。○○、個人名でございますが、に関します○○、こちらは介護事業者の名前になります、から東京都に提出された事故報告書の全てでございます。こちらは福祉保健局の案件でございます。
    こちらも特定個人を名指しした請求でございますので、特定個人が識別されます。また、特定の介護事業者も名指ししているものでございますので、これを公にすることによりまして、当該法人の競争上、事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められます。また、公にすることで介護事業者との信頼関係が損なわれるなど、今後の介護施設に対します支援業務等適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められますので、7条2号、3号、6号に規定します非開示情報を開示するとして存否応答拒否とした事案でございます。
    11番にまいります。平成16年○月○日○○警察署で取り扱った当時の状況(○○(個人名)の自殺の件についての詳細について)の分かる死体取扱書類。こちらは警視庁の案件でございます。
    本件につきましては、特定の個人を名指ししました自殺の取扱いに関する開示請求でございます。個人名がございますので、特定の個人を識別することができるものでございます。また、特定の個人の死が自殺として取り扱われたか否かと答えることによりまして、犯罪の予防、捜査、その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあります。また、開示することによりまして、関係者等の権利利益を侵害する、信頼を損なうなど、今後協力が得られなくなりまして、こういった事案が発生した場合の死因調査に係ります事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとしまして、7条2号、4号及び6号に規定します非開示情報を開示するとして存否応答拒否とした事案でございます。
    続きます。12番と、次のページの15番、こちらはほぼ同じ内容でございますので併せて、12番を代表で紹介させていただきます。平成28年○月○日、東京都新宿区西新宿一丁目新宿駅小田急改札側出口付近の警視庁警察署管内の公衆用道路で行われた○○街頭演説会の演説した国会議員のSPの警備計画書でございます。
    本件請求に係ります公文書の有無を答えることによりまして、特定の政治家に対しましてSPによる警備がされているのかいないのか、また警護警備等の対策をしている要人の範囲がどの程度なのかということが明らかになりまして、その結果、不法行為の敢行を企図する者がこれに対する措置を講じるなど、犯罪予防、鎮圧、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められるので、7条4号が規定します非開示情報を開示するという存否応答拒否とした事案でございます。
    13番でございます。平成28年○月○日午後3時より実施された東京都立中央図書館サービス部資料管理課収集係、職員名が書いてあります、によります○○及び○○、こちらはいずれも個人名でございますが、に対する応対の記録、以下省略をさせていただきます。これは教育委員会の案件でございます。
    こちらも特定の個人をまさに名指しした開示請求でございますので、存否を答えることによりまして、特定日に特定個人が都立中央図書館に来た、職員の応対を受けたという個人情報を明らかにするとしまして、条例7条の非開示情報を開示するとして存否応答拒否とした事案でございます。
    ページをおめくりください。14番にまいります。○○市○○町、以下省略しますが、に関わる道路調書に関して、平成27年○月○日、この時間におきまして東京都多摩建築指導事務所において、該当地の所有者兼隣接している用水路の占有許可取得者である○○、個人名でございます、が事務所職員の○○さん、○○さんに対してなした、下記の追加相談の内容や貴事務所からの説明・返答等の内容を記した文書ということで、下に相談内容が書いてございます。
    本件開示請求に対しまして、公文書の有無を答えることによりまして、特定日に特定個人が建築指導事務所において具体的事項、ここに書いてある具体的な事項の相談をしたか否かという個人情報を明らかにするので、条例7条2号の非開示情報を明らかにすることとなります。また、東京都と土地所有者という個人の信頼関係が損なわれるなど相談事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがありますので、併せて条例7条6号が規定します非開示情報を明らかにするとして存否応答拒否としたものでございます。
    15番は先ほどのとおりでございますので、省略いたします。
    個人情報、残り3件でございます。
    1件目でございます。警察が所持している私の個人情報(公安警察の危険人物リスト)ということで、警視庁の案件でございます。
    本件請求に係ります保有個人情報の有無を答えることによりまして、警察の情報収集活動等が明らかになります。その結果、犯罪の予防、鎮圧、または捜査その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められるので、条例16条4号が規定します非開示情報を開示するとして存否応答拒否とした個人情報の案件でございます。
    2番でございます。こちらも警視庁の案件でございますが、第三者が、私に係る事案について、○○警察署生活安全課に相談した記録の全てでございます。
    本件の開示請求に係ります対象保有個人情報の有無を答えることによりまして、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる、あるいは、識別できなくても権利利益を害するおそれがあるとしました。また、開示請求者以外の第三者が行いました相談の事実の有無が明らかとなりまして、その結果、相談者と警視庁との信頼関係を損なうなど、今後警察が行いますこういった生活安全相談業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがありますので、条例16条2号及び6号が規定します非開示情報を開示するとした存否応答拒否事案でございます。
    最後、3番でございます。私の運転免許証、生年月日、運転免許証番号を記載してございます、に関して、他の機関からの照会に対する運転免許本部長からの回答書でございます。
    警視庁の運転免許本部長に対します機関からの照会につきましては、各省令等に基づきまして、それぞれの機関に係る事務の目的を達成するために行われるものでございますが、本件請求に係ります保有個人情報の有無を答えることによりまして、何らかの機関から開示請求者の運転免許証に対する照会があったか否かということが明らかとなります。その結果、他の情報ですとか、この開示請求者個人の体験、実体験等と照合することによりまして、いかなる機関の調査に自分が対象とされているかということが推認され、その結果、当該機関の調査目的を達成することが困難になるなど、調査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとしまして、条例16条6号が規定します非開示情報を開示することとなるとしまして存否応答拒否とした事案でございます。
    以上、説明が長くなりましたが、18件の紹介でございました。報告を終わらせていただきます。
  • 宇賀会長
    それでは、ただいまの報告につきまして、ご質問等ありましたらお願いします。
    特によろしいでしょうか。
    それでは、次に、保有個人情報取扱事務の届出事項について、事務局から報告をお願いします。
  • 日置統括課長代理
    ご報告させていただきます。55ページ、資料7をご覧ください。
    個人情報保護条例第5条に基づきます、東京都における保有個人情報取扱事務の届出でございますが、1に記載されてございますとおり、昨年8月以降、今年1月までに届出がありましたものは46件でございます。
    1枚おめくりいただきまして、56ページ以降に別紙の表として内訳が記載されております。
    これらの届出の事項に関しまして、当審議会の委員の先生方から意見が付されたものは特にはございませんでした。
    この件に関してのご報告は以上でございます。
  • 宇賀会長
    それでは、ただいまの報告につきまして、何かご質問等ございますでしょうか。
    よろしいでしょうか。
    それでは、次に、特定個人情報取扱事務届出事項について、事務局から報告をお願いします。
  • 日置統括課長代理
    それでは、引き続きまして、特定個人情報の届出についてご報告をさせていただきます。69ページ、資料8をご覧ください。
    特定個人情報保護条例第16条に基づきます、東京都における特定個人情報取扱事務の届出でございますが、特定個人情報保護制度が開始いたしました本年1月から2月までに届出のあったものが、1番にございますように53件ございました。
    内訳が、1枚おめくりいただきまして70ページ以下、別表でお示ししてございます。
    これらの届出の事項に関しまして、当審議会の委員の先生方から意見が付されたものは特にございませんでした。
    なお、特定個人情報の取扱事務届出につきましては、当審議会での説明が今回初めてということになりますので、届出事項のポイント等詳細につきまして、別途、高野からご説明をさせていただきます。
  • 高野統括課長代理
    ご説明させていただきます。
    特定個人情報の保護に関しましては、本審議会におきまして、従来の個人情報保護条例の単純な改正ということではなく、特定個人情報の保護に関する新たな条例の整備の方向性についてお示しいただきました答申をいただきまして、昨年12月の議会で東京都特定個人情報の保護に関する条例というものを提案し、無事可決されまして、今年の1月から施行しているところでございます。その中で、従来は保有個人情報の取扱事務というところであったわけですが、それに加えまして今後、個人番号を利用する特定個人情報の取扱事務というものが発生してまいりますので、それについての届出というのが今回の位置付けでございます。
    資料の75ページをご覧ください。これが今回新たに加わりました、特定個人情報取扱事務届出事項というものの様式でございます。
    これは、たまたま参考例といたしまして、主税局の都税事務所共通の地方税の賦課事務についての届出でございますけれども、上の欄の右の上のほうに、チェックするボックスが2つございまして、今、上のほうのチェックボックスに印が入っていると思いますが、若干細かいですが、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第9条第1項というように書かれております。これは何かと申しますと、これこそまさに、番号法が法定しております個人番号を取り扱う事務というものでして、個人番号利用事務と呼ばれるものでございます。
    この個人番号利用事務に関しては、番号法の別表第一で定めがございまして、1番目の厚生労働大臣が健康保険法の規定に基づいて健康保険に関する事務を行う場合というものからございまして、九十何件もの事務が別表の中で規定されているところでございますが、この地方税の賦課事務というのは、この別表一の中の16項目にございまして、都道府県知事または市町村長が行う事務ということで、地方税法その他の地方税に関する法律及びこれらの法律に基づく条例による地方税の賦課徴収または地方税に関する調査に関する事務であって、主務省令で定めるものということで、これに該当するということでこちらのチェックボックスに印が入っております。
    なお、下のチェックボックスは、先ほどもご案内させていただきました、東京都が利用条例で独自に定める事務に該当する場合につきましては、このチェックボックスの下の欄にチェックが入るということになります。
    当該届出事務について、事前に先生方にもお送りをして内容についてご覧いただいているわけですが、この届出事項についてのご審議をいただく主なポイントといたしまして、若干先ほどご案内をさせていただきました評価とは異なる視点がございますので、その点についてだけ簡単にご説明をさせていただきます。
    特定個人情報保護評価というのは、個人番号を取り扱う事務に関しまして、その特定個人情報の収集から利用、提供、そして保管、廃棄という、その一連のプロセスにおいていかなるリスクが存在するのか、また、そのリスクをどういった形で軽減するのかということを主眼として、実施機関が自ら評価を行っていくということでございます。一方、この届出事務というのは、特に問題となるのが、その届出事項の表の中の中ほどにございます、特定個人情報の記録項目というものが、その上にございます特定個人情報を取り扱う事務の目的や対象者の範囲に照らして過大でないかと、要は必要ない項目を収集しているのではないか、そういったことはないか、もしくは本来必要である収集項目が欠如しているのではないか等々の視点、主にその視点においてご審議をいただくというものでございます。
    なお、そうは言いながらも、この特定個人情報の取扱事務に関しましては、従来既に個人情報を取り扱う事務という形で、実施機関がこれまで実施をしてきた事務において、そこに新たに個人番号が使われるようになったということでございますので、ほとんどが全く新たに発生した事務ということではなく、従来の保有個人情報を取り扱うその事務に対して、それに個人番号が新たに使われるようになりましたということでございますので、そこにおいて、ここの記録項目等、従来から使われているもの以外に新たにチェックが入っているというようなことはまずないという状況におきまして、これまでの保有個人情報の取扱事務の届出事項以外に、個人番号というものにチェックが入ってくるというような意味合いでご審議をいただければよろしいのかなというように考えているところでございます。
    また、同様に、もう一方の参考事例といたしまして、79ページにもう一つその事務を紹介させていただきますが、これは福祉保健局が所管いたします身体障害者手帳の交付に関する事務というものでございます。これもチェックボックスが右上のところに入っておりまして、法定事務ということで、これは別表一の第11項目に出てまいります、身体障害者福祉法による身体障害者手帳の交付に関する事務であって主務省令で定めるものというものに該当するものになっております。
    以下、先ほどの主税の内容のものと同様の用紙に、必要な情報が記録されているというものでございまして、今後このような届出につきましては、先ほど申し上げたような点を主なポイントとしてご審議をいただければというように考えております。
    事務局からのご報告は以上でございます。
  • 宇賀会長
    ただいまのご説明につきまして、何かご質問等ございますでしょうか。
    特によろしいでしょうか。
    それでは、本日の議事として予定したものは以上でございますけれども、このほか委員の皆様から何かございますでしょうか。
    事務局から何かございますでしょうか。
  • 濱田担当部長
    本日は長時間にわたりご審議いただきまして、まことにありがとうございました。
    また、本日は本年度最後の審議会の開催ということでございます。この1年間ご熱心にご議論をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
    次回の審議会につきましては、また改めて日程等ご調整をさせていただきましてご連絡をさせていただきますので、引き続き来年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
    以上でございます。
  • 宇賀会長
    それでは、以上をもちまして本日の審議を終了いたします。長時間どうもありがとうございました。

午後4時16分 閉会

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